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『ニコラ』に投稿された感想・評価

mizuno

mizunoの感想・評価

3.3
子供の頃は怖いものがたくさんあった。 幽霊、暗闇、宇宙人、口避け女、熊に喰われること、体が溶けること…。 大人になった今は「女の嫉妬」や「クレーマー」の方が断然こわいけれど、昔は目に見えないものでも簡単に信じられた。子供の想像はどこまでも飛んでいくもの。ニコラの恐怖がよくわかる。




ニコラの不安定な妄想はスキー合宿の初日から始まる。始めての場所、始めての集団行動、ただでさえ心細い上に、なんと彼は荷物の入ったバッグを忘れてきてしまう。スキーウェアどころかパンツの代えすらない。オネショシートなしでは眠れないのにどうしよう…。
なんてこった。大人なら策はいくらでも思い付くだろうけれど、子供にとっては間違いなくこの世の終わりだ。絶望だ。その夜から早速ニコラは悪夢にうなされる。それがこう、実際によく夢で見るような突飛な狂気に満ちていて恐ろしい。自分の頭の中で作られているとは信じがたい変態性。閉じ込められたり切り刻まれたり…。夢は容赦なく己を追いかける。寝汗ぐっしょりで飛び起きるあの感覚がこちらにも伝わるようだった。
そこからは転げ落ちるようにニコラの夢と妄想はゴッチャになっていく。こんがらがる世界に「性の芽生え」まで混ざり込みますますこじれる。この後ろめたさがとても良いアクセントになっていた。さすがフランス映画だ。
ただ、そのゴッチャリ感にも若干飽きがくる。意味深に絡んでくる事件や父親の存在がスッキリしないところも惜しい。魅せられる題材なのは確かだけれど、もう少し直接的に分かりやすいラストにしてもよかったのではとも思う。




実はわたしも小学生の頃ノイローゼ気味になったことがある。きっかけはノストラダムスの大予言…。1999年に降りてくるという恐怖の大魔王に完全にとり憑かれ夜も眠れずご飯も食べられず、ほとんどゾンビのような顔をして学校に通った時期があった。さすが子供!と、今となっては笑い話だけれど、思い返せば原因は大魔王だけではなく、クラスで起きていたイヤな出来事や友達関係が気づかないうちにわたしをモヤモヤさせていたのだと思う。子供の世界は小さい。逃げるすべも知らないし、うまく言葉にも出来なかった。あの頃の憂鬱が少しだけ蘇る。
emily

emilyの感想・評価

3.9
内気なニコラ少年は12歳。厳格な父に育てられ、妄想と夢の世界に逃げ込んでいる日々。冬期林間学校に参加することになるが、父から聞いた臓器売買の話や、父が医療機器のセールスマンは表向きの仕事で密売人の捜査をしているなどと友達になったオドカンに話す。ちょうど子供の行方不明事件が勃発し、警察が探しているのは父親の車と同じ車種の車だった。

物語は説明を一切省き、現在と過去の時間軸を交わらせ、そこに少年の幻想と夢と嘘が交差しながら、その交わりが徐々にボーダーラインを危うくかき消しながら進んでいく。ニコラと同じように、観客も現実と幻想の区別がつかないままラストシーンを迎えるのだ。大事な会話はすりガラスの向こうでぼやかされたまま、二コラと同調し合い彼の眼が観客の眼となっていくのが特徴的である。

二コラの妄想や夢への持っていきかた、画面の切り替えが非常に自然で、呑み込めないまま時間軸まで交差していくのだ。彼の妄想には常に車が落ちて、血だらけの父親が映る。直接的な描写はなくとも過去軸で父のリストカットの痕や性癖も見え隠れする。

人間の心臓を死のイメージとして描写され、それは父親の死だけでなく自分の死の幻想へも向けられる。それらの描写は臓器売買の話と父親の医療機器に慣れ親しんだ二コラだから、かなりリアリティがありグロテスクな描写も多い。そこに性の描写も交わってくるのだ。女を身近に知らない少年の相手は女教師である。母親ではない。

それらの描写と対比するように純白の雪景色が広がる。そのはかない無音の美しさは少年の心の止められない恐怖と交差し、危うい冷えた空気感を作り出す。少年の妄想が徐々に現実との空間を埋め、悪の自分が願った幻想が現実の物と同じになっていく。ミサンガが切れるとその願いが叶う。しかしその現実はかなり先延ばしにし、大人の口からも何も語られない。味方だった先生からも何も教えてもらうことはない。言葉には嘘や主観が乗ってしまう。しかし二コラ少年はその現実を目前にして理解するだけの経験があるのだろうか。何も語られないままその現実を少年達の目で映す。見せられた物には説明がないと理解できないままラストを迎える。その後味の悪さが良い余韻となり、子供に真実をしっかり言葉で伝えることの大事さをたたきつけてくる。

二コラの自分の勝手な解釈と妄想により作り上げた世界が、また現実の世界でも繰り返されるのだ。彼は見たものを自分の頭で理解しようとするだろう。そうしてそれは真実とかけ離れた物になってしまうかもしれない。言いたくないことを先延ばしにする大人、観客に子供との距離感を問う。子供だって真実を知る権利がある。それを知らされなければ勝手な真実を自分で組み立ててしまうのだ。わからないならわかるように説明すればよい。いつだって真実だけが心を開放するのだから。
がい

がいの感想・評価

3.8
また不思議な感覚になる映画に出会えた

ニコラという少年のスキー教室での話

現実、過去、妄想、夢想、、色んなものが入り混じり、この年ごろの不安さがこちらまで伝わってくる。
あ、コレは何かのヒントなのか?な画もあり余計に惑わす不思議映画。

彼がつけたミサンガ。この小物使いの余韻が引きずる。

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