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ミルク
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『ミルク』に投稿された感想・評価

3.9
 高校を卒業したばかりのユスフは、何よりも詩を書くことが好きで、書いた詩のいくつかを文学雑誌で発表し始めている。しかし彼の書く詩も、母親のゼーラと共に営んでいる牛乳屋も二人の生活の足しにはなっていない。そんな中、母と町の駅長との親密な関係を目にしたユスフは当惑する。ユスフ三部作の二作目にして、既におっさんになりはてていた一作目のユスフから思春期まで退行した三部作の第二弾。冒頭、何やら物書きに夢中になる老人が視界の隅に3人の男女を見つける。3人に視線を合わせることなく蒔きを持たせた老人は、宙吊りにした女性の口から大蛇を取り出すことに成功する。セミフ・カプランオールの映画においては登場人物たちはみな寡黙で一人もおしゃべりが出て来ない。静か過ぎる静けさの中で、クローズ・アップで据えられたショットは何よりも強度を放つ。音楽も余計な演出もないシンプルな物語に一気に引き込まれていく。青年は奥手で自らの気持ちも上手く表現出来ず、思いを詩に込めることしか出来ない。彼は牛乳屋で僅かばかりの生計を立てながら、詩人になることを夢見ている。牛乳の配達はしっかりやるけれど、車のメンテナンスなどのこちら側の事情にはあまり興味を示さない。おそらく他の人たちは高校を卒業するタイミングで就職して夢を諦めるのだろうが、ユスフ青年は決して夢を諦めようとはしない。

 今作の骨子となるエピソードは次作『蜂蜜』における幼少期の牛乳嫌いのエピソードに呼応する。彼は牛乳屋という職業を天職だとは考えておらず、外の世界を夢見ている。生活のために茶摘みから牛乳屋に転身した母親とは、決して交わることはないビジョンの差異が来たるべき展開を予感させる。彼の夢を後押しするように見えた母親が突然、母親の役割を放棄する。その瞬間に感づいてしまう思春期のユセフ少年が実にいじましく映る。ユスフ少年は真実を知ってしまった時、牛乳屋の配達の途中であるが、彼の牛乳配達は一向に進むことなく、最後には癲癇の発作による交通事故であっけなく終わりを告げる。そこからは母親の痕跡を追いかけるように、悲しみに繋がる無慈悲な追いかけっこが始まるのである。癲癇の発作からスピリチュアルな瞬間に達する一連の流れはカプランオールの真骨頂である。ユスフ少年は自ら迷宮の中に押し入り、そこで現実とは違う霊的な体験をする。『お引越し』の田畑智子が両親の離婚で森の中を彷徨い歩くうちに無理矢理に成長の機会を迎えたように、今作でもユスフ少年は大人に対する一抹の不安と希望を抱えながら、徐々に大人へとなっていく。

 それにしても映画の中で綴られる物語には毎回感心する。人間の記憶というのは本来こういう断片的なものであり、大きな物語には繋がらない。その時の温度や湿度や風向きは覚えていても、なかなか台詞までは覚えていない。自伝的物語を設定する際、普通は美談で物語を埋めようとするのだが、セミフ・カプランオールはあえてそれをしない。だからこそ断片と断片はしっかりとつながることなく、ぶっきらぼうにくっついていく。
Omizu
3.5
【第65回ヴェネツィア映画祭 コンペティション部門出品】
『卵』から続くセミフ・カプランオール監督による「ユスフ三部作」の第二作。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され、トルコ映画批評家協会賞では作品賞にノミネートされた。

若年期のユスフを主人公とする。『卵』より時系列的には遡る。

一シーン長回しの詩的な語り口がやはり素晴らしい。これも特段大きな事件が起こるわけではないが、ユスフの心の動きを繊細に描写している。

面白いかというと微妙。しかし三部作の間の二作目ということを考えると繋ぎの一作としては十分。主人公の詩をめぐる豊かな描写がいい。

主に母との関係を描いている。基本的にはいい子であるが母の思い通りにはいかないというもどかしさも含んでいる。

かなり独特の語り口を持った作品であるだけに観る人をかなり選ぶ作品であると思うが、個人的にはこれはこれでアリかなと思う。『蜂蜜』ではどのようにユスフが描かれるのか楽しみ。
トルコのセミフ・カプランオール監督による【ユスフ三部作】の2作目です。

映画としては『卵』→『ミルク』→『蜂蜜』の順番です。
覚え方としては、採取が楽な順です。

卵はそこにあるのを拾えばいい。
ミルクは絞らなきゃいけない。
蜂蜜はだいぶ危険を犯さなければならない。

時系列的には『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順になります。
それぞれ少年ユスフ→青年ユスフ→おじさんユスフです。

映画の順番だとどんどん若返っていくわけです。


*****

この映画の主役は青年ユスフ。
高校を出たばかり、らしいです。

酪農を営んでいる家の仕事を手伝いつつ、詩を出版社に提出しています。


*****


ユスフ、ゲイ説を唱えようと思ったのですが、どうやら違うようですね。

多分同い年の男の友人。
しかも土木をやっているその友人を、
ユスフが上から下まで舐めるように見るシーンがあるんです。

そういう風にカメラが動くことが他にないのでものすごく印象的でした。

で、そういえば青年ユスフは冒頭で美女を追いかけますが
その追いかけ方も微妙すぎて
本気でその美女とどうにかなろうなんて思ってないんじゃないかと思います。

また、別の美女と翌日のデートの約束を取り付けますけど
翌日にデートをしたシーンはないし
一切そのことには触れない。。

女性に興味ないけど、一応トライしてる、というエピソードなのかな、と。ゲイかな、と。

思ったんですが、多分違いますね。


***** 


女性や恋愛に奥手だということを示すエピソードでしょう。

友人をジッと見たのは、おそらく「父親」の姿を彼に見たのでしょう。

森の中で労働していた父の姿を友人に重ねて、
家の中で詩を書いている今の自分と比較したのでしょう。



*****


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