初めて観た成瀬作品。とても良かった。
この時代の作品で、女性が意思をきちんと伝えて、自分の力で生きていく強さを表すセリフが聞けることに驚いたし、女性の描き方が魅力的だった。
成瀬作品をもっと観たいと…
抑圧され、縛られて、自己のない大家族の中の嫁という成瀬の定番の設定が、後半に一気に弾ける。夫と家族への反抗から脱出、女の自立へ。日中戦争の時代に、女の自立を既に主題にしている成瀬。成瀬の描く女はいつ…
>>続きを読む夫の実家の家族に用事を次々に言いつけられる妻。肩揉み、お茶汲みなど、一つ一つの用事は小さくても、それが積み重なり彼女の精神を消耗させる。ここでの細かいカット割りで繋いでいくテンポ感も素晴らしい。
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ラストの「私もっともっと苦しむわ」という台詞がとても沁みた。この当時の女性の生きづらさは、何もこの時代に限ったことではないし、万人に響く部分があると思う。その部分は古びていないどころか新鮮でさえあっ…
>>続きを読む物語自体はいい。けど、最初に考えうる物語の域を映画が出ていない。成瀬はそこを飛び越えていく映画がたくさんあるから期待外れだった。
嫁ぎ直後の戸の開閉をいちいち見せて忙しさと苦労と金持ちであることを見…
入江たか子を中心に置いて、基本的に家の中でのショットとカメラワークで語られる映画なのだが、あまりにも上手すぎるショットと役者の動かし方に、特に後半は唖然とする。序盤、レコードで踊ったことが後半で繰り…
>>続きを読む1937年製作公開。脚本成瀬巳喜男、田中千禾夫。監督成瀬巳喜男。銀座の洋書店に勤める入江たか子。服部時計店の時計塔がチラリと見えて、彼女の勤務先はその近くの教文館だという。ここには幾たびも足を運んだ…
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