“僕らは全てを失う危険を冒している。”

19世期初頭、イギリス上流階級の青年の禁じられた恋の物語。“君の名前で僕を呼んで”の脚本家ジェームズ・アイボリーがその30年前に作り上げていた作品。ロケーションや時代背景が違っても美しい描写は変わらず。

いつの時代でも同性愛者って自分を偽らなきゃいけないんだって事がとてもリアルに描かれる。今でも自分に嘘をついて女性と結婚している人は沢山いるのだろう。ちょっと2時間超えは長く感じたし、ヒュー・グラントは女好きの役のイメージが強いから若干違和感はあったけれど、ラストシーンが切なすぎて全て持っていかれた。本当の幸せとは…。

• #London(UK)
• #LGBT映画録

君が好きだ…

君はひどい奴だ。僕の心をこんなに乱すなんて。これは卑しむべく罪悪だ。許されぬ罪だ。同性愛は当時のイギリスでは犯罪ダーッ！

20世紀初頭のイギリスの闇を描く。磁石のように惹かれ合う野郎どもの物語だ。上品に格調高く描くため、勉強にならない。

おヒュー・グラントの凛々しい美青年ぶりにそのケもないのに、得体のしれない何かが沸々と湧いてくる。モーリスを演じるジェームズ・ウィルビーの端正なケツアゴぶりに芸術性を強く感じる。

そのケのある方々の同類を見抜く眼力に感心してしまう。そのケに目覚める過程から丁寧に描かれるため、今後の人生の参考になる。

参考にしてんじゃねーっ、バッキャローッ！

• #ゲイ術的
• #大英帝国の闇

彼がいなければ、こんな幸せで愛おしい感情を抱くことはなかった。

彼を知らなければ、人の目を気にして気持ちを押し殺すことなんてしなくて良かった。

上流階級の堅苦しさのなかで臆病になった君は僕のドアを開けたくせに、君は僕の部屋に入らない。

ぼくはあの頃の気持ちに足踏みしているのに、君は何事もなかったように爽やかに今の瞬間を謳歌する。

美しい青年同士の同性愛を描いた作品なので、一部のBL好きな方が萌えそうな作品ですが・・・
「眺めのいい部屋」「ハワーズ　エンド」の原作者であるＥ・Ｍ・フォースターらしい耽美的な映像表現が美しい、れっきとした文芸作品。
なるほど「君の名前で僕を呼んで」の脚本家だということもかなり納得できる非常にエレガントなストーリーだ。

若きヒュー・グラントはかなり美しく、思い悩み顔をしかめる姿でさえ絵になったが、
社会的地位を捨てきれずに欺瞞の人生の方をあっさりと選んだクライブの役が彼に非常によく似合う。
モーリスの扉をノックしたのにも関わらずモーリスのアレックへの気持ちをグロテスクと言う彼へ向けるモーリスの気持ちは切ない。

クライブとは真逆に、過去も何もかもを捨ててボートハウスに向かうモーリスと、もう腕に抱くことのできないモーリスを思い出すクライブ。
一体どちらの人生が幸せなのかはわからないが、無邪気な笑顔で微笑むモーリスの回想シーンが詩的な余韻を残す美しい作品だった。