⚪概要とあらすじ
旧ソ連の貧しい村に住む3人の孤児の少年が、豊かな暮らしを求めて国境越えの旅に出る人間ドラマ。

ポーランドと旧ソ連の国境沿いに位置する貧しい村、身寄りもなく鉄道の駅舎で寝泊りしている3人の幼い少年たちは、物乞いや盗みをしながら日々を過ごしていた。外国に行けば豊かな暮らしができると夢見て、彼らは国境を越える冒険の旅に出る。道中出会った人々に支えられ、さまざまな試練を乗り越えた少年たちは、ようやくポーランドの町にたどり着くが...。

⚪セリフとか
「神様 国境を 越えられますように...」

⚪感想
神様はいないと思うほど残酷。ロシアは今でもこうした児童問題があったりするのかな?

主人公の3人の過去は分からないけど、両親もおらず、駅舎で寝泊まりしてる現状に胸が痛い。

幼い子供が誰かか捨てたタバコを吸っていたりお酒を飲んでいるシーンにシーンに衝撃を受けた。それがダメとは教えてくれる人はいないし、大人の真似をしたい年頃なのか。

ロシアから国境を越えてポーランドに来てやっとの事でたどり着いたのにちょっとした行動で運命が変わってしまって残酷すぎる。

3人の中で1番幼いペチャの天真爛漫な姿が可愛かった。たまに駄々をこねたりわがままを言ったり。幼い部分もあってテディベアを親のように大切にしてたのが印象に残った。犬が飼える家庭だったら良かったのに。
人を惹き付けてしまう可愛い仕草と表情、セリフが良かった。

ペチャのお兄ちゃんは冷たい態度をとることもあるけれどペチャを大切に思っていてちょっと心があったまった。

もう1人の1番年長の子はペチャのことを足でまといで迷惑なやつと思っているようで意外と弟のような家族として見ていたような。

子供たちの表情や演技がナチュラルで嫌な感じがなかった。あの年代の子にタバコを吸わせたりするのはOKなのかな?

結婚式の1団と彼らが会って騒ぐシーンが凄く好き。

パンを持った赤い服の少女は何を表しているんだろうか。

どこか切なくなる映画だった。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。

• #GyaO!2019

いまの場所じゃないどこかへ。
国境を越えれば何かが変わるかもしれない、
美味しいご飯にありつけられるかもしれないし、運良ければパパやママが出来るかもしれない。そんな希望を胸にロシアからポーランドを目指すストリートチルドレン3人組。
観ているこっちがドギマギしてしまうほどの可愛い悪ガキ達。
もちろん盗みはするし、タバコも酒も大好きで、過酷な状況ではあるのだけど、全くそれを感じさせない子供達の無邪気さで画面を賑やかにしてくれる。
特にすきっ歯ペチャの可愛さが反則すぎて、多分この物語に出会った大人全てがペチャを引き取りたくなってしまうと思う。
ロードムービーということで、展開は驚くほどゆっくり。
監督はペチャの存在に頼りすぎた事は否めないですが、まぁ仕方ないのか・・・
彼らが旅する自然の情景はとても美しくて、その彼らの頭上に広がる空が彼らの唯一の希望になっているのだろうと思うと、私が何も考えずに見上げる空よりも、彼らにとっての空はよっぽど崇高なのだなと思い、少し恥ずかしくなった。

ポーランドと旧ソ連の国境沿いに位置する村で身寄りもなく、鉄道の駅舎で寝泊まりしている6歳のペチャ、兄のヴァーシャ、友達の11歳のリッパ。物乞いや盗みをして暮らしてる。外国に行けばよい暮らしができると考え、国境を越える冒険の旅に出る。

全編通して、きらびやかなオレンジの光に包まれ、黄金色の幻想的な風景に溶け込む三人の無邪気な屈託のない笑顔が印象的である。特に弟のペチャの純粋無垢な兄の後ろをくっついていく姿が、無条件に健気で可愛く、抱きしめなくなる。ペチャは中でも一番子供で状況を全く理解出来るわけもない。二人はなんとかペチャを置いていきたいと思うのだが、兄は一人ぼっちにすること出来ず、どこまでも付いてくる。自分勝手なペチャだけど、彼には彼の役目があって、三人の中でちゃんと役割を果たし、チームに貢献してるのだ。

国境越えをするシークエンスは音を排除し、真っ暗の中、少年たちはつちかった経験を最大限に生かして、奮闘する。緊迫感があり、もくもくと不気味に広がる雲と少年たちを交差させる映像が印象的だ。無知な子供達が夢見て綴る冒険物語、そこを越えれば何かが変わると思った。どこまでもみずみずしく、希望に満ちてる子供達の心情に寄り添う音楽と広大や自然の中、歩いてはしゃいで笑う、ただ笑い合う彼らの小さな幸せをなんとか守りたいと感情移入して、応援したくなるのは言うまでもない。

あの頃信じた大きな空の向こう側、どこまでも行っても空は同じだと、自分自身で結論づけたペチャだが、その意味も、未来も彼らにはまだ到底理解出来るわけもない。しかしリッパには俺たちの空に見えた。ここから自由になれると信じた。国境を越えてからの幻想的な黄金色の自然の中きらびやかな光が降り注ぎ、この時が永遠で、時間が止まればよいのにと願う。

警察での一コマもペチャの可愛さとイノセントな願いがあまりにも切なく、大人をかき乱していく。なんとかしてやりたい気持ちはあるが、どうしようもできない警察の額に流れる膨大な汗が彼の心の葛藤を物語ってる。そこに意味深に現地の「パンを持った少女」が交差するのだ。まるで同じ守られるべき子供なのに、その違いを問うように。大人の身勝手さ社会問題をしっかり浮き彫りにし、彼らが笑顔であればあるほど、痛切な現実が鳴り響くのだ。

しかし彼らは自分たちが不幸だなんて思ってない。三人で居るその日々は、どこまでも笑顔に満ち足りていて、その時間が永遠に思える。

彼らは幸せを知らない。果たしてそうなのか？守られる温もりを全く知らない彼らには、その心地よさを知る余地もない。よって幸せが何なのか？なんてわかるすべがないのだ。ただそれでも本能的に親を求めてしまう。その温もりを求めてしまう。その不在に泣けど、彼らはどこまでも強く明るい。それは自分たちで日々を切り盛りしてきたからだ。彼らの国境越えは少なくとも誰かの希望となり、ぬくぬく暮らす私たちの背中までも押してくれる。同じ空なんてないんだと。頑張った分空は大きく広がり色を変えるのだと。