【第77回カンヌ映画祭　ある視点部門出品】
ヨルゴス・ランティモスのパートナーで俳優としても活躍するアリアン・ラペド監督の長編デビュー作。カンヌ映画祭ある視点部門に出品された。

姉に支配される妹、接し方が分からない母親を描いた家族ドラマ。ランティモスのパートナーと聞くとなるほどとなるホラーのような奇妙な演出が面白い傑作。

姉のセプテンバー、妹のジュライ、どちらも月の名前という設定が深みを増している。ジュライは学校でいじめにあっているが、それに対してセプテンバーがある行動を起こす。

最後の終わり方はけっこうビックリした。ままある展開ではあるが、英語圏の映画とは思えない奇妙な見せ方が鋭い。全体的にソリッドなつくりとなっていて自分好み。

虐める側が車いすの女子生徒というのが現代的な気がした。まぁそういう風に描くのに賛否両論あるだろうとは思うが、車いすの女子生徒がそういう立場に置かれるというのはあまり見たことがなかったので新鮮に映った。

タイトルの「セプテンバー・セイズ」はそういう姉妹間の遊びからきている。姉が妹に命令し、その通りに実行する。それは言わずもがな姉の妹への支配を示しているのだが、それが最後に効いてくるというスタイルが面白い。

ロケーション含め美しい撮影とは対照的な暗黒家族ドラマとしてよくできていて素晴らしい。ソリッドな演出が見ていて楽しく、そして辛い。今後成長していきそうな監督、追いかけていきたい。

• #第77回カンヌ国際映画祭

面白かった〜！結構好きな感じの作品。
ランティモス監督のパートナーでもあるラベド監督が撮ったということもおり、終始不穏な感じ。

姉に支配されるような生き方をしていたジュライは、恋愛に目覚めて少しずつこの生活がおかしいと感じている。
中盤の事件で姉のセプテンバーはジュライを守るが、海辺の街へ引っ越す。

この辺りから不穏さがさらに増していって面白かった。

姉妹をどう扱っていいかわからない母親。そして姉の正体。
ラストもびっくり。

結末を知った上でもう一回見返したいな…。

守ることと支配することの境界が曖昧になった姉セプテンバーと、姉への服従の中で息苦しく生きる妹ジュライの歪んだ絆を描いた、女優アリアン・ラベドの監督デビュー作となる心理ドラマ映画。原作は、英作家デイジー・ジョンソンの小説『Sisters』。

現代版ゴシック小説を映像化したような不穏な空気感や、姉妹の関係性（特に、姉・セプテンバー）の奇妙さがこの映画に独特の雰囲気を与えている。ストーリーや台詞にちょっと辻褄の合わない部分が見られるが、それが気にならないほどのインパクトがある。ラストの展開もなかなか見事。デビュー作でこれだけの世界観を表現するアリアン・ラベド監督の今後の作品に期待したい。

アリアン・ラベド監督が今まで俳優として出演してきた「ギリシャの奇妙な波」作品や監督の影響を受けていると思われる箇所も、随所に見られる。例えば、姉妹が時々みせる奇妙な動き（ダンス）や動物の使い方など、アリアン・ラベドの映画デビュー作である『アッテンバーグ』との類似性がみられる。もちろんパートナーであるヨルゴス・ランティモスの影響も受けているだろう。

（追記 2025.5.3）
『九月と七月の姉妹』という邦題で日本公開が決まった。この邦題は原作の小説 "Sisters" の日本語タイトルをそのまま採用したみたいだが、セプテンバーとジュライという姉妹の名前なので、日本語に訳しちゃうのはどうなの？まさか字幕では訳さないよな。