【第59回ベルリン映画祭 脚本賞】
『アイム・ノット・ゼア』などの脚本を手掛けたオーレン・ムーヴァーマン監督の長編デビュー作。ベルリン映画祭コンペに出品され脚本賞を受賞、アカデミー賞では助演男優賞(ウディ・ハレルソン)と脚本賞にノミネートされた。
良作。戦死者の家族に死を伝えるメッセンジャーとして任命された男とその上司を描いた人間ドラマ。ウディ・ハレルソンのとっつきにくいが人間味のある上司がよかった。
戦闘描写のない戦争ドラマとして矜持を保ちながら淡々と描いていく手腕はなかなかのものがある。一人の人間としての兵士を描いた脚本がよく出来ている。
戦死者の家族のそれぞれの事情、心情を丁寧に描きつつ、メッセンジャーの二人のドラマも描いていく。夫を亡くした女性に好意を抱き近づく主人公、下心ではない純粋な愛が捉えられていた。
メッセンジャーとしての苦悩や葛藤、自らの過去に対する悔恨などを丁寧にすくい上げている。非常に地味だがとてもいい映画。