ベトとナムは20代の炭鉱労働者の青年。彼らは粉塵まみれの画一的な職業生活を送りながら、地下何百メートルの暗闇の中で密かな愛を育んでいる。彼らは共に戦争で父を亡くしており、ナムと彼の母は父のベトコン時代の古い同志バと共に、まだ半分埋まった兵器が点在する森に覆われた中央高原へ父の遺骨を探す旅に出る。ベトは彼らに同行しつつ、ベトナムから密航し国外へ脱出することを計画しているナムの身を案じている....。20年に及ぶ戦争による深い傷がまだ色濃く残る2001年のベトナムを舞台に、恋人同士である2人の炭鉱労働者の姿を通して、戦後のベトナムにおいて、若くそしてクィアであること、そして更にはベトナムという国そのものが抱える困難と苦悩を描く。催眠術のように優しく官能的に撮影された美しい作品でありつつも、その表層の下に眠る深く暗い影の部分を炙り出そうとする象徴性に満ちた作品。デビュー作『樹上の家』(2019)で注目を集めた新鋭チューン・ミン・クイの2作目の長編である本作は、カンヌ映画祭のある視点部門で初上映された。
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