冒頭、山奥深く、荒れ果てた小さな寺。年老いた禅の老師。若い僧と幼い孤児がいた。男の子は鳥に石を投げて傷つけた。川の流れに身をまかせ、牛が道を正す。盲目の母と妹を残し出家した青年、火、風、土、水、木々。死、装束、僧舞い。今、森羅万象全ては美しく炎の中へ荼毘に付す…本作はペ・ヨンギュンが八年を費やし創り上げた処女作で、一九八九年に監督した韓国映画史上の最高傑作で、この度VHSを購入して初鑑賞したが私の韓国映画ALL TIME BEST堂々の1位となった。これは凄まじすぎるほどの傑作であり、とんでもない映画である。これほどまでに傑作な作品が未だにVHSに残っているのが信じられない。どうやら発売元はシネセゾンで販売元はキングレコードだ。何とかしてこの作品をソフト化してほしい。なぜここまで私が絶賛するかと言うと韓国にも禅を問いかける作品があったのかと言うのがまず驚きである。題名は六世紀に達磨大師が東方へ渡来した意味を問いるようだ。ここまで作品自体が雄大な禅を問いかけ、神秘的で木々のざわめきから炎のはぜる音まで描写しているのに驚きと感動しかない。また繰り返すようだが、これがDVD等になっていないのに正直驚きを隠せない。