…そう…あなたはパペット…操り人形…

偉大なストップモーション・アニメーターの母を持つエラ…病により思うように動かなくなった母の"手"として作品を完成させようとする…が、母は倒れてしまい、エラが母の作品を引き継ぐしかなかった…

"ダメ…何のアイデアも浮かばない…"独力では何も出来ないエラの前に現れた少女…彼女の話は魅力的で恐ろしい…少女のアドバイスを受け入れ、新たな作品に取り掛かるエラだったが…

才能ある母に対する尊敬と畏怖、そして鬱陶しさを感じながらも、一人のアーティストとして独立したい主人公のエラでしたが、悲しいかな母のような才能には恵まれず、その絶望感が見せる悪夢に現実と虚構の境界線が曖昧になる世界観はちょっと好き…

何しろ不気味な人形のデザインが本作の世界観をナイスなカオスに引きずり込んでいて、雰囲気はピカ一なんです。

よっく見ると、話はありがちで怖さという点では…まぁ、それ程…ただ、後半の畳み掛けるような痛々しさは抜群です…"いや〜"って、目細めてしまう描写…

天才の母を持つ凡人である娘の焦りというか、狂気が謎の少女を生んでしまったのかも知れません…

エラなりの解決策を見つけたラストシーンなのかなと私的には納得…フィルマの評価は低めですが、綺麗にまとめた不気味な話として、私の評価は高めでございます。

公開前に拝見させて頂く機会を得て。
結構気になってた。このサムネイルがなかなかインパクトがあって、心がザワザワする感じで駆り立てられる。

タイトルがそうであるように、実際に作中に“ストップモーションアニメ”が出てくる。
これがまた、何とも言えない心のザワザワを駆り立ててくる感じの造形。

いわゆる粘土で模った風景やキャラクターをちょっとずつ動かして撮影してコマ送りにして動きを出す“クレイアニメ”。

これになぞらえた、主人公がこれに飲み込まれていくようなホラー作品。

主人公の女性の母親がこのクレイアニメの第一人者で、主人公はこの母親を支えるアシスタントみたいなことをしている。

母親の病がいよいよ本格化してき始めて、母親も少し焦りもあるのか娘に厳しくあたる。

この主人公の娘もその母親と向き合いながら、何とか母親が生きているうちにこの作品を完成させたい。

だが、一方で自分にもクリエイターとして挑戦したい面もあり、母親は指導者、作者でもあり、目の上のたんこぶでもある。

そんな矢先に母親が本当に倒れて入院してしまう。
これが引き金となり、作品を完成させてあげたい思いもありつつ、母親がいないと実は自分にアイデアが浮かばない才能の乏しさなどが爆発。

そんな時に、新しく借りたスタジオで謎の少女に出会い、その少女が語るストーリーに飲み込まれて、母親の作品を諦めて、その少女の物語でクレイアニメを作り始めるが、、、。

この独特のクレイアニメの質感とこの作中のアニメの不気味さ。
もともと母親が作ってた物語しかり、新たに少女が語る物語しかり、、、なんでそんな不気味な物語を描きたがるのか、というほど、不気味。

そして、少女と過ごし、そのアニメを作るうちに、その少女が語る物語の先も気になり始め、主人公はどんどんのめり込み始め、徐々に現実とアニメの世界が彼女の中で曖昧になっていき、ついにそれが、、、。

彼女が抱える悩み。
母親に対する尊敬と畏怖と束縛からの開放的な思い。
自分に対するクリエイターとしての才能や周囲からの評価や、仲間内の出世などに対する思い。

これらが一気に顕在化し、混沌とし始めた時に、母の一件があり、謎の少女との出会いとなり、彼女は何かに導かれるように没頭し、一線を越えていく。

これはもう彼女にとっては必然的な流れのように、自然にとんでもないことになっていく様が、、、不気味。

クレイアニメのヌルッとした質感と、完成度が高いほどそれがヌルヌルと動く感じの独特の世界観。
これと現実が混濁していく感じが、観ているこちらの心が拒否感を覚える。

だけども、これでどうなるのか、この少女の存在や、アニメのキャラクター、そして、この結末へと向かう「なんか変な感じ」から目を背けられなくなる、そんな不気味な作品。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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• #顔面ドアップサムネイルの映画

映画監督を目指すも創作に行き詰まった女性が、ある少女との出会いをきっかけに狂気にとらわれていく…
コレはたしかにホラーというよりも、“クリエイター残酷物語”。主人公自身、才能が無い事を自覚しているだけに余計にキビシさが増すし、むしろそちらの方がホラー。“盗作”で揉めたり、師弟（母娘）間での確執も描かれていたり、終盤への伏線も張られていたりとプロット的にも結構しっかりとしていた印象。
“謎の少女”の存在感のある生意気な感じのお芝居も良かったが、なんといっても主人公の後半、クライマックスでの危機迫る表情が、それまでのお芝居と全然違っていてビックリしたし、巧いなぁ…と唸らされた。
今回鑑賞した劇場は、今作の配給をした会社の直営の劇場だったので、本編に登場したホンモノのプロップ（人形）が展示されていて、それもまた良かった。鑑賞後に改めて見ると「おおおっ」と感慨が増す。
「JUNK HEAD」や「オオカミの家」といった近年公開されたストップモーションアニメ作品を鑑賞するたびに感じていた、作品そのものよりも、製作者の狂気というモノを改めて思い知らされた作品。

• #2025劇場とらキチ