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『マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して』に投稿された感想・評価

継
4.0
'74年3月, ニューヨーク.
ペンシルベニア駅のトイレで一人の老人の死体が発見された。パスポートの住所が消された身元不明の遺体は一旦安置所へ保管されたが、やがて身元が判明するとマスコミは一時騒然となる。
彼はコルビジュエ、ライト、ミースと並ぶ20世紀を代表する建築家、ルイス・カーンだったのだ。

ソーク研究所、バングラデシュ国会議事堂 etc...
画像をググって見て欲しいほどの、これら歴史に残る偉大な建築物を残した巨匠、カーン。
だが、
私生活では正式な妻と2人の愛人の、各々3つの家庭を持つ奔放な男でもありました。

本作は、2人目の愛人の息子(私生児)ナサニエル・カーンが旧知の建築家や親類を訪ね歩いて話を聞き、
また彼が築いた世界中に点在する建築物へ足を運んでその巨大な造形に向き合う事で、建築家ルイス・カーンの中に己の記憶に僅かしかない父親の姿を見出だそうとするドキュメンタリーです。

1つ断っておくと、ナサニエルはこの時点で既に30代で、“母をたずねて三千里” 的に幼い子が親を捜すというセンチメンタリズムとは少し異なります。
カーンの死から30年。
プロジェクトの竣工に私財を注入した事で遺産と呼べるものは何も遺せず、愛人女性の2家庭には会いに行く事も稀だったという父親、カーン。

己の活動に集中するあまり、家庭を蔑ろにするというのは誉められたことじゃありませんが、
本作が興味深いのは、そんな物言いを沈黙させるほどにカーンが築いたものが物理的にあまりにも巨大で、ある種の神聖な風格を圧倒的に備えているという事。

戦時中、敵が古代遺跡と勘違いして攻撃しなかったという眉唾な逸話さえあり得るかも... と思わせる、バングラデシュ国会議事堂の威容は全身全霊を賭けて挑まなければ決して成し遂げられない偉業で、
傍目には犠牲を強いてもこれは仕方ないかf(^ー^;?と思わせるほどの迫力を感じさせるものでした。

巨大神殿や城塞を思わす途方もないスケールと、 “自然や地域との共存” なんてコンセプトを鼻で笑うように忽然と異空間を現出させるデザイン。。
故ザハ・ハディドの新国立競技場の一件を思い出すまでもなく、建築家としてはオールドスクールで絶滅危惧種な手法は企画立案の先で頓挫してしまう事が多々あったようです。

そんな中、カーンの出生地エストニアに若干26歳で国立博物館を建てた日本人がいます。
旧ソ連時代の軍用飛行場という負の遺産を、“エストニアの未来への滑走路” と意味を換骨奪胎したデザインでコンペを勝ち抜いた田根剛。
カーンが生きていたら何と言ったでしょうか、聞いてみたかった気がします。
この人の場合は一般で鑑みれば背景ほぼ鬼畜、その分仕事に集約された感が。

アートに振りまくる度合い増え居住性は捨てるカーンの奔放な生き様を観ていると、性質は違うがいけちゃんと重なって見える。
MK
4.2
建築家ルイス・カーンを扱ったその息子が撮ったドキュメンタリー。
そこまでの知識がなかったので、ライトやミース、コルビュジェとかと同様に思っていた上に、ソーク研究所とキンベル美術館くらいしか知らなかったけど、人種的なルーツとか宗教性や精神性も垣間見れてとても興味深かった。

作品としては建築的なアプローチというよりは人間性にフォーカスしていくもので少し肩透かし…まぁ作品集買えって話だとは思うけど。


有機的で自然との親和性が高く感じられるライトの建築とは異なり、無機質さがもたらす自然との緊張感とか、精神世界に訴えかけてくるかのような洗練された建築で、久しぶりにまじまじと見ると、凄く素敵な建築ばかりだった。

あとは作中の素晴らしい言葉のメモ
建築に携わる端くれとして背筋が伸びる思い。

新しい要素が受け入れられる時
建築家だと実感できる。

今の設計は堕落している

何かに形を与える時は
本質と語り合うべきだ

芸術家は約束に縛られず前進している

芸術作品は歩いたり走ったりする
生き物ではない
だが生命として人に働きかける
自然でも創れないものを人は創れる

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