気になっていたものの293分にたじろぎ、ど〜にも手が伸びなかった作品でした💦
ところが今作は1本の長編ではなく、スウェーデンのTVドラマとしてほぼ50分×6回で放送された1話づつ独立した計5時間の作品になっていました。
3時間弱に短縮した劇場版もあるらしいですが、U-NEXTはTV版でした。
1話目から面白くて、あっという間で結局一気観しました👍


結婚10年目となった夫婦の生活を通し、時に友人や親との関わりも出て来ますが、ほぼ夫婦2人だけでの会話劇です。

ベルイマンの作品で有名なスヴェン・ニクヴィスト撮影監督によってのカメラワークも見ものです❗️


ユーハン（42歳、心理学研究所の助教授）とマリアン（35歳、民法の弁護士）は娘2人と幸せな家庭を築いている。
口論になってもその都度話し合いで解決し、本音は相手に伝えずグッと押し隠しているところがある。

1、2話はちょっととぼけた夫に可愛い妻という、どこにでも居そうな平凡な夫婦に見えます。
ただ、3人目の妊娠が判った辺りから2人の考え方に乖離を感じ始めます。

3話目には急展開があり、ユーハンが突然、若い愛人がいることを告白して離婚したいと言い出すんです😲
その理由はどうしたって一家の主人、子供を持つ親の言い分ではなく、観ている者は皆んな呆れて開いた口が塞がらない状態になるはずです。
マリアンは夫を愛していて、やり直すことを願いますが、夫は半年間仕事を休み、若い女と外国へ行ってしまいます。

5話は数年後、形だけの夫婦で別居が続いていたので、いよいよ離婚届にサインをすることにして久しぶりに会います。お互いに新鮮な気持ちになったのか、身体を求め合う不思議な空気感に...
しかし、ちょっとした言葉の綾から今度は抑えられない感情が沸点を飛び越し、ユーハンがツバを掛けるわ、手が出るわ蹴るわの格闘に😱
これはあり得ない、男が女に手を上げるのはご法度ですね😖

6話は伏せますが🤫ビックリ仰天❗️


スウェーデンの性生活は日本人とはまたちょっと違う（意外に奔放で、浮気は秘密にして男女共にお盛ん）と思えたし、宗教や文化の違いは当然に感じました。

ベルイマンの独特な世界観。エゴイズム、ニヒリズム、不誠実、被害者意識、愛の持続不可などが執拗さで描かれています。

まぁ、夫婦の形は千差万別だし、愛に形があるわけはないんです。
他所の夫婦喧嘩なんかど〜でもいいわ！とは思うものの、さすがのベルイマン、300分の間、目を離せなくしてくれます🤭

リヴ・ウルマンが本当に美しい✨
ベルイマンと共に作品を作り上げている最高潮期でしょうか？

かなり面白かったです💫

• #のんchanキリ番レビュー

　交通渋滞を多発させ、デンマークの離婚率を増加させたという伝説の連続テレビドラマ。6つのエピソードによって構成される本作『ある結婚の風景』は、巨匠イングマール・ベイルマン監督による5時間弱の「夫婦喧嘩・小言耐久レース」です。

　「ビフォア三部作」、『ブルーバレンタイン』と並んでカップルでは絶対に観てはいけない作品でしょうか。
　冒頭の幸せそうに見える主人公夫婦の華々しいインタビューから一変、「ちょっと他所でやってくれますかね？」な他人の家で繰り広げられる夫婦喧嘩、そして残りの4時間はひたすらに夫婦の小言合戦・喧嘩風景を見せるという、ベルイマン後期における「日常という地獄」特に「家族の愛憎劇」を凝縮させたような地獄の一本です。

　この『ある結婚の風景』がとにかく異常なのは、基本的に1エピソードを1シチュエーションの会話で押し切るという「会話劇」を極めたようなその構成に尽きます。元々は演劇出身のベルイマンの自信がそうさせたのか、余りにもセット然とした舞台の反面、リアル過ぎる小言・喧嘩会話劇でずっと見せ切るなんて、常識のある作り手のする事とは思えない。にも関わらず、しっかりと面白いのがベルイマンの凄味なのですが。

　そもそも結婚に「愛」は必要あるのか。絨毯の下に隠していた問題事が、その表面に顔を出した瞬間に崩壊してしまう「結婚」という脆いシステム。
　地獄の「結婚あるある」を5時間ずっと見せられながらも、最後にはしっかりと人生の不確かさ・混沌と不安を肯定し、最終的にはその不確かな「愛」そのものを讃える。『ファニーとアレクサンデル』も同様ですが、最後には家族における曖昧な「愛」をしっかりと可視化し、その存在を少しでも証明してハッピーエンドとして締める姿勢は、地獄の長尺を見てくれた我々観客へのプレゼントのようで、そのベルイマンの策略に見事にハマった私は「この5時間耐えて良かったな」と思ってしまうのです。

倦怠夫婦映画の頂点


スウェーデンの巨匠 イングマール・ベルイマン監督作品

ベルイマンの凄まじい考察力、というよりも人間力を思い知らされる1本

結婚10年目のおしどり夫婦が、あるきっかけから徐々にすれ違い、別れに至るさまをリアルに描く

当初はスウェーデン国営放送のもとで、各50分全6話で約5時間のTVシリーズとして制作されたもので、映画用に2時間半ほどに編集されたバージョンもあるらしいですが、今回はオリジナルの約5時間バージョンを鑑賞

かなりシビアで気軽に観られるような作品ではないんだけど、1話ごとに続きが気になってしまう内容で、結局ぶっ通しで観てしまった

クローズアップを多用しながら夫婦の心理巧みに描き出し、ひたすら続く他愛もない会話劇
それも一部を除いた大半は夫婦間のみという凄さ
にもかかわらず一切単調な会話にはならず、互いの心情を吐露しぶつかり合う口論は圧巻で、5時間という尺の会話劇も全く飽きさせることはない

むき出しの感情とともに放たれる、容赦のない生々しい会話の応酬には、心を抉られるような気持ちにさせられた…

3話以降は『マリッジ・ストーリー』や『ビフォア・ミッドナイト』の喧嘩シーンを延々見せられている感じですが、心を捉えた品のあるセリフの連続で、その心地悪さすらも抜群に面白い

娘も二人いて平和に満ちた幸福な生活を送ってるが、感情を隠した生活で次第に亀裂が入っていく

憎しみ罵りあうかとおもえば、その後すぐに何事もなかったかのように愛し合う
たった一言で一気に雲行きがあやしくなってくる感じもかなりリアルだし、愛と憎悪が繰り返されていく様子もめちゃくちゃリアル
何だかんだで愛し合ってる二人を見ていると、孤独を恐れるだけの共依存なのではないのかなと

『マリッジ・ストーリー』に多大な影響を与えたらしいですが、モロに重なる部分だらけでリメイク元と言っても差し支えない気もする

結構壮絶な物語なのに、1話終わるごとに綺麗な風景をバックにスタッフの名前を読み上げるのは中々シュールで面白かった

しかしこの夫はさすがに酷すぎやしませんか…😨笑

『ブルーバレンタイン』を筆頭に、素晴らしい倦怠夫婦映画は数多く存在しますが、本作がその極点と言っても過言ではないと思う

ベルイマン作品とはいえ小難しいわけでもなく、約5時間と長尺ではありますが、6話のドラマとしてみれば時間を忘れてサクッと観れちゃうので、ひたすら続く会話劇に抵抗のない方なら超おすすめです☝🏻🔥

続編の『サラバンド』も絶対観たいけど、どこで観られるんだろう…

“夫婦に必要なのは、思いやりの心と慈しみとユーモアと寛容の心
相手へのほどよい期待
それがあれば愛は関係ない”

〈 Rotten Tomatoes 🍅90% 🍿95% 〉
〈 IMDb 8.5 / Metascore - / Letterboxd 4.2 〉

2020 自宅鑑賞 No.437 GEO

• #－AllTimeBest－