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少年
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『少年』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.4
 1960年代、台湾北部の街・淡水。未婚の母シウインは5歳の息子アジャの将来を思い、年の離れた外省人の公務員ビー・ターシュンと見合いし結婚。ターシュンはアジャを実の息子のようにかわいがった。やがてシウインとターシュンは男の子を2人授かる。元々やんちゃだったアジャは中学に上がる頃には悪友たちとともに連日問題を起こす不良になっていた。どんなにひどいいたずらをしてもターシュンはアジャのことを庇ったが、ある日アジャの不注意から弟を命の危機にさらし、さらに追い打ちをかけるように喧嘩騒ぎを起こしてしまい、ついにターシュンを怒らせる。ホウ・シャオシェンがチュウ・ティエンウェンと共同で脚本を書き、リー・ピンビンが出て来るまでホウ・シャオシェン作品の撮影を担当したチェン・クンホウが監督を務めた今作は、長らく台湾ニューシネマを代表する傑作とされながら、残念ながら我々は40年を経ても観ることが出来なかった。それだけ幻の作品だった。エドワード・ヤンの傑作『牯嶺街少年殺人事件』を観ることが出来た今となっても私は今作を心から観たいと思っていたし、それが今回の新宿ケイズシネマさんの台湾巨匠傑作選で初お披露目とあって観て来たのだが、本当に素晴らしかった。あまりにも素晴らし過ぎてため息が出た。

 かつて桃園で既婚男性との間にアジャを身籠ったシウインには最初から選択肢など無かった。無口だった母親は無理してホステスとして働きながら、5歳になるまで息子を懸命に育てたのだが、そのあらましは今作には描かれていない。ホステス時代の仲間の声として出て来るだけだ。見合いの席に登場したターシュンは単なるスケベ親父にしか見えず、母子の行く末は地獄にしか見えないもののジャンボ鶴田似のこの男の愛情は母親を欲望のはけ口にしないばかりか、ビー・ターシュンはアジャをシャオビーと言って可愛がり、養子に迎え入れる。ターシュンは殆ど理想的な放任主義で、通知表に担任から「傲慢不遜」などと書かれてしまうシャオビーを決して詰ることなく、受け止めようとする。再婚相手の経済的豊かさに負い目を感じつつも、家事に育児に黙々と働くシウインの慎ましさがシャオビーにとっては気に障るのか何なのかはわからぬが、その辺りの家族の歪みが思春期特有の反抗期と重なり、ほんの些細なボタンの掛け違えが、残酷なまでに運命を変えてしまう。シャオビーはもしかしたら寡黙なシウインの気を引きたかったのかもしれないし、本音で母親と応答したかったのかもしれない。然しながら身分違いの恋に引け目を感じた主人公の母親は一切の本音をひた隠しにしたまま黙々と家事に励み、息子の将来に一縷の望みを抱く。その姿に私はシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン』を重ねてしまう。それゆえにクライマックスの残酷な描写には思わず涙腺が緩む。ホウ・シャオシェン以上に強固なメロドラマの作家であるチェン・クンホウの作品だが、今作の完成度の高さが逆にホウ・シャオシェンがミニマムに作風を削ぎ落とすきっかけとなったかもしれない。40年ずっとスクリーンで観たかった傑作が新宿ケイズシネマのスクリーンで観られて心の底から感動してしまった。
ワンコ

ワンコの感想・評価

3.7
【台湾の歴史】

※台湾映画祭。

国民党が中国本土から逃れてきたという台湾独特の状況を背景にしているメタファー的な作品ではないかと思う。

連れ子を抱えた母親の再婚。
新たな父親と、新たに生まれる子供。

軋轢と疎外感と強いられる融和。

その結果としての反抗心。

きっと、台湾の当時の状況から考えても、台湾人と中国本土から来た人との間に何らかの違和感はあったのだろうと想像する。

特定の目線から敢えて感情の起伏を抑ええるようにして見せ、軍人になるということは中国と対峙するという意味なのだと思うが、こうしたことも含めて客観的な視座を提示した良い作品だと思う。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.2
シャオシェン自身の監督作と比較すればいささかウェルメイド過ぎるきらいはあるものの、あまりにもシャオシェン的としか言い様が無いクソガキ成長譚にただただ歓喜、丁寧な生活・風俗描写も評価に値する。『風櫃の少年』(はどっちが先か分からんが)や少なくとも『童年往時』の雛型として、また台湾ニューシネマの原型の一つとしてもっと早くに観られるべきだったのでは…。父は父で実の子では無い現実を前にどうしても甘やかしがちになり、母は母で苦労の末の子であるからしてきつく当たってしまう、そんなアンビバレントな環境の中ですくすくとグレていく少年はやがて取り返しの付かない悲劇を目の当たりにする事になる。ただこのクソガキのクソガキっぷりがあまりにも可愛く、終盤の急転直下を迎えるまでは終始ニヤニヤが止まらず。年を重ねるにつれ増していく責任、少年がただ少年ではいられなくなる過程が瑞々しく描かれていく傑作。

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