Netflixでジェリー・ダーマーのドラマ配信開始したよね。90年代悪趣味ブームにシンクロした身なので楽しみでしかたない😏
ドラマ観る前に閉店するTSUTAYAで叩き売られてたこれを再見しようかな、と。しかし、TSUTAYA潰れすぎだよな。生活圏から一店も無くなるよ、、こうなると配信にはもっと旧作を充実させて貰わないと困るぜ。観れないものが増えそうな、、

本作だけど、初見時、ガッカリしたんだよ。タイトルかっこいいし、ダーマーの所業をかっちり見せてくれるのかと期待してたら、ダーマーの父親の視点の物語で息子がシリアルキラーになってしまった親の苦悩話だったからな。
ダーマーと言えば自宅マンションに男性を連れこんで拘束し殺害、その遺体の一部を所持し、時にはそれを食べていたという一戦級のシリアルキラーだから、それりゃ親が動転するのもわかるけど、本作手に取る人が観たいのはそういうんじゃないよな。

本作はダーマー父が書いた手記が原作。だから本当に親から見たダーマー、彼がダーマーをどう育てたかがわかる。そういう意味で資料的な価値はあるのかも知れないけど、おれはこの原作本持っていて、当然読んでもいるので知ってることばかりなんだよ。それをは薄めて映像化されても何も心を動かされないよ笑

ただ、おもしろいのはダーマー父はダーマーに深い愛情を注いだと記してるんだけど、ダーマーは裁判の過程で父親から精神的虐待、性的虐待を受けていた供述してる。真実はわからないけど、ダーマーはハイティーンの頃に一人で自宅に放置されている時期があって、これは父も認めていて、完全にネグレクト状態に置かれていた。
そして寂しさを埋めるため同性愛者なこともあり、男を連れ込み、この時も一人殺害している。
ダーマーは犯行の動機を相手に「帰る」と言われると無性に孤独を感じ自分の元から去ってほしくない思いに駆られて殺害したと言っている。遺体の一部を所持していたのは遺体の一部をがあると彼らがいるようで寂しさが紛れるからとも言っている。
やはり、ネグレクト期がダーマーを狂わせてしまったように思える。でも、食べたのは謎だよな、グツグツ煮て調味料使って美味しい人肉料理にしてたみたいだけど、職も不安定だったし経済的な側面からかな？

あと、ダーマーはメタル好きで聴いてるメタルバンドの悪魔崇拝や猟奇性のある歌詞に触発されたと言われたりもした。これに関してダーマー父が手記の中で、息子はデフ・レパードやAC/DCのような健全なバンドを愛聴してただけで、言われてるような不謹慎なバンドは聴いてないよ、と変なフォローしてたのがおもしろくて印象に残ってる。ダーマー父、それ、何のフォローにもなってないよ、、笑
この件は本作にも入れてほしかったな。

聴いていたバンドの全貌は不明だが確かにダーマーはメタルを愛していた。実はメタル/エクストリーム・ミュージック界隈もダーマーを愛している。
macabreというデスメタル・バンドはまるまる一枚ダーマーをテーマにしたコンセプトアルバムを発表している。タイトルも『ダーマー』
その物スバリ、ダーマーというバンド名のグラインド・コア・バンド、パワーバイオレンス（ハードコアのサブジャンル）・バンドのアパートメント213はダーマーの部屋番号をバンド名にしている。
海外のみならず日本が誇るシリアルキラー・ウォーシップ・ドゥームメタル・バンド、チャーチ・オブ・ミザリーもダーマーを曲にしている。
メタルじゃないけどオルタナ・バンド、セラピー？のトリガー・インサイドという曲には、（孤独過ぎて）ダーマーの気分がわかる、という一節がある。

以上、際立ったものをセレクトしたけど、他にもあって、ダーマーには言及したくなる何かがあるんだと思う。
自分もダーマーには単に突出したシリアルキラーへの興味を越えた強い思いがある。何故、こんなやつに思われるかも知れないが、うっすらとシンパシーを感じている。そして僅かな好感も。
他のシリアルキラーは有名になることで自分の言葉が世間に求められていることを知り、自分の言葉の価値を知ってしまってから、夜郎自大になり自身の超越性を強調したり、世間が望んでいるであろう猟奇性を脚色し自意識を肥大させていくのに対し、ダーマーは求められても多くを語らない。自己顕示欲が希薄。ただ訥々と自身の不遇と孤独を語る。飾らずに。シリアルキラーじゃなくても男でここまで自分の孤独をストレートに吐露する人はなかなかいない。その率直な弱さに好感と同情と自分も同質で1歩間違えばダーマーのようになってたかも知れないという恐れが入り交じった感情を呼び起こされて、ダーマー絡みのものを見かけたら手を出さずにいられなくなる。

• #再鑑賞

多くの猟奇的シリアルキラーと同様、ジェフリー・ダーマーもその幼少期からの家庭環境には少なからず問題を抱えていたことが知られており、父親のライオネル・ダーマーも後年、その部分に自覚的に『A Father's Story』という回顧録を出版している。本作は完全に、ジェフリー・ダーマーの物語と言うよりは父ライオネルの物語として製作された作品で、その意味では前述の回顧録を原作としている映画だと言ってもよいのかも知れない。なので、まずショッキングなシーンなどはほぼ皆無だし、質感もホラー・スリラーでは全くなくて（好いとこ）サスペンス、むしろ（映画よりも）実録再現ドラマに近い、という感じである。私も最初はＴＶ映画なのかなと思ったのだが、調べると限定的ながら劇場公開された作品、とのコトであった。

『A Father's Story』をまだ読んでいないので現時点で比較はできないのだが（→後ほど読む予定）、ただ本作を観ての私の感想は率直に、まま表面的な・広く知られている情報で構成した作品だ、というモノに留まるのですね。そのぶん分かり易く、また嘘も無い内容になっているとも思うのですが、どーにもインパクト不足で物足りない…とゆーか。でも、同じ物足りないなら先行のジェレミー・レナー版『ジェフリー・ダーマー』よりは本作の方が、多少そのコンセプトに対する共感が深いかな…という意味で少しだけ「観て好かった」感は多い…様な気もしています。

息子　ジェフリーダーマ―との日々　という、父ライオネルの本を読んでる途中だけど、これベースなのかな？
ちょっと、美化しすぎてるように見えるけど実際の家族側ってこうなのかな。
本の方を読み終わってないからなんともいえないけど。