受難のジョークの作品情報・感想・評価

「受難のジョーク」に投稿された感想・評価

konomo

konomoの感想・評価

3.4
とある体制下で思想犯として追放なり逮捕なりされ、人生台無しにされた人と、そういう人を告発なり密告なりした人が、その体制後に隣人としてもやもやしながら暮らしていく…というのは南米あたりでもよくありそう。

これは主人公がトロツキスト呼ばわりされて大学から追放され、軍の矯正キャンプみたいなのに送られた経験をもち、後日告発した人にじっとりと復讐を企てる話…かと思いきや。
え、そんなんで復讐になるの?遠まわし過ぎない?てか意味なくない?という謎の作戦を立てて大外しし、関係ない人を単に巻き込み、情けなーく終わった。恨むべきは最初に密告した元カノだと思うのだが、女子には甘くなっちゃうのか。

でもこういうの、当時は共感されたのかも。いざ復讐したい相手に会うとなんかへらへらしちゃったりするとことか。抱えてるもやもやを爆発させることは、人生が続く限りなかなかできない。
そもそもその場でぶん殴れたり、緻密な復讐ができるような人であれば、告発されずに上手くやれたのかも。
その辺の情けない喜悲劇的な感じが味だったのかなと思う。すっきりしないけど。

一人称で本人の姿が映らない回想(フラッシュバックというか)シーンが面白かった。
トイレのドアの窓はハート型が多いのかな。他でも観た気がする。
ooospem

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3.8
《存在の耐えられない軽さ》のクンデラ原作。50年代のチェコ政情に詳しくないので難解だったけれど、シニカルな個人主義とか官能に関する描き方のトーンには《存在の〜》と似たものを感じた。実際の会話としての台詞と、主人公の願望・独り言としての台詞が混ざり合ったり、主人公の空想や記憶の一部であろうシーンが突如挿入されたりといった飄々としたタッチが前衛的でもあり、おもしろかった。あと女性がもつ守護天使のような力を崇めて美しく撮るところ、《存在の〜》よりも淡白だけれど、そのニュアンスが共通している。
寝てしまった
時間軸こんがらがって難しい

また観たい
チェコスロヴァキアヌーヴェルヴァーグで鑑賞
菩薩

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3.7
口は災いの元、の一言に尽きるお話でありながら、復讐劇としてはあまりにも遠回り、かつ本気か冗談なのか分からない冷笑的な態度が、チェコ・ヌーヴェルヴァーグらしいとの印象を抱く。あんなハゲ散らかしておそらく強烈な加齢臭を放ち続けているだろうおっさんがなぜモテキャラ設定なのかは分からないが、あの編み編みのタンクトップの着こなしは森崎東『喜劇 女は度胸』の渥美清に匹敵する。国家や周辺人物に対する個人的な怨恨をぶつけられたババアは哀れでしかないが、下剤を飲み下した後ハート形の覗き口のついた個室(トイレなのかあれは?)の中で絶対に負けられない戦いが繰り広げられたであろう事を想像すると、あの若い助手さんとどうか幸せになってくれと思わずにはいられない。ラストのマウントポジションでのパウンドの連打は、全盛期のイゴール・ボブチャンチンを彷彿とさせるものがあった。結局のところ…これコメディでいんだよね(笑)?いや、本当はもっと真剣に憐れみをもって接しなければいけないのかもしれない。
プラハの春とかの政治的運動が盛んになっていた時代のチェコらしい映画で、そういう政治的問題にほぼ無関心な身として内容はそこまで響かなかったし映像に痺れることもそんなになかったけど、散見されるいくつかの大胆なジャンプカットや三人称視点と一人称視点の転換、過去の回想と現在を行き来させるような展開といった手法は難解を生みつつも面白いものだった

ラストも自分を含めた仲間とそれ以外の人物との隔絶が感じられる遣る瀬無いものになってて、それまで炭鉱のシーンくらいしか映像自体が強く印象に残るものがなかったと思っていたけど最後で挽回する演出がやって来て後味は良かった

あと結構内省的な話でもあったからミラン・クンデラの原作の方ものめり込めそうで見つけたら読みたくなった
3年前、MoMAKにて。
チェコの映画ポスター特集をやっていたなか、ついでに観た。