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カンボジアの失われたロックンロール

カンボジアの失われたロックンロールの作品紹介

カンボジアの失われたロックンロールのあらすじ

クメール・ルージュによって弾圧されるまでのカンボジアのポピュラー音楽史を1950~70年代まで辿った貴重な音楽ドキュメンタリー。生存者へのインタビューやアーカイブ映像を駆使して歴史が甦る。

カンボジアの失われたロックンロールの監督

ジョン・ピロジー

カンボジアの失われたロックンロールの出演者

シン・シサモット

ロ・セレイソティア

バイヨン・バンド

原題
Don't Think I've Forgotten: Cambodia's Lost Rock & Roll
製作年
2014年
製作国・地域
アメリカカンボジア
上映時間
107分

『カンボジアの失われたロックンロール』に投稿された感想・評価

もう本当に驚いた、1950年代後半から1970年代初頭までの、カンボジアの西洋ポピュラー音楽の受容の仕方が同時期の日本ソックリで。昭和歌謡みたいな歌まである。彼等は、西洋の先進国から入ってくる様々な音楽や文化を、私たち日本人と同じように自由に享受することができ、私たちと同じように、自由に西洋文化にカブれることが出来ていたのだ。全然知らなかった。(若い方はご存知ないかもしれないが、ジョニー・アリディーやシルヴィ・バルタンなどのフレンチポップスは日本でも人気があったし、ラテン音楽が昭和歌謡に与えた影響も大きい。)

この頃、韓国や中国は貧しくて自由もなく、中国は文化大革命に突入し、韓国でも若者文化としてのロックは弾圧されていたことを思うと、この時代のアジアの大衆音楽文化で一番親近感を覚えるのは、まさかのカンボジアかもしれないと思ったくらいだ。洋楽好きとしてはカンボジアにめちゃくちゃ親近感と同時代性を感じた。
 いや、カンボジアの方が日本よりもっと洋楽にカブれていたのかも。何せカンボジアの男性版美空ひばりみたいな国民的歌手にしてシンガーソンガーライターのシン・シサモットは、ロック・バンドを従え、流行歌としてカンボジアのロックを歌っていたらしい。元フランスの植民地だったことに加えて、国王自らが洋楽を奨励し、カンボジアのポピュラー音楽の発展に力を入れていたことの影響力は絶大だ。

民主国家とは言えなかったとはいえ、この当時のカンボジア、少なくとも首都プノンペンは発展した近代的な都市であり、平和で豊かで自由があったのではないか。都市の若者の風俗としても、かなり東京に近いものがあった。カンボジア人の見た目は日本人によく似ているし、昔の日本映画で見たみゆき族や、ロカビリー族ソックリのシャレオツな人たちが登場し、ファッションの流行もほぼ同じように見えた。ビートルズ旋風がいつ巻き起こるかと待っていたら、登場したのは何とウィルソン・ピケットだった。特筆されてはいなかったが、もちろんビートルズだって入ってきていた。

そのようなハイカラな文化のある国が、クメールルージュによって近代以前の状態に突き落とされ、大量殺戮現場、キリングフィールドと化したという、この落差に、あらためて大きな衝撃を受けて愕然とした。

かつてのプノンペンに音楽が溢れていた時代のことについて話す人たちの顔は、多くが楽しく幸せそうで、豊かで満ちたりた生活を送っている人の顔のように見えた。現在のカンボジアの安定と繁栄を物語っているのだろう。それだけに、彼等が自分の身の上に起こった出来事を告白した時はショックだった。それぞれ、親兄弟子供親戚の多くを、あるいは悉くを失っていた。そんな恐ろしい経験をした人たちのようには見えなかったのに…絶句だった。クメールルージュの治世中に、国民の4分の1の命が失われたとされる中、「カンボジアのミュージシャン、ダンサー、教師、楽器製作者の90%」が殺されたと推定されるそうだ。(出典:英語版Wikipedia,Music of Cambodia)

フォロワーさんのレビューでこの映画をことを知り(教えて頂いてありがとうございます!)、もう配信が終わると聞いて慌てて駆け込みで見たのだけれど、全く見足りていない。また必ずどこかで見返したい。

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(追記1)
映画に登場していたヨー・オウラーラングのYuvajon Kouge Jet (Broken Heart Man) という曲をApple Musicで聴いてみたら、パティスミスの「グローリア」そっくりだった、ということはゼムのカバー?

(追記2)
シン・シサモットの“Beloved Girlfriend”という歌が、三橋美智也の「達者でな」(1960年)の丸パクリだった!元は愛馬のことを歌った唄なんだが笑。シン・サモサットはロックといってもせいぜいグループサウンズという感じだし、こぶしが回る歌い方も日本の民謡系歌謡曲歌手っぽいし、日本の歌謡曲からの影響も大きいのでは。ヨー・オウラーラングはガチでロック。

(追記3)
ロ・セレイソティアの“If You Wish to Love Me”という歌は、美空ひばりの「真っ赤な太陽」だった。サビを歌っている男性の声はシン・サモサットの声?他にも日本の歌謡曲カバーが存在するようである。
MinC
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ポル・ポト政権による弾圧を生き延びたミュージシャン達による証言と、弾圧前の華開いていた1950年代〜70年頃のポップカルチャー貴重映像で構成されたドキュメンタリー。
と、一言で言うには本当に申し訳ないくらい膨大で綿密なリサーチとピースを繋げる作業によって、悲劇が浮かび上がり、音楽が甦る。

フランスから独立したカンボジアに、アメリカの軍事介入が入った反動で台頭していくクメール・ルージュ、民衆にしたらどれも迷惑千万、平和主義かと思われるシアヌーク国王は軍事力の前に為す術もなく更迭される。
芸能は大衆から自ずと生まれたもので、政治的抑圧で消え去るものではないし、その扇動力を恐れるなら逆効果と思うんだけどどうなのだろう。
音楽家だからという理由で殺されるなんて本当に異常。
とてもつらい。カンボジアロックがまるで違ったものに聞こえてくる。一体これほどの短期間にこんなすさまじい殺戮がなされたことが他にあるんだろうか…当事者本人の口から話が聞けるミュージシャンがほとんどいないのも心が痛む。しかしその時代を生き抜いてここで口を開いてくれた人たちにとても感謝したい。
華やかなる50年代から次第にきな臭さを増す70年代半ばまで、フランス・カリブ・アメリカといった影響源の変遷を社会情勢と絡めて丁寧に辿る良作だった。各時代の主要ミュージシャンもおさえられるが名前が全く覚えられない。"You've got a friend"がこんなに皮肉に響くのは初めて見た。

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