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未来よ こんにちは

未来よ こんにちはの作品紹介

未来よ こんにちはのあらすじ

パリの高校で哲学を教えているナタリーは、教師の夫と独立している二人の子供がいる。年老いた母親の面倒をみながらも充実していた日々。ところがバカンスシーズンを前にして突然、夫から離婚を告げられ、母は他界、仕事も時代の波に乗りきれずと、気づけばおひとり様となっていたナタリー。 果たして彼女の未来はどうなっていくのだろう?

未来よ こんにちはの監督

未来よ こんにちはの出演者

原題
L'avenir/Things to Come
製作年
2016年
製作国
ドイツフランス
上映時間
102分
ジャンル
ドラマ

『未来よ こんにちは』に投稿された感想・評価

kuu

kuuの感想・評価

3.8
『未来よ こんにちは』
原題:L'avenir .
英題:Things to Come .
映倫区分 PG12.
製作年 2016年。上映時間 102分

フランスの若き女性監督ミア・ハンセン=ラブが、同国を代表する大女優イザベル・ユペールを主演に迎え、孤独や時の流れを受けとめながら、未来を信じて生きる女性の姿を描いた人間ドラマ。
おデブの黒猫パンドラが印象的。
(余談ながら監督は、母親の人生を基にした作品やし、撮影に入る前に母親に脚本の承認を依頼した。母親が変更させたんは、猫の名前で、猫のプライバシー😸(黒猫ですので)を尊重するために、この名前をパンドラに変更させたそうです。)

今作品は哲学の教師のナタリーを中心に描かれてて、哲学的な要素にも触れてるけど、あくまでも焦点はナタリーの私生活と、徐々に崩壊していく人間関係に対する彼女自身の恐れや考え方に当てられ描かれてた。
旦那のハインツ、二人の子供、常に彼女の注意を必要とする死の淵にいる母ちゃん、そして今は母子のような関係にある以前の教え子など、主人公ナタリーは様々な人間関係を抱えている。
ナタリー、ハインツとその子供たちがフランスの作家の墓を訪れるところから始まり、数年後、ナタリーは瀕死の母から『パニック発作を起こしている』と呼ばれる。せや、彼女は以前にも同じことがあり、単に娘の相手を強要しているように感じる。
その直後、彼女は通勤途中の若いデモ隊に遭遇。
彼らは、自分たちの将来の老後に関わることで怒っているって感じで展開。
今作品は最初から、死への恐怖、孤独への恐怖、老いへの恐怖など、未来への恐怖をテーマにしていることがわかる。
やがて、ハインツが浮気をしていることが明らかになり、彼は子供たちから、彼女と妻のどちらかを選ばなければならないと告げられ、彼は妻に、自分が相手の女性を選んだことを告げる。
彼女はその知らせに『ずっと愛してくれると思ったのに』と必死に対処する。
ここから、彼女は自分の老化を自覚するよりも早く、個人的な人間関係や欲望が少しずつ消え始め、最終的には猫しか残らなくなり、自分の老化を受け入れて、それも手放してしまうまでです。
このキャラは葛藤するようになり、イザベル・ユペールはこの抑圧された後悔と恐怖を完璧に表現してました。
旦那の浮気を気にせず、自分が成し遂げたことに満足したいのに、愛する人たちがそれぞれ自分を失望させ始め、将来の夢は壊れそうになっている。
元旦那の残した穴を別の関係で埋めようともするが、もはやその気力も意欲もnothing。
彼女がブラインドを開けると、画面が黒くなり、孤独の現実を示す素晴らしいショットでした。
彼女は希望を失い始める。。。
母ちゃんの死は、彼女の人生において、彼女を必要とする唯一の人物の消滅を意味する。
母ちゃんの人生は苦しみと失恋に満ちていることが明らかになったが、ナタリーは彼女の人生の中で唯一誇れる存在であり、今はナタリーにその座を奪われてしまった。
この説明やと極端に読み取れるけど、今作品自体は非常に繊細で、ユペールの演技に大きく依存しており、とても効果的でしあ。
今作品は見た多くの方が恐らく動揺し、共感できるテーマを扱ってると思います。
厳粛で感情的な映画やけど、最後には希望があり、生まれたばかりの赤ん坊を通して、希望があり、可能性があり、欲望があり、それこそが重要なことなんかな。
たとえ現実がその願望に沿わないものであっても、人生を続けるために必要なものはそれなんやろな。
とても善き作品でした。
最後に作中、小生の敬愛してる沖雅也(古っ)似のジャン=ジャック・ルソーの残した言葉を引用してましたし(勿論、フランス語でしたが仏語不理解のために英文訳が手元にありましたので)、愚訳と共に抜粋しときます。

: [quoting Jean-Jacques Rousseau]
So long as we desire, we can do without happiness.
We expect to achieve it.
If happiness fails to come, hope persists, and illusion's charm lasts as long as the passion causing it.
Thus, this condition suffices to itself and the anxiety it inflicts is a pleasure which supplants reality, perhaps bettering it.
Woe to him who has nothing to desire! He loses everything he owns. We enjoy less what we obtain than what we desire, and are happy only before becoming so.

: [ジャン・ジャック・ルソーの言葉を引用 愚訳kuuことGeorge.]
我々が望んどったら、幸福なしでもやっていけるし、我々はそれを達成すっことを期待する。
幸福が訪れなきゃ、希望は持続し、幻想の魅力は、それを引き起こす情熱と同じくらい長く続く。こないなように、この状態はそれだけで十分やし、それが与える不安は、現実に取って代わる快楽であり、おそらくそれをより良くするものや。
災いなる哉、冀求するものを何んも持たへん者は。
彼は所有するものすべてを失う。
我々は、手に入れたものよりも、冀求するものを楽しむことが少なく、そうなる前にのみの幸福や。
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 甲板から海を眺める2人の子供を夫に任せ、ナタリー(イザベル・ユペール)は左側の2列目に座りながら、いそいそと添削を続ける。そこには「人は他者の立場に立てるか?」の文字が踊る。やがて夫のハインツ(アンドレ・マルコン)の手招きにナタリーはゆっくりと立ち上がり、家族と共に水平線を眺める。フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンの墓碑を見にこの地へやって来た4人家族は、最初から夫と妻の微妙なズレが印象に残る。墓碑を見た2人の子供はすぐに呆れ、そそくさと先へ急ぐ。ナタリーは夫の姿をギリギリまで待つのだが、2人の子供の足並みに痺れを切らして先に歩を進める。それから半年後、夜中に同じベッドで眠るナタリーとハインツの元へけたたましくベルが鳴る。夫は「取らないでいい」と寝ぼけながら告げるのだが、留守番電話に吹き込まれた実母イヴェット(エディット・スコブ)の声を聞いたナタリーはすぐに受話器を取る。6時起きの予定だったナタリーは母親を見舞いながら、1時限目の講義に向かう。彼女は50代の哲学教授であり、結婚25年目の夫との間には息子と娘がいる。エンツェンスベルガーの『過激な敗者』を立ったまま読みながら大学へ向かう彼女は、五月革命のようなでもの熱気で溢れる学生たちを横目に見ながら、教室へ向かう。授業ではジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』を題材にして、学生たちと活発な議論を繰り返す。

 家族での食卓の席でも、フランスの哲学家や思想家について意見を交わすナタリーとハインツとは、共に大学の教授同士である。だがその毎日の生活は、哲学書のようにそう簡単に答えを導き出さない。ワガママで少し認知症の気があり、狂言癖のある母親の介護に振り回され、自らが手掛けた哲学の教科書は現代の若者には少し窮屈だから、改訂したいと出版社にやんわりと告げられる。猫アレルギーにも関わらず、母親が大事にして来た猫だからと渋々面倒を見て、その将来に期待を寄せていた愛弟子からは思想と行動の矛盾を指摘される。しまいにはもう25年連れ添って、てっきり死ぬまで一緒にいると思っていた夫から突然、愛人の存在と別居を宣言される。一見、順風満帆に見えたナタリーには急に様々な困難が降りかかり、ふと思い出すと母親と同じような「おひとり様」の老後が待ち構えている。妻としての幸せよりも大事な女としての幸福。母の死と夫の裏切りで急に現実に打ちのめされた女は「幸せとは何か」を考え始める。母の死の帰り道、バスの中で涙が止まらないナタリーの目に飛び込んで来た夫と新しい彼女の仲睦まじい光景に女の涙は自虐的な笑いに変わる。夫の新しい女が生けた花が気に食わず、ゴミ箱に放り込もうとするがトゲでケガをする。映画館でキアロスタミの『トスカーナの贋作』を観ている横から、痴漢の手が太ももを弄る。女の身に降りかかる不幸は決してドラマチックで映画的ではないが、徐々にボディ・ブローのように効いてくる。ミア・ハンセン=ラヴは人生の小さな機微を繰り返すことで、イザベル・ユペールに女としての自立を促す。その落ち着き払ったような小さなさざなみのリズムは、ただただ豊潤で美しい余韻を残す。
哲学教師ナタリーの哲学的人生を静かに描きあげる。夫も哲学教師。哲学を極めるため、猫アレルギーのくせに猫を飼う。肥満黒猫パンドラの行動も哲学的。

哲学王国、フランス!おフランス!おフランス!お上品!銃撃もカーチェイスもゾンビもない。笑いもない。

ナタリー、話がある。好きな人ができた。君への愛は変わらない…

愛は変わらないのに好きな人ができる。これぞ哲学!哲学好きにはたまらない内容。フランス哲学、最強!フランス万歳!

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