煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との思いもよらない一度きりのセックスを通じて新しい刺激を覚えるが、悪びれることなく妻にこの体験を話してしまったことで夫婦間がこじれてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他人の視線によってどう形成されていているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は、衝撃的な出来事がきっかけで自らの“男らしさ”を見つめ直すようになる。当たり前だと思っていた自らの性を疑う出来事を語る会話のなかには「どこからが浮気か」「夢は現実世界にどんな影響を与えるのか」といった誰もが一度は考えたことのある普遍的なテーマが散りばめられている。また“セックス”や”セクシュアリティ”といったデリケートな話題を出しながらも、飄々と会話する登場人物たちはどこか滑稽でオフビートな空気を纏う。3作で最もコメディタッチな異色作。第74回ベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を含む3部門を受賞。
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