コリドーを配信している動画配信サービス

『コリドー』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

コリドー
動画配信は2025年7月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『コリドー』に投稿された感想・評価

[不安と希望のポートレート] 80点

カテリーナ・ゴルベワ可愛い以外の感情を完全に死滅させるシャルナス・バルタスの長編二作目。原題の意味は"廊下"であり、実際に廃墟同然のマンションの薄暗く無機質な廊下が何度も登場する。ソ連から解き放たれたリトアニアはどこへ向かうのだろうか、という漠然とした不安と希望のポートレートとでも言えば良いのだろうか。それをどこに繋がっているかも分からない廊下と重ね合わせているのかもしれない。どこかから話し声が聴こえ、足音が聴こえ、車が走る音が聴こえ、完璧に設計された音の効果が観客を90年代中盤のビリニュスに放り込む。そして、人々は読めない感情を湛えた顔を画面に晒し、カメラはどこを眺めるでもない目線を捉え続ける。

前作『三日間』よりも顔にカメラが近付き、物語の筋みたいなものも消え去り、作風は『In the Memory of the Day Passed By』に戻ったように思える。しかし、単純に戻ったという訳ではなく、水や火を象徴的に用いるタルコフスキー的な映像美も獲得済みであり、前作そして前々作から確実に進化していることを伺わせる。

誰も居ない庭でシーツが音もなく燃え上がり、ショットガンで笛を吹き、少女(少年?)は何度も泥水に押し戻され、孤独に歩き回っていた人々が踊り狂うシーンになだれ込む。物語なのか現実なのかも区別できないまま、バルタスは物憂げな顔で窓の外に目を投げ、ビリニュスの街は今日も生き続ける。
普段聞き流している音 表情や風景
意識して見ないと見えない様々な日常が
無言により際立ちます
燃えるシーツや水の音等の難解で
美しい芸術表現
音楽がフェイドアウトした後の宴会が
印象的でした😀
セリフも物語もなく表情と切り取られた行動。子どもが干されたシーツに火をつけ、銃をぶっ放す。その子どもは、もう少し年上の少年らに何度も何度も水溜りに落とされる。大人たちは歳を重ねていくうちに、もうすでに何もすることがないかのように佇み、ぼんやりと外の果てを眺めている。狭い宇宙のなかで貧民たちが彷徨い、歌と踊りの祝祭が用意はされているが、それもまたそれでしかなく、終わればぼんやりと石の下に籠もる虫のようにただ生きているだけの日常に戻る。映るすべてに意味があるのかどうかもよく分からない。荒々しく作り手の剥き出しの創造、与えられる情報は少ないが、だからこそシャルナス・バルタスの世界に浸り無限に思考を巡らせることは出来る。

『コリドー』に似ている作品

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版

上映日:

2024年02月24日

製作国:

上映時間:

146分

ジャンル:

配給:

  • ビターズ・エンド
4.1

あらすじ

ハンガリーの荒涼とした田舎町。天文学が趣味のヤーノシュは老音楽家エステルの身の回りを世話している。エステルはヴェルクマイスター音律を批判しているようだ。 彼らの日常に、不穏な“石”が投げ込…

>>続きを読む

ヴェネツィア時代の彼女の名前

製作国:

上映時間:

120分
4.0

あらすじ

マルグリッド・デュラス監督が本作の前に撮った『インディア・ソング』で大使館邸として使用されたパリ郊外のロスチャイルド邸。廃墟となったその館の内外を緩慢な移動で捉える映像に、『インディア・ソ…

>>続きを読む

郊外の鳥たち

上映日:

2023年03月18日

製作国:

上映時間:

114分

ジャンル:

3.6

あらすじ

地盤沈下が進み《鬼城》と化した中国地方都市の地質調査に訪れた青年ハオは、廃校となった小学校の机の中から、自分と同じ名前の男の子の日記を見つける。そこに記録されていたのは、開発進む都市の中で…

>>続きを読む