炙り出される狂った人間の倫理観————。 2015年、SNSに投稿された1枚の写真が世界を怒り狂わせた。そこには、弓を持ち、誇らしげな顔をするアメリカ人歯科医師と、今まさに殺されたばかりのライオンの姿が写っていた。獲物の毛皮や頭だけを目的に動物を狩猟するレジャー、“トロフィー・ハンティング”は、現在アフリカ諸国の一大観光資源となり、野生動物が合法的に殺されている。本作品はナミビアでハンティングをするドイツとオーストリアからのハンターたち、ハンティング・ロッジを経営するオーナー、そして、サファリをガイドする原住民たちを追う。ハンターたちは悪びれることなくハンティングへの情熱を語り、ロッジのオーナーは地域への貢献とビジネスの正当性を主張し、原住民は黙々と毛皮を剥ぎ、肉を解体する。 前作『パラダイス3部作』「愛」、「神」、「希望」、それぞれの作品が同年の世界三大映画祭コンペ部門に選出される偉業を成し遂げたオーストリアの鬼才ウルリヒ・ザイドルが、独自の映像メソッドをもちいてこれまで決して紹介されることがなかった“トロフィー・ハンティング”の実態を描き出す。
ピッチングマシンのような機械で運ばれるヒヨコの群れ、わずか数秒で解体される魚、巨大マジックハンドで揺すぶり落とされる木の実、自動車工場のように無駄なく解体される牛。そんな驚きにあふれた食物…
>>続きを読む白人支配から黒人国家へと変貌を遂げている最中の1960年代アフリカ。いたるところで繰り広げられる内紛や部族間抗争、そして野生動物の乱獲など、カメラが捉えたのは目を覆いたくなるような密漁者た…
>>続きを読むライオンファーム経営のために家族で南アフリカに移った11歳のミアは、心に病を抱える兄・ミックにかかりきりの⺟、仕事に追われる⽗の中で、孤独を感じていた。南アフリカでの⽣活に馴染めない⽇々が…
>>続きを読む世界で最も希少で高価な食材〈白トリュフ〉が名産のピエモンテ州で、写真家のマイケル・ドウェックは、夜になると森へ〈白トリュフ〉を探しに出かけてゆく、まるで妖精のような老人たちがいる……という…
>>続きを読む紀伊半島南端に近い、和歌山県太地町。追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、この小さな漁師町は世界 的論争に巻き込まれた。「くじらの町」として 400 年の歴…
>>続きを読むある夏のベルリン郊外。群衆が門に吸い寄せられていく。辺り構わずスマートフォンで記念撮影をする人々。ここは第二次世界大戦中にホロコーストで多くのユダヤ人が虐殺された元強制収容所だ̶̶ ドイツ…
>>続きを読む肉屋を営む倦怠期の夫婦、ヴィンセントとソフィー。ある日、店がヴィーガンの活動家たちに荒らされ、ヴィンセントが犯人の1人を殺してしまう。死体処理に困ったヴィンセントはそれをハムに加工するが、…
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