東京マダムと大阪夫人の作品情報・感想・評価

「東京マダムと大阪夫人」に投稿された感想・評価

mingo

mingoの感想・評価

3.8
学びのある1本。反対的な家電に要注目。世間知らずの生意気なお嬢さん北原三枝が恋の相手の本心を知り自分の想いを抑えて、好きな相手とライバルの幸せのためにひと働きするのが素晴らしい。なかなか出来ないよなあと思いつつ、最も人間的な成長を見せる。それは物語の中心にいる奥さんたちの自己顕示欲などへの批判でもある。芦川いづみの銀幕デビュー作。
@新文芸坐

芦川いづみ特集にて。これも久しぶりの鑑賞。やっぱり最高に面白い!やっぱり川島雄三はコメディでしょ!

ある東京の集合社宅が舞台。そこはアヒルヶ丘と呼ばれていて、大量のアヒルが飼われている。そのアヒルの鳴き声の煩さを、主婦たちの井戸端会議の様子と重ねる面白さ!
最新家電でマウントを取り合う主婦たちはわかるけど、この時代なんで電気洗濯機なのがスゴイ。
この頃から宇多丸が言うところのカット、シーンごとに「韻を踏む」つなぎがめちゃくちゃ上手い。特に芦川いづみと月丘夢路が駆け寄るシーンから、おっさんたちの抱擁に繋げるあたりはセンスの塊。

隣同士の東京マダムと大阪夫人のシンメトリーな小競り合い(後半夫も巻き込まれていく)も面白いし、高橋貞二を取り合う芦川いづみと北原三枝との恋の鞘当ても面白い。
風船の中で、シジュウカラはおしゃべりしないでしょ、と芦川いづみのシャイニング発言があったが、こっちのアヒルはとてもおしゃべり。そうよねえー、ねー?とマダム達と一緒に共鳴してたのしみました。
こないだ廣瀬純先生が2010年代の映画の話で、斜めにみる時代から正面からとらえる時代に…とウェスを引き合いに解説してたけど、奥さん同士のシンメお洗濯から旦那さん達の会社の並び席シーンの連続が八郎とやすこをはじめとする拗れた関係を整調する運びで爽やか。シェイクスピアみたい。
お嬢さんいいやつだった…あなた幸せになりなさいね。
nagashing

nagashingの感想・評価

3.5
月丘夢路と芦川いづみの麗し姉妹が駆け寄る→きこしめしたオヤジふたりの抱擁、というマッチカットに爆笑。社宅の井戸端会議の賑わいをアヒルに喩えたコメディで、主婦連のかまびすしさが臨界点を突破すると、アヒルたちがいっせいにガァガァ鳴き出すのが本当におもしろい。冷戦状態のマダムふたりのシンメトリーなシンクロ洗濯も最高。老舗の店に上がり込むことを反復する北原三枝の図太さと厚かましさが、失恋の影を経由することで、清々しさといじらしさに反転し泣く。
社宅で隣同士で暮らす月丘夢路と水原真知子はちょっとしたライバル。そこに水原の弟の高橋貞二が上京して…。

面白い。川島雄三にしてはくせの少ない内容で、万人受けしそう。
オーソドックスに撮影された場面もあるけれど、川島雄三監督の手法は大体完成している気もする。

特に、セットは大きくて素晴らしく、それぞれの特徴を生かした撮影をしている。北原三枝の家の応接間では、子供が部屋から出ていき、別の部屋(多分北原三枝の部屋。ガラス張りだったような気がする)のドアから戻ってくるまでをワンカットで撮影。
坂本武の家は中庭がオープンエアで、表が店、奥が家の部分。坂本武が店から家をのぞく場面がある。
高橋貞二の実家はすごく広い家で、ワンカットのカメラの横移動で、奥まで進んでいく場面がある。これらの家、数カットしか出てこないので、どこかの家を借りたのかな??

月丘夢路の家で芦川いづみと高橋貞二の縁談について話し、カットを割ると今度は水原眞知子の家で高橋貞二と北原三枝の縁談の話をしている場面も(後の作品で似たような場面あり)。

松竹映画なのに、俳優が日活映画みたいなのですごく不思議だった。

「芦川いづみ映画祭」
傑作。
「一生のうちには、人の気持ちなんか石ころみたいに無視しなきゃならないこともあるのよ」と月丘夢路が言ってました。
あと、冒頭の会社のシーンとかも地味にすごいと思う。
Jimmy09

Jimmy09の感想・評価

3.8
川島雄三監督による雰囲気楽しい娯楽作であり、タイトルの東京マダムと大阪夫人よりも、とても若々しい芦川いづみが清楚で美しい!…と思って観ていたら、この作品、芦川いづみのデビュー作であった。

東京郊外にある某会社の社宅は、似たような家が並び、「あひるヶ丘」と呼ばれている。オープニングにもアヒルが映る。この「あひるヶ丘」社宅でガーガーとやかましいのは社宅に住む奥様どうしという川島監督の描き方はユニークであり、ペチャクチャ喋る奥様たちとアヒルたちを交互に映す場面などは微笑ましい。

さて、映画タイトルにあるとおり、東京マダム(月丘夢路)…夫は三橋達也、大阪夫人(水原真知子)…夫は大坂志郎、の夫婦はお隣どうしであるが、大阪夫人が電気洗濯機を買ったので対抗心を燃やした東京マダムも電気洗濯機を買う。当時の電気洗濯機は高級品で近所の話題になる。「なにも、そんなことで競わなくても…」と観ていて思う(笑)
また、夫どうしは会社で机を並べる同僚である。

八郎という飛行機乗り(高橋貞二)が東京マダムの妹=康子(芦川いづみ)に秘かに恋心を抱いているのに、夫の出世のために会社の専務の娘を八郎と結婚させようとするなど、俗世間的な奥様方が暗躍する物語も気楽に観られる楽しさである。

この映画、1953年頃の東京風景はさほど映らないが、大阪ロケ場面では阪急百貨店や心斎橋などが映る。

川島雄三監督らしいチョットお洒落で楽しいドラマであった。

<映倫No.1122>
アノ

アノの感想・評価

3.6
面白い。特に高橋貞二との縁談が切られる後半からぐんと良くなる。
終盤のあひるの鳴き声をバックに罵り合う夫人二人から転勤の電話を受けてわっと去っていく繋ぎが軽快で良い。
垣根を境に洗濯するシーンを喧嘩と仲直りの2回やるが、二度目の微笑ましさが素晴らしい。

高橋貞二を軸に両隣の奥様の対決が主題だが、芦川いづみや北原三枝の二人も良く演出されている。
高橋貞二と縁が切れたと思った芦川いづみが祭りを一人で歩くシーンが良い。
振られてからキューピッドとして奔走する北原三枝も美味しい。
川島雄三の作品を初めて面白いと思えた。口うるさい噂好きの奥様集団をアヒルの群れに例えてしまうセンスの良さ!北原三枝がお嬢様役なのに、全然北原三枝に見えなかった笑笑。ちなみに芦川いづみのデビュー作。
あーや

あーやの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

可憐な可憐な芦川いづみに誰もが恋しちゃう!
川島雄三監督の「東京マダムと大阪夫人」は東京マダムを演じる月丘夢路の妹役で芦川いづみが出ています。実は本作は芦川いづみのデビュー作です。なのでまだどことなく演技がぎこちない。そこがまたあどけなくてかわいい♡
16mmフィルムなので音声が粗くなっていましたが、これもフィルム上映の味というもの。
芦川いづみは、高橋貞二が演じる庶民的なイケメンで変わり者の八郎に恋をする役なのですが、その恋する乙女のいじらしさったら・・・!♡
「八郎さんはきっとあなたに振り向くわ!」と月丘夢路に言われた時に「やぁ・・・っ」って顔を両手で伏せてくねっと照れるのですね。か、か、かわいい!!♡!!同じく高橋貞二に好意を持っていてガツガツ猛アピールする北原三枝と違い、とても控えめ。落ち込んだ時に伏し目がちにうつむく表情なんてたまらん・・・♡
ショートカットの北原三枝がまだ洗練されておらず、あまり綺麗ではないので尚更芦川いづみの可憐さが際立ちます。北原三枝は凛々しい男顔なのでショートカットよりもロングの方が似合いますね。
また本作は川島雄三監督お得意のコメディタッチもしっかり生きています!映画の舞台である社宅の「アヒルが丘」は確かにアヒルがガァガァ鳴き通しなのですが、負けず劣らず噂話が大好きな奥様達もおしゃべりし通し。アヒルのガァガァ声と奥様達のおしゃべり声が重なった演出が面白くて笑っちゃう。素晴らしい。川島雄三のこういう粋なコメディ演出は時代関係なく面白いですねー。
いやー、よく笑った笑った!♪
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