素晴らしい映画だった。主人公のウナが、秘密の恋人ディッディを事故で亡くした日。友人たち、みんなが知っている彼の長年の恋人クララと共に喪に服すなか、自分の立場を明らかに出来ない苦痛にウナはさいなまれる。ディッディはクララに別れを告げに行く途中で事故に見舞われたのだ。

初めて親しい友人の死に出会った若者たちの、悲嘆に暮れる様子。一定ではなくて、涙が止まらない瞬間もあれば、昔話で笑みになる瞬間もある。追悼ってそういう不思議な時間だ。死に対する浄化はただ泣くだけじゃなくて、楽しかった記憶も分かち合ったりして、平熱になろうとする行為だ。
西洋というのもあって、彼らは抱きしめ合う。嗚咽してしまう者がいれば抱いてやり、他の友人たちもまたそれを抱擁して大きな人の塊になる。愛の塊。

瑞々しくて、透明感に溢れた作品。主人公のウナを演じたエリーン・ハットルの中性的で、美貌でパンキッシュな身なりが映画のガラスのような美しさを高めている。本当に、この世に出来たばかりのガラスが、初めて日の光を通したような輝きがある。クライマックスの慰撫の形には、泣けてしょうがなかった。

「突然君がいなくなって」
まさにタイトルのまんまの内容

大筋はFilmarksに書いてる通りなので割
愛。
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トンネル事故で死んでしまった男の、今彼女と元彼女。
「あんた知らないでしょうが、付き合ってたのは私よ、昨日の晩も抱かれたのよ。
貴方に別れを告げるために車出して事故ったのよ！」
っとアメリカ映画なら言ってしまうでしょうが、奥ゆかしい北欧のアイスランド気質。何も言いません。

今彼女のウナはスラリとした体型にベリーショートヘアーが似合う、現代芸術を学ぶパンキッシュな女性。
多分、死んでしまったディッディも話題が合うし、一緒に歩いていても目立つ。
一方の元彼女クララは、ぽっちゃり型、服装は普通。でも包み込むような母性がある女性。

相容れないように見える二人がだんだんとディッディを思う共通の感情で重なってくる。
初めはトイレで用をたしながら話すシーンでしたが（アイスランドの個室トイレって扉がないの？）

二人で同じ方向向いて、指で歯を磨くシーン、
ガラスの反射の中で二人の顔が重なるシーン、
ディッディ不在のベットで二人で抱き合って寝るシーン、
二人で夕陽を見るシーン
映像のなかでも二人の気持ちが確認できます

主人公のウナを演じるエリナ・ホールが抜群にいいです。
彼女が一番印象に残ってます
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試写会で見ました
ゲストに
枝優花 （映画監督・写真家）＆シバノジョシア（フォトグラファー）さんがトーク。
特にアイスランドに詳しいシバノさんのお話が面白かった。

アイスランドの人口は新宿区と同じくらいしかいない。その半分が首都レイキャビックに住んでいる。
その中からビョークとかシガーロスのような世界的なミュージシャンが出てる。

酒税が高いので学生がバーで飲むのは大きな出費。家に集まって飲むことが多い。
（そう言う場面があります）

アイスランドには何も娯楽がない
デートするような場所もない

[アイスランド、ディディが居なくなった日]　50点

ルーナ・ルーナソン長編四作目。アイスランドの長い夏の日の夜明け。若い美術学校性ウナは先輩のディディと付き合っていたが、彼には遠距離恋愛中の恋人クララがいた。しかし既に、彼の中に彼女への恋愛感情はもうない。クララに別れを告げに行ってくるわ、と言い残して故郷へと戻ったディディは、トンネルの崩落事故によって、あっけなく帰らぬ人となった。二人が付き合っていたこと、ディディがもうクララに興味がないことを知っていたのはウナとディディの親友であるグンニだけ。他の人から見ればバンドメンバーの一人でしかない。そして、レイキャヴィクにクララがやって来てしまい、ウナは感情を表に出すことが余計に出来なくなってしまう云々。居心地が悪くなり続ける窒息しそうな空間を静かに観察してくわけだが、どこかクララ自身も(ウナから見れば)悲劇のヒロイン的な振る舞いをしながら、ウナの押し殺した表情を見て、ディディの心変わりに気付いたのだろう。終盤に掛けてディディ不在のなかで彼と過ごした時間が圧縮され、それによって二人が向かい合うような形となっていくのが興味深い。最も象徴的なシーンでヨハン・ヨハンソン"Odi et Amo"が流れる。これはラテン語で"私は貴方を憎み、貴方を愛する"という意味らしい。まさにウナとクララの関係性だ。ただ、あまりにも繊細すぎて感度が馬鹿な私は上手く馴染めなかった。北欧の映画は『ヒューマン・ポジション』『アンデッド 愛しき者の不在』等々、静かに感情の変化を捉える作品が多くあるが、どの作品も静かすぎて何も伝わってこない気がしている。

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