ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」の作品情報・感想・評価

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」2019年製作の映画)

National Theatre Live: The Lehman Trilogy

上映日:2020年02月14日

製作国:

上映時間:210分

4.4

「ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」」に投稿された感想・評価

いい4時間を過ごせた。

1人何役やってるんだ...
言葉そのまま老若男女全て演じ切るすーぱーおじによる3人芝居

あの「リーマンショック」のリーマン一族がアメリカに移民としてやってくる所から2008年の倒産までのを描く。

舞台装置も面白いし、休憩も2回、たっぷりあるから集中できた
よへい

よへいの感想・評価

5.0
すごい。
2回観ても、
なんですごいのか説明する
言葉がみつからなかったが、
他の方の感想を読んで
やっと少しわかった。

1917と同じく、
没入感のレベルが高い。

セリフに余白がない。
無音になる隙間がほどんどない。
繰り返す言葉と動きで
イメージを増強し、
力強くひっぱってかれる。
逆に
出演者、衣装、セット、音楽は
極限まで無駄を削ぎ落としている。
観客は余白で、
考える、感じるのではなく
同時進行で
考え、感じているので
濃い4時間を体感できるのか??

ツイストの曲
https://music.apple.com/jp/album/the-beat-goes-on/724861362?i=724861874

出演者の3人を
とても好きになってしまう
この感覚の理由が
まだよくわからない。
繰り返しの美学 静かな炎 叙事詩

元がラジオなだけあって言葉のセンスがいい現実と笑いのシニカルさに引き込まれる

演出はとにかく上手い。3人だけで回しているとは思えない舞台空間。時代も服装とプロジェクターで十分に伝わってくる。ヘンリーはいつも正しい。頭と腕とポテトと。

回転事務所のガラス看板、在庫ダンボールの利用が巧み。回転は人生輪廻に重なる。ここでも繰り返しが生きる。背景映像がシンプルな舞台ゆえに引き立つ。ピアノの生演奏は舞台に存在するもう1人の演者だ。

夢 汽車 息子 勝ち札 公平さ 故郷
金のための金 
頂上に着いたらどのように降りればいいのか?

綱渡り
始まりは三人の兄弟
それにしても演じ分けが上手い

リーマンさんちはドイツからやってきたユダヤ人で生地やさんから綿花と巨大化したんだね。最後の最後で原点回帰と他社の登場という演出が一つの時代の終わりを痛い程にかんじさせる。

消費社会 躍り続けなければ 加速する風景
雨音 窓の外の世界と小さな箱

演劇というより神話の奉納のような体験
演劇の舞台を収録したものは何となくあまり面白くない気がするんで(実際は分からん)ほとんど観てないが、これは演出がサム・メンデスだしえらく評判も良いんで観てみたが大当たりです。役者が延々と喋りまくるタイプのやつなんで本来の好みの芝居かというと違うと答える他ないが、そんなもん関係なかった。

脚本の勝利。なんせリーマン一家の160年の歴史を大河ドラマのような流れで3時間で見せるわけだからどうしたって選択、切り捨てが生じる(当たり前だが)。そのエピソード選択の的確さによって彼らの盛衰史が実に巧みに現前する。

役者3名。リーマン兄弟3人はもちろん、女性や子供を含む多数の登場人物を完璧に演じ分ける。その上手さたるや尋常ではなく畏怖の念すら湧く。リーマン兄弟以外のそれぞれの登場人物を別の役者に振り分けていたらここまで面白くはなっていないだろう。これは明白だ。

ところで3人が発するセリフだが、小説でいうところの状況説明=地の文(三人称)とその役としての一人称のセリフが次々と1人の役者の中で交代しながらストーリーが展開していく。これは原則的にはリアリズムを旨とする映画では基本的に不可能な演出であり、この手法によって話は分かりやすく良い意味で単線的かつシンプルに展開する。叙事と叙情が渾然一体となったこの妙味。セリフの反復も効果的だ。音楽はと言えば生のピアノソロのみ(ツイストを踊るシーンは別だけど)で大成功、これまたシンプルを旨としたサム・メンデス演出の統一性。

良く出来た舞台装置。四方八方をガラスに覆われた箱(オフィス)を場面に応じて回転させるのみ、暗転はない。役者も同じ衣装のままであり、背後の景色やライティングこそ変われど、基本的にこれもシンプル。同一の小道具を状況に応じて様々に活用するなど(典型的なのが冒頭に登場して以来多様な使い方をされる箱)、観客は限られた素材だからこそ多様な想像力を働かせることとなる。演劇の限界を逆手に取るのだ(だから演劇は逆説的に非常に豊かなんだけど)。

しょっちゅうテーブルを登り降りする登場人物、後景に写り込む自由の女神、ウォール街の高層マンションの上層階にあるリーマン・ブラザーズ本社(実際そうだったんだろうけど)、世界大恐慌で飛び降り自殺する何人かの経営者、極めつけは50年間1度も落ちたことのない綱渡り芸人パトリンスキが70歳で初めて落下したエピソードなど、これらの物理的な高低の連想はリーマン・ブラザーズ及び世界情勢、世相や景気の上昇と落下の暗喩だろう。これらは観客の意識下に潜り込んで本作のテーマを補強しているんじゃないか。

まあある意味映像化に向いた芝居だからこれだけ面白かった面はあるだろうが(平田オリザと青年団の演劇をもし映像で観たら…と考えてみて下さいよ。あの演出や独特の空気感は実演で体験するに勝るはなかろう)、しかし傑作。他のナショナル・シアター・ライヴ作品も観る気になりました。
くずみ

くずみの感想・評価

4.5
三人兄弟から始まるトリロジー。

ユダヤ系ドイツ人移民が、商機を見極め世代交代も成功させ、会社「リーマン・ブラザーズ」を大きくしていく。それは彼らがアメリカ人になる過程であり、国の発展史とも重なる。

舞台中央にはガラス張りのオフィスがしつらえてある。回転するその中で、三人の役者がスーツ姿のまま様々な人物を演じ分ける。
彼らの“バベルの塔”が崩れる時期を知っている観客は、水槽の魚を眺めるようにそれらを見つめ続ける。

成功の影には常に失敗への恐れが存在する。ピアノの生演奏は緊迫感を増幅し、鎮魂の調べともなる。
NTlive アンコール上映で観た(2回目)。イギリスのナショナルシアターで上演された舞台の上映作品。

アラバマの3兄弟が始めた小さな衣料品店がウォールストリートで世界屈指の投資銀行になり、破綻するまでの160年間の物語。3兄弟を始祖として、その息子たち、後継者たちが事業を拡大させる栄枯盛衰のパワーゲーム。敗北を宣言され退場する人や、資本の熱狂の中で踊り続けて死んでいく人。


演技、音楽、舞台演出どれもが高いレベルで互いの相乗効果を生み出していて素晴らしかった。役者3人とピアノ演奏1人というミニマムな構成で無駄がない。背後に投影された映像と回転する舞台装置で、舞台がアラバマの荒野になったり、ニューヨークの高層ビルのオフィスになったりする。

衣料品、綿花、石炭、鉄道、石油、証券と事業を拡大させていく展開は観ていて気持ちが良いが、塔の崩壊のメタファーが要所要所で展開され、物語に通底する不穏さを意識させられる。


ピアノの軽快な演奏とともに、セリフの掛け合いで事業拡大を表現する場面がいくつかあって、舞台ならではの演出だった。役者も演じるのが楽しそうだった。特に路上のカード師のカード当てゲームの場面。次男エマニュエルの息子フィリップがシャッフルしたカードから勝ち札をどんどん当てていき、事業がどんどん成功していく様をテンポよく表している。他にも綱渡り師の失敗が暗黒の木曜日の始まりとともに語られる場面とか、比喩と言葉遣いがおしゃれだった。

フィリップが、金が金を生む金融資本主義を唱え、ビジネスのルールが変わったことに気づけなかったマイヤー、エマニュエルが退場を宣告される場面。

第2幕、第3幕から加速的に事業が良からぬ方向へ向かっていくのに伴って、亡くなった一族の人の喪に服すユダヤ教のしきたりの時間が短くなっていく。最後は3分間だけ、競争に置いていかれてしまうその時間が惜しいから。

暗黙の木曜日が始まり、トレーダーたちが次々と拳銃自殺していく、その拳銃の音が、フィリップの息子ボビーの観戦する競馬レースのスタートの合図となる演出。競争の終わりがまた新たな競走のスタートになる社会構造を表現している。

若者2人が役員室にやってきて、新技術であるパソコンで世界共通語を作ると訴える。やや誇張が強い感じがしたが、それはそのままバベルの塔のメタファーになっていて、インターネットを用いた現代のトレーディングが始まり、それがリーマンショックへと繋がっていく。

等々、場面ごとに語る要素がとても多い洗練された舞台だった。
ngsm

ngsmの感想・評価

-
演出はサム・メンデスだし、評判はかねがね聞いていたけど、その期待を余裕で上回る作品だった。
リーマン・ショックは勿論知っているけど、そのリーマン・ブラザーズはユダヤ系のリーマン兄弟が作った会社ってことなどは何も知らなかったので、単純にそういうアメリカ近現代経済史の大河ドラマとしても面白い。しかも、3人の役者の演技や舞台の設計とかそういう舞台ならではの強みも相まって、完成度がめちゃくちゃ高い…

年末NTLive3つみたけど、ぶっちぎりトップ
シソ

シソの感想・評価

5.0
演者は3人のみ。
キャラクターはこの3人だけで見事に演じ分けられている。魔法みたいだった。

ピアノ、背景、旋回するガラスの箱。
秀逸すぎる。

繰り返し出てくる言い回し、耳の風、夢。
それぞれがものすごくいい役割を果たしている
見事に三世代の歴史を積み上げていった。
限られた時間と空間で
とんでもなく厚みが感じられる劇になっていて素晴らしい。

詩的な言葉もいい…
英語字幕でも観たい。
kuko

kukoの感想・評価

4.2
NTLアンコール上映

長時間だし不安だったけど観てよかったー!

3人芝居で3代にわたるリーマン家を始めナレーション、脇役など老若男女を演じる。

みんなおじさんなんだけど、年頃の娘を演じていたと思えばそのまま娘の父親になり…
衣装もセットも変わらないのに仕草、声色で演じ分けられていて全然混乱しなかった!
これが演技力…、、、

ピアノも生演奏で良かった。


時間帯が遅かったので最後の方流石に眠くなってしまったけど笑
三部構成、休憩2回で約3時間50分。
ちょっと忍耐力無くて三幕目の記憶が飛んでしまったけど…

出演は俳優3人のみ。舞台セットが大きく入れ変わるわけでもなく背景画と回転する舞台とバンカーズボックスだけ。
俳優さんの演じ分けや、ト書のようで詩のような繰り返されるセリフが情景を容易く想像させてくれる。
リーマン一家のことなんてよく知らないし興味も無かったけどそれでもとても楽しめた。見てよかった。
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