青豆さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.9

"17歳"がタイトルに付いている作品て、他の年齢のそれより圧倒的に多くないだろうか。
17歳のカルテ、17歳の肖像、17歳の地図、17歳(オゾン監督)などなど…どれも痛々しくも美しい作品だ。
自分が1
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

4.1

"ゴースト・ドッグ、力と平等を"
"すべて熟知、マイ・ブラザー"

葉隠れや羅生門といった昔の日本の作品からインスピレーションを受けているのは嬉しく、そこに掛け合わされているヒップホップが絶妙にマッチ
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ヴィジット(2015年製作の映画)

3.7

職場の若者氏からのおすすめにより、特段の予備知識を入れず観てみることに。
M.N.シャマラン監督である時点で薄々予感はしていたんだけど、やっぱり怖かった(怖いの苦手)…
けどこの作品は、子供らが心に抱
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

4.1

遅ればせながら初めてのアピチャッポン作品鑑賞です(アピチャッポンなのかアポチャッピンなのかいつも迷ってしまう…)。
生と死の境目とか輪廻とかカルマといった仏教的な考えが自分は結構好きなたちなので、かな
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

3.9

ポケットに銃を、唇に微笑みを、人生に愛を。

主役なのに悪いんだけど、ぶっちゃけロバート・レッドフォードの事は大して見ていなかったよ…そのくらいヒロインであるシシー・スぺイセク(72)が魅力的で、美し
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

鑑賞したのは1ヶ月近くも前なんだけど、どうしても上手く気持ちが上手くまとめられてなかった(決して今もそれが出来ているわけではないのだけど…)。
美しきサイコ女の活躍!で済ませてしまうには、あまりにも悲
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ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

4.0

何かの記事で、濱口監督がお好きな作品として挙げていたので観てみることに。4人の女性たちの心情が繊細に描かれています。
苛立ちや疲労感、傷つくかもしれない予感といった微妙な領域にある負の感情、またはそれ
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.8

正反対の意見を持つ若者同士が煙草を片手に激論を交わすなんて、親指一つで何でも出来てしまう現代では色々と考えられないような、とてつもない時代が確かに存在したんだな…
何にせよ三島も東大の木村氏も芥氏も、
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

ずっと楽しみにしていたこの作品はどうしても映画館で観たくて、気合を入れて初日に!
そう気合を入れて行ったはいいものの、わたしの回の観客は、自分、自分と同じような雰囲気の女性、アーティスト風イケオジ、と
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いまを生きる(1989年製作の映画)

4.1

グッド・ウィル・ハンティングにしても、レナードの朝にしてもそうだけど、ロビン・ウィリアムズの先生役ってどうしてこんなにも絶大な安心感があるのだろう(何で死んでしまったの…)。

"死せる詩人の会"では
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.8

夏より一時間は早く起きて車を掘り出し、時速20㎞で命からがら職場に辿り着いてもまた雪"かたし"で、デスクに座る頃には髪がボサボサになっている、という日々に疲弊していたわたしは、久しぶりに雪のない地に出>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.0

映像も暗ければストーリーも暗かったけど、面白かったです。
悲しいことに現代でも起きている問題だけど、加害者の視点というのはもしかするとこんな風に捻じ曲がったものなのかも、と恐ろしくなった。
けれどわた
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.0

間接照明で部屋を良い感じの暗さにし、ビールと干しマンゴー(最近読んだ平野啓一郎の小説に出てきた描写で、やってみたかったやつ)を用意するなどして観始めた。
と言っても、スパイク・リーが監督した音楽映画と
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ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)

4.8

最 高 で す

年末年始を挟むこの一週間、わたしの心は4人と共にあった。
毎日彼らとスタジオ入りし、それこそヨーコの隣に座っていたような気持ちです。
大量の茶やコーヒー、ビールを4人と一緒にいる気分
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

孤独であるのには相当な強さが必要だ。
嫌でも自分自身と深く向き合わなくてはならないし、それは他人と向き合うよりもキツいものではないかとわたしは思う。あるいは。
それに、寂しさやしんどさだけでなく、喜び
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.7

色々と置いておいたとしても、彼らの選んだ"終わりの迎え方"が凄く良くて、インターネットやSNSにより情報に溢れ返る世界だけど、本当に大切なのは、目を向けるべきなのは、隣に居る人の手を握ることであったり>>続きを読む

ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

3.8

「美しい詩」は、最高と思うか最低と思うかの両極に分かれるのではないだろうか。

"ハバナで君を思いながら眠りにつく
さっき小便をして×××を見下ろし
愛しくなった
こいつは今日2回君の中に入ったんだ
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.7

自分が東北の人間だから尚更かもしれないけど、"ミナリ"が好きだ。これから日を追うごとに寒さが厳しくなるのと比例してミナリ鍋が恋しくなり、暖かい部屋の中でそれを囲み、キンキンの瓶ビールを小さなグラスでキ>>続きを読む

007 スペクター(2015年製作の映画)

3.8

はじめまして、ジェームズ・ボンド。
わたしにとってのはじめてがあなたで本当に良かったと思っております。
というのも、ジェームズ・ボンドというのは、任務遂行のためなら何だってする、いつだって冷静沈着な氷
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アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

4.1

日常の中のささやかな動作を、例えば蝋燭の炎を頼りにペンを走らせる手元だったり、慣れた手つきで泥のついた野菜を剥く場面であったり、化石を大切に扱うところだったり、想いを込めて相手の身体に触れるところだっ>>続きを読む

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

3.8

地上の世界と地下の世界、現実の世界と死後の世界。そのあべこべな対比に苦しくさせられる。本来なら負の側であるはずの地下の世界と死後の世界があまりにも眩しく見えてしまう、そう見せてしまう戦争の忌々しさたる>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

3.6

"ナイナイ"的な存在が多くはないが、いる。大事に思い思われている人たちが。ありがたいことに。
子供の頃に"ナイナイ"の一人がガンの宣告も受けず、余命も知らされないまま亡くなった。その選択が果たして正し
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.5

タイトルの"天国"というのは、やはりパレスチナのことを指すのだろうか。
パリやニューヨークをとおして、故郷を顧みてみると、全く違っているようでいてどこか似ているところもある。
最後のクラブシーンなんか
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

映画館から帰宅し、本棚から"女のいない男たち"を取り出して購入時振りに(わたしは不良ハルキストなので、何度も何度も読むものもあれば、一度読んだきりになっているものもある…)読み返すこととした。
思って
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

3.5

・冒頭からグザヴィエの演技が観られるところ
・ベンとベバリーの迎える結末
(水中キスシーン愛好家のコレクションに新しく追加。シェイプ・オブ・ウォーター、ルビー・スパークス、ムード・インディゴ 、it
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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

3.7

A24の作品はなるべく観ておくようにしたく、こちらはプランBとの共作でもあり、ずっと観なくてはと思っていた。
登場する人物一人一人が丁寧に描かれている印象で、この2時間でジミーとモントの事が大好きにな
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.9

怖いのが大の苦手で、かつて一作目も怯えながらやっと鑑賞したんだけど…
POPEYEのホラー特集に影響され、意を決して鑑賞。

キッズたちがノットオーケー×ストレンジャーシングス×僕らのままで×ロック&
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

3.7

この作品から何を受け取るのか、というのが自分にとってはなかなか難しかったところがあるけど、"善と悪は表裏一体"ということだろうか。
ミルドレッドの気持ちは痛いほど良く分かるし、寄り添いたい気持ちではあ
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ガタカ(1997年製作の映画)

4.1

素晴らしくカッコいい作品だった。
カッコいいというのはキャストは勿論だけど(若きイーサン・ホーク×ジュード・ロウってあまりにも眩しすぎる…!)、ガタカの秩序で保たれた世界観であったり、台詞のちょっとキ
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.8

…流石に塞翁が馬が過ぎないか…?と思ってしまうわたしはひねくれ者なのか。
自分の好意を無下にした女への復讐計画のはずが、失敗した事で標的を変え、何人も撃ち殺した結果人助けとなりヒーローに?
最近の作品
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.0

夏になると何故だか知らないけどヒップホップが聴きたくなり、そしてヤクザ映画が観たくなる。
HANABIは青、dollsは赤、菊次郎の夏は緑がそれぞれを象徴するカラーだとするならば、この作品は砂浜の色(
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.1

これまで観てきたホン・サンス×キム・ミニシリーズの中で、わたしはダントツで好きかも。突然のズームや取り留めのない会話で進んでいく相変わらずの感じではあるんだけど、なんだろう。自分は結婚していないしガミ>>続きを読む

エゴン・シーレ 死と乙女(2016年製作の映画)

3.5

BTSテヒョンの好きな作品ということで。
この方々、特にテヒョンとナムジュンはとりわけ感性が豊かだと思ってるんだけど、脳セク(=脳がセクシー)と言われたりしているようで、外見も脳みそもセクシーって一体
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

4.0

自分が小学生だか中学生だかの頃、国語の教科書に"そこまでとべたら"という短い話が載っていた。おじいさんが危篤になってしまった陸上部の女の子が、願掛けみたいな意味で「そこまでとべたらおじいちゃんは元気に>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.9

キネマ旬報で00年代海外ベスト作品に選ばれていたのを見かけて、観てみることに。
実際の事件が題材になっているわけだけど、中盤まで自白の強要や暴力的な取り調べ、証拠の捏造などがちょっとふざけた調子で続き
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.1

視線。言葉じゃなく、触れ合いでもなく、気持ちを伝える方法を初めて知った。
風の強い海辺のシーンでは口元を覆っていることも相まって特に目元に注目してしまったし、炎が揺らめく祭りのシーンではそれが瞳に映り
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