ちょっと不思議なロードムービー。
映画館で観て、ここまで刺さらなかった映画は久しぶり。

現代版『不思議の国のアリス』みたいな宣伝をしているけど、別次元の世界というよりは、ちょっと不思議なことが起きるだけだし、『ボーはおそれている』の女子高生版のように感じた。

修学旅行でワシントンへ。主人公の女が夜（たぶん禁じられてる）バーに行くと、陰謀論に取り憑かれた男の銃乱射事件に遭遇してしまう。
トイレの鏡の裏から何とか逃げ切るも、そこからアメリカ社会のちょっと不思議なことに巻き込まれていく…というストーリー。

主人公を演じたタリア・ライダーさんは凄く綺麗なんだけど、ハマらない映画だと主人公が綺麗なこともイライラしてくる。
日本映画で言えば、橋本環奈さんを主人公にしたラブコメ映画を作れば、赤字にならないくらいにお客さんが入ってるかな…的な制作側に対する不快感。

陰謀論を信じる人や新興宗教を入れれば、現代の社会派的な映画になる…という感じなのも安易に思ってしまった。

ロードムービーのような。
なかなか独特の世界観と出来事を1人の女性リリアンで一繋ぎにしたような作品。

色んな“多様性”のアメリカのそれぞれの一面を見せる。
結果的にその“多様性”や“自由”の価値観を横断的に体験して“1人の女性リリアン”が出来上がっていくような物語。

高校の修学旅行で多感な学生があちこちでワイワイと騒ぐ中、どこか物憂げで達観しちゃってる感じの女の子、リリアン。

何かあるわけでもないけど、なんか悶々としてて、修学旅行を数人でちょっと抜け出して近くのカラオケバーに。
すると、そこに陰謀論的な過激な思想を持つ男が物騒なナリで乱入してくる。

そこから逃げ惑っていると仲間とはぐれる。
そしたら、別の男が助けてくれてバーの裏口から抜け出す。

そこから修学旅行どころではなくなり、その助けてくれた男について行くと、彼らは彼で“活動”してる。
それに付き合うことにしてそのまま彼らと移動し始めるリリアン。

そこから彼女の“不思議な国の物語”が始まる。
別にその集団にずっとついていって色んな体験をするということではなく、その先々でまた別の人と知り合ってそっちについていく、みたいな転々とするリリアン。

それは、彼女の選択であったり、なし崩しだったり。
修学旅行で燻っていた彼女が、どんどんどんどん色んな世界に足を突っ込んでいく。

時には男の家に上がり込んだり、そこから色々あって別の男の生活圏に匿われたり。

とにかく自分たちの主張すべく仲間を集めて“活動”する若者や、自分と同じような匂いを漂わせるお金持ちの男や、ただただ真摯に優しい男だったり。

そんな人たちと行動しているうちに彼女もまた成長して行く。まるで、“大人の階段”を登るかのように。

なんなら、その表情や雰囲気を見出されて映画とかにも出はじめたり。

何がきっかけで何が起きるかわからない。
それは自分の意思で掴むこともあれば、不可抗力やなし崩しに巻き込まれるような形でコトが進んだり。

“アメリカンドリーム”とよく言うが、“自由の国”アメリカには色んな考えや価値観、貧富の差や、人種や年代がいて、それぞれに夢の形が違う。

リリアンもまたその色んな選択肢に触れ、悶々としていた彼女を突き動かして行く。

という話だけど、かなりぶっ飛んではいる。
こんな展開あるのか、許されるのか、そうも簡単に飛び込んでいけるのか。

その時々の人や環境もなかなか極端といえば極端で波瀾万丈。
これがアメリカ独特の世界観とか価値観だとすれば、やはりすごい国だ。

憧れるような、これはこれで恐ろしいような。
振り幅が凄過ぎて日本で保守的に生きるこちらとしては少し刺激的な物語を歩むリリアンと、彼女が関わる人たちの数奇な人生の断片。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
『matchypotterと映画の秘宝』
https://matchypotter.com/
作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○


F:2672
M:509

• #顔面ドアップサムネイルの映画

タリア・ライダーのプロモーションビデオかよ…。