にせ刑事の作品情報・感想・評価

にせ刑事1967年製作の映画)

製作国:

上映時間:92分

3.5

「にせ刑事」に投稿された感想・評価

勝新太郎主演の山本薩夫監督作品。未ソフト化作品。
おぼれている少年を助ける警官(勝新太郎)だが、助けている間に拳銃を盗まれる。名前を寅松と言うが、盗まれた拳銃が犯罪に使われたことでクビになる。

実家の魚屋の5代目となるはずの寅松であるが、魚屋ヤル気なし。

警官仲間(山本学)の結婚式では、酔っ払い過ぎて、花嫁を自分の妹(吉村実子)と錯覚してトンデモナイ発言する喜劇的要素あり。
ただ、さほど笑えない。

電車の中でチンピラにからまれていた女子大生を助けたことで、一躍有名になったりするが、幼稚園児の誘拐事件が起こる。この誘拐事件も解決に導く寅松であったが、女子大生が面倒みている男の子が誘拐される前に持ってきた「大魔神の絵」を見たときは「まぁ、この作品も大映映画だしなぁ~」と思っていた程度であったが、大魔神が誘拐犯罪を解決するキッカケになるとは意外であった。(途中、大魔神の上映スクリーンも出てくるし…)

気軽に観られるテンポの良い映画であるが、サスペンス的要素は色濃く出ていたが、喜劇部分が中途半端だった気がする。

最後は、政界財界の汚職事件っぽい終わり方をするあたりは、山本薩夫監督ならではの社会派らしき側面であろうか…。
今回の勝新は、拳銃を盗まれて免職になった元刑事。
毎日ぶらぶらしながら刑事ドラマばかり観て、まだ刑事のつもりでいる無職男性だ。
熱血漢といえば熱血漢だが、警察でもないのに己の正義を振るいまくるちょっとアレな人だ。
向こうにも好意があったから良いものの、好きな女性への猛アプローチもちょっと危ない。
明るく社交的な『タクシードライバー』というべきか。
こういう妄執的な役を演じる勝新は珍しい。
己の正義に従う勝新に世論は味方し、どんどんエスカレートしていく。
ここもトラビスと同じだ。
ラストは全く逆の結果に終わる所も皮肉。
このラストは山本薩夫作品らしく権力批判が盛り込まれているが、勝新の物語とは噛み合ってないのが残念。

作中、大魔神マニアの子供が『大魔神怒る』を観るシーンがあるが、本作は白黒映画なのでカラー作品である『大魔神怒る』も白黒で流れる。
凄い変な感覚。
座頭市のキャラにしてもそうだけど、男らしくて喧嘩に強く、頭も働くナイスガイなのに、本人が望まずともトラブルを次々呼び寄せ、周囲の人々を巻き込みながら街全体を荒廃させてしまう。そんな星の下に生きるナチュラルボーンのトラブルメーカー・勝新の魅力がここでも爆発。
事件はスクリーンの向こう側なのでこちらは良い身分だ。焦る勝新、暴れる勝新、照れる勝新、すべてチャーミングで彼から目が離せない。気がつくとヒロインではなく勝新を目で愛でている。