「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ監督。そして、同作主演のカトリーヌ・ドヌーヴが再び。

いや〜。
おったまげ。

ジャック・ドゥミの創り出した世界観が凄い。これは完全におとぎ話。「シェルブールの雨傘」でもポップな色彩感覚はお見事の一言だったけど、こちらの作品もなかなか凄いゾ。このジャケットも好きナリ。

王妃の最期を看取る時、王は王妃と同等の美貌と美徳を兼ね備えた女性が現れない限り再婚しないと約束する。そしてあらゆる見合いを断る王。とある従者が持って来た女性の肖像画を見て、この女性と再婚すると言う王。それは他の誰でもない、自分の娘の肖像画だった—— 。

ファッッ！？

娘ーーー！！
逃げてーーー！！

変態親父が真顔で娘に求婚するヘンテコ物語が始まっちまったよ、おい！！

王女（カトリーヌ・ドヌーヴ）は困り果て、リラの妖精に相談の上、王に無理難題を押し付け、結婚を諦めさせる作戦を決行。

お父様。私はドレスが欲しいんですの。
空の色のドレス。
月の色のドレス。
太陽の色のドレス。
無理でしょう？それならば結婚は諦めておくんなまし〜。

諦めない王。ことごとく、難しいお色のドレス作るの。

リラの妖精は何処となくモダンなお方。それぞれのお色のドレスも美しいし、目に映るもの全てがぶっ飛んだ抜群のおセンス。

青に塗られた従者や馬。
赤に塗られた従者や馬。
オウムや孔雀も登場。

動物に塗られた着色料は、安全なんだよね…。この時代だもの。不安になるわ。

娘との結婚を頑として諦めない父親のキモさ。遂に王女は「ロバの皮」を被って王国を脱出する。

そう、何処までもお逃げなさい。

中盤以降は独自のシンデレラ風の物語に。

最後、リラの妖精がヘリで登場した時にゃ、メガネ割れて目玉飛び出るかと思った。何処まで自由な世界観なのよ！何かと未来感を感じる妖精さんだったけど。

いやぁ。
色んな意味で凄い作品。

娘との結婚も真顔で言えばまかり通ると思っていそうな変態性に、おフランスの国民性を見た気がする。それでも、そんなキモさもアートで包むんだよね。この国はどこまでも。

• #2021akirunaway

2月24日はヌーヴェルヴァーグからハリウッド大作まで多岐に渡り、20世紀後半の名作に数々の素晴らしい旋律を吹き込んできた作曲家ミシェル・ルグランの85歳のお誕生日です。

フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、そして監督ジャック・ドゥミと共に「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」という名作を手掛けてきた彼ですが、
その三つ巴の才能が再び結集し、フランスの古典童話を換骨奪胎させた異色メルヘンファンタジー！

原作となる「ロバの皮」は元々「シンデレラ」や「眠れる森の美女」の作者でもあるシャルル・ぺローの作品であり、そのアプローチはまさに両方を兼ね備えたストーリーですが、
そこにドゥミならではの現代的な手法を取り入れたミスマッチさがこれまた良い味を出しています。

逆再生やスローモーション、ジャンプカット等の映像編集を多用し、
チープなセットの中に豪華な小道具などを配置させた愛らしさも魅力のひとつだし、
青、緑、赤、白など、舞台に応じて象徴された色彩が楽しめるもの実にドゥミらしい趣向。

「再婚相手は私以上の美女を…」なる王妃の遺言を頑なに守る陛下は、よりによって実の娘である王女に求婚を…。
父との結婚をなんとしても回避したい王女は、果たして本当の愛を見つけることができるのか！？
シンデレラと同様、国中の女性に指輪をはめさせるくだりはベタながら好きです。

ザ・名作ミュージカル！な「シェルブール～」&「ロシュフォール～」と比べると若干影に隠れた存在ではあるものの、
ルグランの仕事は相変わらず超一流。
作品と監督の意図を完全に理解しきった上で書き上げたスコアは、絶妙なほど物語の流れに棹を差してくれます。

シンデレラをいち早く実写化したような映画



ストーリー
王は、いまわの際の王妃の遺言で、王妃と同等の美貌と美徳を兼ね備えた女性としか結婚しないと誓った。王妃の死後、再婚して世継ぎをもうけるべきとの勧めを受けた王は、亡き王妃との約束を守るためには自身の娘である王女と結婚するしかないという結論に至るが…。


主演　カトリーヌ・ドヌーヴ
監督　ジャック・ドゥミ



シャルル・ペロー作の童話『ロバの皮』が原作。フランス国内の観客動員数は219万8576人で大ヒットを記録した。

不思議な世界。
これが大ヒットしたのも不思議。
フランス国民はよほど目が肥えているのだろう。
私的には今作ならシンデレラで良い。
物語の大半はシンデレラで知っているものばかり。序盤の突拍子もない王様の提案には度肝を抜かれるか至って平坦に物語は進行していく。
城に住む裕福な王女の物語より、恵まれない不遇の人生を囲む女性の物語の方が私は惹かれる。そのため今作はただ流動的に見て楽しむだけ。それ以上の何かは感じられなかった。
本物の城を使い、小道具や大道具はまるでディズニーランド。フランス人がやるからまだ見れる。その辺をわかってやってる辺りは憎いね。

今や大女優カトリーヌドヌーヴの美しさは色褪せない。