『熱波』(2012)などで知られるポルトガルの鬼才ミゲル・ゴメス監督が、「千夜一夜物語」をモチーフに大胆な実験的手法で現代ポルトガルを描く全3部6時間21分の大作の第2部。第1部とがらりとタッチが変わり3話のオムニバスとなっている。ゴメス監督は、エロスとユーモア、バラエティ豊かな音楽と共に語られるこの3つの不思議な寓話は「ポルトガルで起こった出来事を参考に創作され、主人公たちは現代のポルトガル人を表現している」と語っている。3話目「ディクシーの所有者」に登場するミニチュア・プードルのディクシーを演じた犬のラッキーは第68回カンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞した。 山中で逃亡生活を送る伝説の凶悪犯“腸なしシモン”は警官総動員の末、ついに逮捕されるが民衆は彼を英雄と称える…「腸なしシモンの逃亡の日記」。野外劇場で演じられる法廷劇で母親として娘の幸せを願う裁判官が愚かで絶望的な話の数々に疲れ果て叫び声をあげる…「裁判官の涙」。様々な飼い主たちに飼われるプードルのディクシーの目を通して描かれる低所得者たちの悲哀…「ディクシーの所有者」。