▪️Title :「12人の怒れる男」
Original Title :「12」
▪️Release Date:2008/08/23
▪️Production Country:ロシア
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2019-158
▪️My Review
1957年の名作『十二人の怒れる男』を現代のロシアに舞台を置き換えてリメイクした作品ですね。アメリカのオリジナル、リメイク版と比べて、少年をチェチェン紛争の孤児にするなど当時のロシアの抱える世情を色濃く反映した作品になっています。
９５分のアメリカ版に比べて２時間４０分と重厚・長尺になったロシア版は、アメリカ版の陪審ドラマのエッセンスを単にロシア風にリメイクしただけではなく、新たに多くの重厚かつヒューマンな問題提起をしてるんですよね。ロシア版では評議の合間に再三再四フラッシュバック的に生々しいチェチェンでの戦いの様子が登場するのもその一つですね。それと、アメリカ版も陪審員としての評議の中に、１２人それぞれの人生が映し出されていますが、ロシア版はそれを徹底的に追及しているところがすごいですね。
でも、わたしにはやはりオリジナルをはじめて観た時の強烈な印象を超えることはできませんでした。
それでもやはり重厚な素晴らしい作品ですね。

▪️Overview
シドニー・ルメット監督の名作「十二人の怒れる男」（57）を、「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」「太陽に灼かれて」「シベリアの理髪師」などで知られるロシア映画界の巨匠ニキータ・ミハルコフがリメイク。ロシア軍将校だった養父を殺害したチェチェン人少年の裁判を通して、現代ロシア社会が抱える問題や多民族国家ならではの偏見を浮き彫りにしていく。

結構前にこのロシア版を見ていたのに間違えてアメリカ版をMarkしていたみたいです。なので思い出し感想です。

アメリカ版は裁判所の一室で、ロシア版は学校の体育館で判決を下します。アメリカ版と違うのはそこくらい。

ただバカ長い。アメリカ版は90分くらいで見やすかったけど、こっちは160分。結構見てて辛かったのは覚えていて、しかもどうでもいい様な話も盛り込んで来て本当にダラダラとした会話劇でした。

明らかにアメリカ版の方が面白いし、こっちは二番煎にしか思えません。見るなら断然アメリカ版をオススメします。

【第80回アカデミー賞　外国語映画賞ノミネート】
『戦火のナージャ』ニキータ・ミハルコフ監督作品。シドニー・ルメットによる映画で有名な『十二人の怒れる男』をロシアに舞台を移しリメイクした作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

ミハルコフの映画はあまり好きではない。よく出来ているけど印象に残らないという感じだったが、本作は非常によかった。リメイクの塩梅もいい。本当によく出来ている。

養父を殺したチェチェンの青年は有罪か無罪か、12人の陪審員たちが討論する。それだけのストーリーで持たせるというのはルメット版でもすごいと感じたが、本作も負けていない。今回は容疑者をチェチェンの青年としたことでロシアならではの社会構造を浮き彫りにすることに成功している。

演出もさることながら、ニキータ・ミハルコフを含む12人の陪審員たちの演技合戦も見どころ。それぞれに立場も思想も異なる12人をそれぞれがアツく演じていた。

チェチェンという紛争地帯をもう一つの舞台とすることで紛争の残酷さを描出している。冒頭からしっかり伏線が張られているのも流石。終わり方もお見事！

これはミハルコフ会心の作品なのではないだろうか。リメイクだからと侮るなかれ。面白いし非常によく出来たサスペンスになっている。

• #第80回アカデミー賞
• #第64回ヴェネツィア国際映画祭