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フェリーニ 大いなる嘘つき
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『フェリーニ 大いなる嘘つき』に投稿された感想・評価

晩年のフェデリコ・フェリーニ監督の貴重なインタビューを主軸にしたドキュメンタリー映画。

フェリーニ監督のみならず、長年付き合いがある美術スタッフ、カメラマン、作家、幼馴染みらが出演

俳優では「カサノバ」のドナルド・サザーランド、オムニバス作品「世にも怪奇な物語」の最終章「悪魔の首飾り」のテレンス・スタンプ、そして個人的に未見のままである遺作「ボイス・オブ・ムーン」のロベルト・ベニーニという何とも個性的な顔ぶれが登場。フェリーニファンから見れば十分に豪華な顔ぶれなのだが、本作の制作時には既に他界していた、フェリーニの数々の代表作の主演を務めたマルチェロ・マストロヤンニ。無理とは分かりながらも、彼の目にはフェリーニがどのような存在として映っていたのかは知りたかったところ。

フェリーニがここで語る映画を含めた芸術論や人生観は、やはり彼自身が生粋の芸術家なので、感性で語る部分が多く、一般視聴者には少々分かりづらい。

タイトルにある“大いなる嘘つき”に関しては生まれ故郷であるアドリア海に面した地方都市リミニを初めて自身の作品で登場させた時(「アマルコルド」?「8 1/2」?未見の「青春群像」?)にリミニで撮影を行わず、フェリーニの言葉を借りれば“創作”した事に繋がる。

ただ、それだけでなく同じインタビューの中で「撮影現場から離れると途端に孤独に襲われる」と語りながらも「映画撮影に関しては既に前払い済みのギャラを無駄にしたくない気持ちだけで臨む」と矛盾する下りや「女性に対しては常に恐怖感を抱」”等、監督作品群の世界観や彼自身の奔放な女性遍歴からはほど遠い内容も多い事から、終始真面目なインタビューながらもフェリーニならではの“うそぶき”とも捉えられる。

ピカソに朝食を用意してもらった夢を見ながらもピカソの影響は全く受けてもいないし作品でモチーフにした事もないと言い切る様もとてもフェリーニっぽい。

個人的に印象に残り共感も出来たのは「真の芸術とは、色遣いや時代をわたって愛される事など関係なく、いつの時代に見ても活き活きとしている物だ」という部分。

他の出演者が語るフェリーニ像がそれぞれ多種多様で面白い。

ドナルド・サザーランドは「脚本なんて無いも同じで、突然現場で5分間の長尺のモノローグの台詞は覚えさせられた。当時700ドルもする生地で作られた衣装で男性と交わるシーンを演じたのに丸々カットされた」と終始憮然とした表情でやや不満気味。

対してテレンス・スタンプは初対面の監督の対応に驚いたもののフェリーニが最後まで映画化を夢見ていた作品について監督と語ったエピソードなどは好意的に受け取れる。

インタビュー映像の所々で監督作のワンシーンが何度も挿入されるが「カサノバ」「悪魔の首飾り」「女の都」、学生時代にVHSレンタルで鑑賞しこれでフェリーニファンになったと言っても過言ではない「そして船は行く」(これがDVD化されてないのが悲しい)。中でも頻繁に登場するのが「8 1/2」。学生時代にやはりVHSレンタル視聴のみで殆ど内容までは覚えていないので、このドキュメンタリーを見る前に再鑑賞しておくべきだったと大いに後悔。

意外にも個人的にも邦画では一番完成度が高いと思う「羅生門」についてもフェリーニは多少なりとも影響を受けているとの事。但し、多くの映画関係者が評価する当時としては斬新な太陽を真正面から撮るテクニックやパンフォーカスといった技法や物語構成ではなく、自然や空気の描写が彼には響いたようで・・。こういう感性もフェリーニ独特だなあと。

フェリーニファンとしては非常に興味深い作品。逆を言えば、フェリーニを殆ど見た事が無い方にはあまりお勧め出来ないかな。
leyla
3.8
フェリーニの亡くなる少し前のインタビューと俳優やスタッフの証言によるドキュメンタリー。

子供の頃、街にいる奇妙な人、変な人に憧れたという。そのイメージが彼の創作の原点にあるのだと思う。

本物より創造の方が現実に思えることがあるそうだ。海は本物より布で作った海の方が方が彼のイメージでは現実的なのだ。大いなる嘘が彼にとってはリアルということ。

そんな風に撮っているのかと撮影風景に驚いた。脚本はあるけどないようで、台詞も動きもフェリーニがその場で指導しながら、俳優は人形のように動く。ほぼ即興みたいだった。フェリーニは「即興」という言葉は使いたくないと言う。イメージに合うまで妥協しないから周りは大変だろう。

『カサノバ』に出演していたドナルド・サザーランドは、撮影は地獄だったと言う。フェリーニは独裁者で悪魔。彼は人形使いで俳優は人形だと。フェリーニ自身もサザーランドも「霊媒師」という言葉を使っていた。

「芸術家は霊媒師である。魔法に掛けるのだ」

マシーナの言葉をもっと聞きたかったな〜。ロベルト・ベニーニは晩年の作品に出演したからか、子犬のように可愛がられたのだとか。テレンス・スタンプは短編だったから、サザーランドほど苦労はしなかったようだ。マストロヤンニはいつも疲れているから、言われるがまま人形のように動くだけで、それがフェリーニにとっては最高の役者だってスタッフが言ってたのはほんとかな。笑

フェリーニの口から何度「芸術」という言葉が出てきたかわからない。彼にとって映画は芸術で、芸術こそが自分自身なのだろう。ま、芸術家はたいがいエゴイストでナルシストだな〜

差し込まれる過去作品の映像のなんと魅力的なことか。


📌MEMO

『羅生門』が映しているのは空気。

創作の栄養になるのは心理的トラウマ。
自分が神経症なのは神のおかげだ。

「芸術とは、その作品がイキイキとしているかどうか」

「芸術は、人間には宗教心が必要だということを教え込む最高の方法だ。どんな芸術もだ」
3.2
大監督フェリーニの死の前年のインタビューをメインにして、彼の作品に登場する俳優や現場スタッフの証言からなるフェリーニのドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーといっても映画監督なので映像シーンがとても多いし、彼の映画に対する考えが非常に判る。なので、どちらかというとフェリーニの観賞ガイドみたいな印象を持った。

フェリーニは、「自分が感じている世界は、リアルの映像ではなく、創作のほうがイメージにあるリアリティを再現できるので、自分は大うそつき」だと言う。なので、徹底的に創作にこだわり、故郷の街の撮影ですら街全体を全てセットにし、海の映像も現場ではなくスタジオでビニールで海っぽいシーンを作るなど変わったやり方をしている。車の運転シーンや馬車に乗っているシーンも、スタジオ内で周囲の光景を動かして撮影しているのには驚いた。
自分が感じた世界、頭の中の妄想世界こそが事実なので、実際ある世界は事実ではないということだろうが、俳優への指導法も含めて相当変な監督だと思う。そのこだわりが独特の映像を生みだしたので、フェリーニの入門編として最適だと思う。
以前に彼の作品を一通り観たときはそんな変な撮影法をしているなんて全く気付かなかったので、これを機に彼の作品を観直そうと思った。

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