Ryomaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

あん(2015年製作の映画)

4.4

春から夏に移り変わる時間を切り取った本作、時折り映し出される満開の桜、深緑の木々からの木漏れ日のショットが美しすぎて、静かに穏やかに進む物語の中にあるそれがより沁みた。
血のつながりや生い立ち、世代を
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.4

30代。一般的には立派で独立した大人と位置づけられ世間的には決して若々しいとは言いきれない年代。その例外でない主人公。彼女がキャリアや結婚、出産など自分と世間を比較した葛藤や苦悩がひしひしと痛いほど伝>>続きを読む

ブラック・ビューティー(2020年製作の映画)

4.3

ひとりの少女と“ビューティー“と名付けられた馬の絆を描いた本作。『僕のワンダフルライフ』を連想させる主として馬視点でのストーリー構成により人間と馬の相互のお互いへの思いの強さが感じられた。同時に、食物>>続きを読む

グッドナイト・ムーン(1998年製作の映画)

4.2

ジュリアロバーツとスーザンサランドンの好演が光る秀作。我が子のことを想うがために感情を曝け出し気を張ってしまうジャッキーの気持ちが痛いほど伝わってきた。子を持つ親や女性ならより感情移入できるような気が>>続きを読む

二つの光(2017年製作の映画)

4.2

韓国映画お得意のバイオレンスでもサスペンスでもアクションでもない、ひたすら爽やかで美しく温かい色味を帯びた素敵な作品。世界の映画、日本のドラマでも聾唖の方などの社会的マイノリティーの人を取り上げられる>>続きを読む

マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

4.3

ニューヨークを舞台にひとりの女性が出版社の仕事や人との出逢いを通して本当の自分を見つける物語。大都市の喧騒に相反する静寂の中で響くタイピング入力のカチッという音がなんとも心地よくいつまでも聴いていられ>>続きを読む

キツツキと雨(2011年製作の映画)

4.3

冒頭から沖田節炸裂の独特な間から繰り出される言葉のひとつひとつがシュールな笑いを誘う。随所に感じるおそらくアドリブであろう演者の台詞や表情がホントに面白くそれこそ沖田監督作品の醍醐味だなと思った。ひょ>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.3

喧騒に包まれる煌びやかで華やかな街の裏側で死に物狂いで生きている人がいる。何もかも嫌になって投げ出したくなって…スポットライトが当たらないだけで本当はだれもが毎日孤軍奮闘して必死で生きているんだろうな>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

3.8

抑えていた思いが制御できず溢れ出してしまった歪んだ愛。エゴか真実の愛か。山田杏奈さんの陰鬱で暗い色を含んだ表情が秀逸。自分の思いを曝け出し否定されたときの思春期ならではの虚無感や悲壮感の計り知れなさを>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.4

“自分なんか“と自らを卑下したり自分の限界を決め諦めたり。劣等感や引け目を感じたり、望むものを持ちうる人に憧れを抱いたり、そんな思いを持った経験があるすべての人に刺さる物語だなと感じたし、それらの気持>>続きを読む

サッドティー(2013年製作の映画)

3.7

“恋“に対して様々な考え方を持った男女の恋愛群像劇。“恋“を広辞苑で調べると最初に出てくるのが意外にも『一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと』。劇中で頻繁に問われる“恋“と>>続きを読む

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

3.6

閉塞感と焦燥感でいっぱいで良い方にも悪い方にも転んでしまうおぼつかなく危うげな青春時代。悲しみに暮れ泣き喚きたい気持ちも他人とは違う特別な何かになりたい気持ちも全部ひっくるめてそういう感情が芽生えるこ>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.5

繊細で今にも壊れてしまいそうな脆い心と言葉や行動で真っ直ぐ湧き出てくる衝動とが混在したぐちゃぐちゃな青春期。悩みが多すぎて何が悩みなのかもわからぬまま何とか生きていかなければならないなんとも残酷な世界>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

3.2

“インフルエンサー“ 的存在のチワワちゃん、誰もが羨み崇拝し慕い一目置いていた彼女の死により、明るみになる彼女を取り巻く人の真の思い。仲がいいだけではない、嫉妬や羨望の眼差し、時にはそれが嫌悪にもなり>>続きを読む

抱擁のかけら(2009年製作の映画)

4.1

ペドロ•アルモドバル監督作品鑑賞三作目。

一人の元映画監督の再生物語でもあり彼を含む二人の男性とある女性の愛憎物語でもある本作。ペネロペクルスの美貌とサスペンスフルで精緻な脚本が光る秀作。冒頭のショ
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黄昏(1981年製作の映画)

4.3

家族のつながりや尊さについて考えさせられたし、あたたかい気持ちになれる作品だった。
まず老夫婦の深い絆にうっとり。口の悪い不器用な夫と少しお節介でしっかり者の妻の会話劇がなんら特別ではなく他愛のない会
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.2

冒頭のとりわけ泣くようなシーンでもないのかもしれないけれど、“スティーブン•スピルバーグ“という偉大な人物を創り上げた起源ともなるであろう幼少期の映画とのかけがえのない出逢いやそのきっかけをつくってく>>続きを読む

アイリスへの手紙(1989年製作の映画)

4.2

ロバートデニーロ演じる独身男性とジェーンフォンダ演じるニ児の子を持つ未亡人女性の恋愛物語。人思いで優しいけれど少し不器用なロバートデニーロがチャーミングでなんとも愛おしい。家族思いでしっかり自分の意思>>続きを読む

ある過去の行方(2013年製作の映画)

4.6

疑惑が疑惑を呼び、決して絶対的ではない噂や疑念が人々を弄び狂わせる。人間が人間に支配されているような感覚に陥る人間に対しての“嘲笑“という言葉が似合う圧巻な構成。人は自己防衛のためにしばしば何かを信じ>>続きを読む

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

4.7

ウディアレン作品を想起させる心地よいジャズ調のポップな音楽が序盤から鳴り響きかつ大好きなユアンマクレガーやクリストファープラマー、メラニーロランらが愛の物語を奏でるのだからもう好き以外の言葉が見つから>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

心地よいピアノの音色に載せて紡がれる映画館で働く中年女性と新入りで入ってきた若い黒人男性の絆や交流を描いたヒューマンドラマ。ワンカットとかではないけれど本作監督他作『1917…』でも感じた見事な撮影手>>続きを読む

ジュリエッタ(2016年製作の映画)

4.1

ペドロ•アルモドバル監督作鑑賞二作目。不穏で少し物悲しくもあるストリングスの劇伴に沿って紡がれる母娘の物語。現在において過去を回想する構成。いつの間にか彼の作品の虜になりつつあるのを感じる自分がいる。>>続きを読む

ドライビング・バニー(2021年製作の映画)

4.4

ジャケとは対照的にしっかり社会派な題材で陰鬱とした空気を帯びながらもそれを跳ね除けるほどのバニーの真っ直ぐさ•破天荒さにありったけの勇気をもらえた。ルールやモラルは言うまでもなく大切だけれど、昨今のダ>>続きを読む

四月の永い夢(2017年製作の映画)

4.7

冒頭映し出される桜並木とともに綴られる詩的で叙情的な語りで一気に引き込まれた。淡々とした語りや穏やかに発せられる言葉のひとつひとつに力強い思いや叫びが込められているみたいにすっと胸に届いてきて泣いてし>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

4.3

映画監督イングマール•ベルイマンが愛したスウェーデン🇸🇪のフォーレ島を舞台に、雄大な自然に触れた二人の映画監督の心情の変化が繊細に描かれた本作。

序盤から聴こえてくる小鳥のさえずりや風に揺れてたなび
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イン・ビトゥイーン(2022年製作の映画)

4.2

今は亡き愛する人との輝かしき思い出が回想的に現在と比較して綴られることで、また、喜びや悲しみの心情が過去•現在で寒色と暖色に分けて映される映像に沿って表現されることで、より主人公の気持ちに感情移入でき>>続きを読む

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)

4.7

劇場で観たかった作品。最高だった。観る者を飽きさせないましてや楽しませワクワクさせてくれる精巧かつスタイリッシュなカメラワーク、画面を彩る色彩豊かな色使い、ロードムービーとしてだけでなくシーンや人物の>>続きを読む

ボーイズ・オン・ザ・サイド(1995年製作の映画)

4.3

境遇が違えば考え方も異なる女性3人のロードムービー。少し噛み合わないような他愛のない会話が最高に面白く、性格や価値観も違う彼女らが心を通わせ打ち解けていく様に心温まる。音楽のチョイスも最高でロードムー>>続きを読む

ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

4.2

ペドロアルモドバル監督作初鑑賞。映画監督である主人公が回想的に自分の人生を振り返る自伝的な回顧録のような作品。現在と過去の記憶が行ったり来たりする構成だけれども分かりやすく観れた。カットごとに変化する>>続きを読む

ザ・プロム(2020年製作の映画)

4.3

終始パワフルで躍動感溢れる音楽•ダンス、そして、真の自由を求め立ち上がった人たちの姿にとびきりの勇気と元気をもらえた。同性愛者に限らず狭いコミュニティーの中で様々な事情でマイノリティーという立ち位置に>>続きを読む

The Hand of God(2021年製作の映画)

4.1

ローマ•ミラノに次ぐイタリア🇮🇹第三の都市ナポリを舞台に描かれるひとりの青年の成長譚。冒頭から背景に映し出されるナポリ湾の紺碧とも言えるほどに澄み切った景観が明媚で美しい。南方に位置するというアマルフ>>続きを読む

もっと、欲ばりなだけの恋じゃなくて(2021年製作の映画)

4.2

オープニングからカラフルな衣装やインテリアなど色彩豊かな画面が目を惹くのと同時にポップな音楽が気分を昂揚させ軽やかにさせてくれる。
舞台となる国のイタリア🇮🇹トリノやフランス🇫🇷パリの街並みがとにかく
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サムワン・グレート ~輝く人に~(2019年製作の映画)

4.0

親友3人の友情物語。失恋、離婚など人生の岐路•転機になりうる出来事から彼女らが一歩前に進もうとする姿が印象的な作品。他愛のないガールズトークも男性の自分から見ても新鮮で面白かった。また、親友でも容易に>>続きを読む

金の国 水の国(2023年製作の映画)

4.3

“だれかを想う“とか“真の優しさ“が体現された作品だと感じたし、そういう美点を持ち合わせうる人という存在に生まれたことに感謝したくなるそう思わせてくれた素敵な作品だった。また、作品が帯びる雰囲気や『鎌>>続きを読む

サマーキャンプ(2021年製作の映画)

4.1

観ててとにかく元気をもらえる。少しキザなというかドラマっぽい台詞もあったり、展開が予想できたりはするけれど、恋愛•友情✖️音楽(ポップな曲調かつミュージカル調でダイナミックなダンス多め)➕キャンプ地湖>>続きを読む

忘れられない愛の歌(2021年製作の映画)

4.1

頭の中に浮かぶ思いや感情が実体となり自問•葛藤する形は、綿矢りささん原作の『勝手にふるえてろ』を彷彿とさせる設定。また、主人公がカメラに向かい状況を説明する場面など単調な恋愛物語にならない工夫がされて>>続きを読む