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「イノセンス」に投稿された感想・評価

さかな

さかなの感想・評価

4.2
ゴーストが信じられないような野郎にゃ狂気だの精神分裂だのって結構なものもありゃしねぇ。
人形型機械の暴走から始まる、バトー主軸の刑事ドラマ。

ゴースト視聴ありきの作品かな。
見てなくても分からなくないけど、面白さは半減しそう。
ゴーストより派手さはないが、事件をコツコツと追っていく刑事色が強かったので個人的にはコチラのが好きかも。

ただ、やたら引用やことわざが出てくるせいで小難しく思える部分もあったね。

やっぱり、バトーさんはポニテが似合う(笑)

このレビューはネタバレを含みます

ゴーストインザシェルともども中学生のときに録画を繰り返し見てたバイブルの作品。

あらためて見返すと、前作と比べると原作的シロマサ的部分は小さくなって、押井成分マシマシに感じる。あと、映画としてエンタメ性が一段強く感じて、見やすい!
セリフ中心の平場と物理・電脳アクションの山場のペース配分が良い塩梅だし、前作と違って物語のオチもワケワカンネー感が少ない。

何が好きってやっぱり全体の雰囲気とかそういうのだけど、押井の映画ってなんかそれっぽい語りがツラツラ出てくる。
真面目っぽい雰囲気の作品だとなおさらだけど、イヤに考察だなんだかんだ言い出すひと多い気がする。
けどそれはあくまで映画のテイストであって、知識だの何だのなんてなくても無問題。
押井の別の映画に「立喰師列伝」てあるけど、あれなんかまさに嘘っぱちをめちゃそれっぽく意味深に延々語るギャグっぽい映画で、だから自分は押井の"あの感じ"をタランティーノ映画の無駄話と同じように"そういうもの"だと思ってる。
そこの考察だなんだにカロリー使わない見方も良いはず。(まあ映画をBGVとして見るのもフツーな時代にわざわざ言うことでもないけど…。)
けど、楽しみ方としてあとで何言ってるのか調べたり考えたりするのも好きだし、そういう面白さがたくさん詰まった作品だと思う。

今見返すと描写が腑に落ちるというか、モトコが帰るときのラクラクライライさとか、ラストのガブリエル抱えたバトーさんと人形抱えたトグサ娘の鏡像対称さとかそういう発見があって楽しかった。
メカデザインは好き嫌い分かれるんだろうけど、モチーフに動物が使われてるのが暗喩的。

人間を挟んで動物と非生物(人形)もしくは神っていう、対照的な描写も至る所に散りばめられてるのも再発見できた。
人間と義体(トグサとバトー)、人間と動物(バトーと犬)、人間と神≒天使(バトーとモトコ)、鳥と犬(魚)とかとか。
バトーというキャラは、完全な人間からは非・人間よりなのを愛おしく扱われてる感じがある。
同じように犬も完全な非・人間より一歩人間よりにある愛おしさが滲み出てる感じがする。ガブリエルかわいい。
バトーと天使の関係性に考えがめぐってニヤニヤしちゃうよね。

無茶して「ロクス・ソルス」とか「未来のイヴ」読んでたアホの中学生の頃思い出すなあ。
ずっとバイブルの作品。
lente

lenteの感想・評価

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身体論に替えて5/9
押井守

この『イノセンス』(2004年)と前作にあたる『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)との隔たりには、9年という年月やその間の技術革新以上のものがあるように僕には思えますし、語り手である押井守の内的な声の変化によるもののように感じられます。それは1つのロマンの所在としてモチーフになっている「GHOST」(魂のようなもの)の行方とも密接に関わっている。

優れた作品や優れた語り手の大きな特徴として挙げられるのは、作品の内側の声と作品の外側の声とが混同されることなく語られたのち、しかし内側の声はやがて外側の声と響きあいながら再び内側へと浸透していく経路を描くという観方を僕はしているのですが(詳しくは『ニュー・シネマ・パラダイス』でレビューしたとおりです)、本作に見られるのはその並行性のようなものでした。

身体論の一環として語られた『GHOST IN THE SHELL』に対して、本作で語られたのは「生物と無生物の境界」というものです。これは学問的にはたいへん重要なテーマではあるでしょうけれど、物語としてのテーマとしてはほとんど無効と言って良いものだろうと思います。なぜならその境界を模索してみたところで「生物側」である僕たちに強く働きかける要素など何も出てこないからです。そのため登場人物たちがときに感傷的に、あるいは思索的にこのテーマについて言及するシーンに接しても僕たちの心は何一つ動かない。

ただ1つだけ経路があるとするなら、無生物だと思っていたものが生物として機能しているという描き方だけだろうと思います。『GHOST IN THE SHELL』ではプロジェクト2501(通称:人形使い)という広大なネットの海の中から自然発生した知能によってその経路を描いていましたが、本作ではラストで明かされるロクス・ ソルス社による「ゴーストダビング」の描写によってこの経路は遮断されることになります。

そのことによって作品の内側で語られた無生物に対する生物側の動揺と、作品の外側で語られた無生物によって照らし返されることになる生物の無根拠さとが、往復関係をもたないままに平行線をたどることになった。本作に使用された当時の最新テクノロジーが今となってはそれほど大きな感動に結びつかず、むしろ1995年に公開された比較的古いテクノロジーによる『GHOST IN THE SHELL』のほうが感動的な理由はそこにあるはずです。

このことは映画監督としての押井守自身の「GHOST」が、どこか見失われてしまっているような印象をもたらします。情熱は確かにある。けれど魂がロマンという根拠を見失っている。劇中であふれるように用いられる箴言の数々もまたこのことを端的に物語っているようです。意味ありげに用いられるこれらの言葉にはほとんど意味も力もない(またこのことは知識と教養の見分けがつかない人間にはたぶん分からないはずです)。

しかしながらこうしたロマン(GHOST)の喪失の仕方が、僕にはたいへん面白く感じられます。それは飽きたり膿(う)んだりした結果ではおそらくなく、押井守が抱えるロマンの必然として見失われたように思えてなりません(そしてまたこのことも、ロマンというものが何であるかを理解できない人間にはたぶん分からないだろうと思います)。
2877

2877の感想・評価

3.5
箴言で埋め尽くされてる。字幕がないと何言ってるか理解できなかった


人形になりたくない人間もいれば、人間になりたくない人形もいるのかな

エトロフ経済特区のメイン通りのキラキラ感と裏通りの寂れた感じの差がスゴイ
キムの館のループする悪夢
湯浅

湯浅の感想・評価

4.5
「人間はなぜこうまでして自分の似姿を作りたがるのかしらね」
ハラウェイ検屍官の言葉がたいへん印象深かった。
人形と人間との間に投げられた問いではあるが、同様に神を人工的なものと考えれば、それらとの間にも投げられた問いだったのかもしれない。

愛を理解(「おおむね願望に基づく」)できないサイボーグであるバトーと、非サイボーグの所帯持ちであるトグサとの対比がありありと描かれている。
立場の不利を鑑みず犬を飼うことはバトーにとって、愛を知りたいという胸の内の現れであったように思える。さらにいえば、わざわざあの奥まった小売店でしか買えない(近場ではそこにしか売っていないようだった)ドッグフードが必要な犬を飼っていることからするに、「交配に人工授精を使った最初の犬種」という点にシンパシーを感じたのだろうと察する。

本作の難解な点として、プラトンや世阿弥、ロシュフコーなど歴史的賢人らの文章が非常に多く引用されていることが主として挙げられる。
この点はたしかに実験的な側面を少なからずもっており、(またそこから漂う”あからさま感”もあって、)容易には受け入れ難い。しかし、だからといって「つまらない」「普通に話せ」とのたまうのは些か軽薄ではなかろうか。
自分の尺度で物事をはかり、押し付け、果ては「感想は人それぞれ」といって相対主義の濫用。こういった輩は無闇やたらに規制を増やし、芸術やエンターテイメントの可能性を、己の浅はかな”正義感”で狭める過剰なクレーマーと全くの同類であるということに気づいてほしい。
アニメーション、映画作品の登場人物は必ず”普通に”話さなければならないのか。鑑賞者に分かりやすいような作品づくりを心がけるべきなのか。それでは作品でも何でもなく、単なる商品だろう。資本主義の世の中なんだからと言ってしまえばそれまでだが、分かりやすい諸物が蔓延るその世の中で本作のような作品の存在は刺激的で面白いと私は思う。もう少し、分かりにくさに対して寛容になってほしい。「分かりやすい」で失われるものも多分にある。

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改めて本作の難解な点に言及するとすれば、会話中の引用の多さは本作が扱うSF世界に由来しているのかもしれない。この世界の人間(全てではないかもしれないが)は、脳内で膨大な情報にアクセスできるため、引用でのコミュニケーションさえ円滑に行うことができる。そういった特異な面を強調したかったのだろうか。あるいは単に俗っぽさからの脱却を図ったか。

読み苦しい私感の数々を述べ連ねたが、前作として扱われる『Ghost in the shell』同様、映像面・音楽面・脚本面全てにおいてみごたえのある作品だと感じた。
現実の認識が不完全だから、現実も不完全だよね、のくだり。
そうだよね。でもそうだと思わずに生きていきたいよ。と思う
攻殻機動隊の世界観がより深くなってる。
かっこいいなー、大人の映画やな。
だんだんこわい
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