世界大戦時、チャップリンのモノマネ芸を生業とする男は故郷に帰ろうと試みるが、行く先々で様々な困難が待ち構えていた。マキシム・ジルー監督のスリラー作。独特な状況に置かれる主人公の姿は印象的ながら、故郷へと帰還しようと奮闘する姿は良い。彼の周囲の人々も独特なので印象に残る。終始ダークな雰囲気だが、ロードムービーのような情景もある。音楽も強調されて、より雰囲気があります。

第二次世界大戦下、徴兵から逃げたケベック出身チャップリンものまね芸人をアメリカで待つ暗い地獄。現代的なサウンドと揺れるカメラが不安を増幅し、アメリカとカナダの対比、チャップリンのハリウッド追放、英語話者とグローバリズムが滲む不条理スリラー。
いや、いっそホラー。
チャップリン『独裁者』のスピーチ、スーツのセールスマン、ラッキーストライクなど。
ミステリアスな映像の中で、それら象徴的モチーフが現代アメリカやトランプへの危機感、歴史への憂いと個人的な問いを立体化する。‬
また、終盤で登場するコーディ・ファーンがめちゃくちゃ良くて。
身なりは一見してアメリカ的、語る手振りは舞台役者、言葉は預言または黙示録のようで、こいつなんなの謎すぎるヤベェ感が半端なくて目が離せず、気づいたら作品も役者さんにも心で加点の嵐。
‪Q&Aでは、監督が「(主演デュプレイユさんに)チャップリンっぽい動きをしないでほしかったから撮影中にやりすぎないよう注意したし、作品も見ないでって言ったけど彼たぶん1回は見てそう」と言いながらデュプレイユさんのチャップリンの動きを真似する監督かわいかった‬。
今年の東京国際映画祭で一番好き。

カナダ映画
@東京国際映画祭

第二次大戦中、アメリカ西部から故郷カナダのケベックへ帰るべく旅をするチャップリンのモノマネを生業としている主人公。
道中、親切な人かと思いきや、大戦の中狂気的になった恐ろしい人々にばかり出会う。

ファンタジーのようなホラーのような不思議なテイストの映画。

主演のマルタン・デュブレイユの表情、弱々しく切ない演技が素晴らしい。

戦争の恐怖の中を生き抜いた後の残った不思議な記憶のような物語。