otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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ラストマン・スタンディング(1996年製作の映画)

3.7

 もともと陸の孤島のジェリコの街が禁酒法のおかげで密輸組織の根城に。さらに対立ギャングの進出で大ゲバルト、住民はみんな逃げだして残ったのはギャング傘下の酒場と女郎屋(ホテルという)に唯一自由経営の葬儀>>続きを読む

まわり道(1974年製作の映画)

3.8

 歯に物が挟まってるというか、頭にもやがかかってるというか。南のはずれだというのに寒々、雪の岩峰までまわり道して北辺の自宅に舞い戻るような予感で終わるのがおもしろいというかつまらないというか。あそこま>>続きを読む

シックス・センス(1999年製作の映画)

4.0

 鋭敏な観衆は早くからウィリス医師が冒頭、ヴィンセント君との一件で死亡しており、以降ほぼ全編で幽霊状態だった事に気づいていた模様だ。すると、コール君が幽霊医師だけに「死者が見える」と告白したものなら、>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.0

 ネッド・ライフルもヘンリー・フールも架空の人物と思ったら、「トラスト」の世界に生きていた。マシューはネッドの「人と宇宙」に育まれ、マリアもまたネッドを糸口にマシューの理解に踏み込もうとしている。蓮っ>>続きを読む

マスク(1984年製作の映画)

4.1

 持ち前の才気を梃子に辛かろうハンデキャップを克服して自身の立場を高め、さらに、困った事あれこれな母親や周囲の荒くれ風バイク団までこころを支え、支えられしてきたロッキーなのに。あれが実話の実話たるとこ>>続きを読む

有難や三度笠(1961年製作の映画)

3.7

 くすぐり満載が楽しいナンセンス股旅物。1961年当時の「社会問題」を江戸末期にそっくり置きなおして現代風、歌える旅鴉「いただきの守太郎」にきれいさっぱり片付けてもらうという寸法だ。それに対し、ほんの>>続きを読む

地獄(2009年製作の映画)

4.0

 病気になるほどの芸術家で映画祭3冠のクルーゾーともなれば、その病気力でとんでもない映画が生まれるとでも思ったのだろう。また、そこで資金上限なしなんて申し出が来りゃああれもこれもと試したくもなるのだろ>>続きを読む

夜の最前線 東京㊙️地帯(1971年製作の映画)

4.0

 東京という器も四半世紀前は戦火にさらされた欠け茶碗。そこに住む人も善悪の境を取っ払った闇塗れだ。それが復興から成長へ踏み出し行政と学校の後押しで金の卵たちを引き取るようになれば、街の様子も焼け跡なん>>続きを読む

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年製作の映画)

4.0

 日本の雑木林ならあの丘の向こうはすぐ住宅地だ。ところが、ブレア村では7日歩いてもどこにもたどり着けない。さらに、この迷宮を夜な夜な何者かが訪れる。これについての撮影隊3人の憶測がまことに印象希薄なも>>続きを読む

一等女房と三等亭主(1953年製作の映画)

3.7

 轟と伊藤、なるほどの一等、三等ぶりだがこれをアハハで済ましては置くまじというのがこの映画。収入10倍、知名度何万倍な細君に頭が上がらないのはそりゃあそうだろうが、伊藤の旦那は三等亭主でもなぜか社長の>>続きを読む

グッド・シェパード(2006年製作の映画)

4.1

 スパイであることについて覚悟を促される事があるように思う。もとより、死をもって心の証を立てた「愛国者」の息子で、アセクシャルとさえ見える落ち着きぶりのエドワードの事、そうそうにその覚悟で戦渦の英国に>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

4.1

 有性生殖の仕組みを得て、性分化して生じたオスは既にメスから異性として生まれている。従って、オスで産まれるとはそれ自体、「二度目の生まれ」となっているのである。人生行路で女の踏み石となるべく生きる男に>>続きを読む

遠い夜明け(1987年製作の映画)

4.0

 新聞記者ウッズは白人。その彼に記事の非を指摘し、事実に触れよと促すランペーレ医師は黒人。彼女が会えと告げるビコは黒人活動家だが、ウッズも含め白人の誰もが彼をほぼ扇動家、事実上のテロリストと眺めていた>>続きを読む

東京キッド(1950年製作の映画)

3.7

 ひばりの父ちゃんがアチャコだった!それがどうもひばりの父ちゃんに見えず芸人アチャコにしか見えないのがいかにも鬱陶しい。しかもひばりをアメリカに連れて行ってしまうというからなおさら忌々しい。
 ひばり
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.0

 燃える車を眺めながら、なんとなく同年パリでポルシェを操り損ねた画家、菅井汲を思い出した。それがどないしてん?彼はまたよく肉を食い、また食うものは毎食決まったメニューで何十年も食い続けるという塩梅で、>>続きを読む

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.0

 見上げる青空も次の嵐の通り道に過ぎない。監督がそんなだからハンナとその姉妹も人生湿りがち。パートナーとのすれ違い、すきま風、男運大凶を感じながら、さあどっちにいこうかとなるんだが、嵐の予兆を感じさせ>>続きを読む

カントリーガール(2010年製作の映画)

3.1

 BS日映専が特集を組むほどの気鋭の脚本家なんだろうが、何をどう端折ったのか言葉足らずな印象満載だ。おまけに誰が「カントリーガール」やら。しかし、若くて悪くて凄い高校生らが外人観光客を舞妓さんネタでカ>>続きを読む

彼岸花(1958年製作の映画)

4.0

 知り合いの娘さんには捌けたおじ様と見えたかもしれないが、厳に平山家の当主とあってはその沽券というものがあって、どこかの馬の骨青年から子猫を引き取るかのように娘さんを下さい頂戴と言われてもお引き取り願>>続きを読む

小さな巨人(1970年製作の映画)

4.0

 それはジョークの一類型といったものか、「アメリカ人のほら話」というのがある。「ジョーク」という言葉に感じる寸鉄の気に比べれば、こちらは小咄の量感と物語性がある。焚火を囲んだ野営の男たち、あるいは見ず>>続きを読む

ナイトブレーカーズ(2021年製作の映画)

3.8

 宇宙はほとんど真っ暗闇。その真っ暗を支える真空は斥力を生んで真っ暗はますます増殖中。真空で生きられない人間だから闇もまた怖く息苦しい。まさか即死とまではいかないと思ったが。
 事情はどうあれ大手を振
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日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

3.8

 「私は女なのよ」とバルバラから告げられ初めて気が付いた?らしいトランティニャンが社長と秘書なら当然の関係を冒涜している?どこに目を付けているのやら?また、その一言ですぐに事に至ってしまう燃えやすさは>>続きを読む

かあちゃん結婚しろよ(1962年製作の映画)

3.9

 いきなり伴淳が、俺がおめえの父ちゃんだよ、なんて言ってきたらどうしよう。困惑以前に、いいえ結構ですと言ってしまうかも知れない。伴淳だから、そのいかがわしくも抜けたやくざ気取りな風が見る者の予定調和感>>続きを読む

荒野の処刑(1975年製作の映画)

4.2

 幸か不幸か、犬も歩けば棒に当たる、というが怨敵チャコを討ち取ったスタビーを最後、追っかけてくるのが犬という。こいつが終の相棒というわけか、お後が宜しいようで。

 この犬で終わるスタビーが、話の初め
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.1

 三組の人々に訪れる偶然亊が寝た子を起すようにして想像を掻き立ててくる。それは思いもしなかったろう行動を解発させ結果を導いていくのだが、それは望んだことであったりなかったり、不幸だったり幸いであったり>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

4.3

 ふつうの世帯なら所得倍増になんだ?と思っている頃、しとやかな獣、若尾は依然、生存本能に駆られている。子どもと自分だけ、誰も他人を踏み込ませない居場所を得るために周到に、しっぽを掴まれない算段を弄して>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.1

 ジョニーはジャーナリスト。社会問題を抱えた地域の子供たちの発言を得て子供個人の悩みから地域の課題、人間世界の課題を炙り出し、将来の不安と展望、希望のかけらまで引き出す。もちろんジャーナリストだから自>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

3.8

 燈台も無人化されるわけだ。人殺しのいじめられ男がいびり屋の上司と一緒に死んだ船乗りの生まれ変わりカモメしかいない離れ小島で殺し殺されを演じるまでに十分な地獄絵図を見せてくれる。しかし、それが本当の生>>続きを読む

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)

4.1

 微熱どころか低体温な感じの袴田が「売り専」で男娼営業をしているあたり、愛を求める相手が女ではなくて、ということなのか求めあぐねてそこにはまり込んでるだけ?実は誰にも愛を向けられないし受け止めえない性>>続きを読む

あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

4.1

 鬼のいるのがあちら側というわけで、こちらにいる「わたし」と鬼とは決して交わらないのが私の「わたし」たるところである。しかし、わたくし、みはるを追う白木鬼を拒めないみはる自身もこころの内に鬼たる白木を>>続きを読む

オートクチュール(2021年製作の映画)

3.4

 こころ温まる話というなら何も記すには及ばないのだが、ディオール版おとぎ話のめでたしめでたし感がさり気無さそで効き過ぎてないか?

 ディオールといえばモード界の頂点で、文化大国フランスの一つの顔であ
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ラ・ブーム2(1982年製作の映画)

3.7

 悔しいけれどフランスとフランス人には眩しいものを覚えてしまう。ただ、羨むことはない、眩しいだけである。
 100分の光彩の中で回想するのは第2外国語にドイツ語を選んだ件である。眩い中に身を置くよりも
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勝利と敗北(1960年製作の映画)

4.0

 「俺がこんな会長の所にいたら今頃 . . .」とやくざ者に身を落としつつある元郷田ジムのボクサー岡野が迫った「こんな会長」は峰岸(山村聰)。それなら、「あんな会長」の郷田(安部徹)はやくざ上がり、表>>続きを読む

エンドレス・ラブ(1981年製作の映画)

3.8

 女にしてみりゃ男は偉そうで押しつけがましく、勝手に攻め入って来て、それこそが売りのつもりでいる了見の狭いバカなんだろう。しかし、当の女もその押しに揺さぶられると何かを見失ってしまうのかもしれない。そ>>続きを読む

ミズーリ・ブレイク(1976年製作の映画)

4.0

 危ないジャックが化け物マーロンの喉を裂く。闇の仕置きが都会的な洗練味を添えている。肺の腑が血で溢れ窒息する数秒の静けさに何も気づかない人間はその晩もよく眠れるだろう。マーロンもまた永遠の眠りの前に自>>続きを読む

旗本やくざ 五人のあばれ者(1963年製作の映画)

3.7

 暴れん坊将軍が賢君吉宗であるように、貧乏御家人あばれ者五人は一児の父親五人組であった。というわけで、育児に鎬にみんな懸命。チャンバラをやっているわけにいかないのである。
 ところで、直参の名誉誇らか
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悲愁物語(1977年製作の映画)

4.0

 主役の桜庭が血の汗をゴルフに注ぎ込み悩み多くハングリーな女子プロ王者に栄進するというのなら梶原原作で通るんだろう。ところが、企業のイメージキャラクターに抜擢されて人気者、その人気にあやかろうという有>>続きを読む