ファイアー・ドラゴンの作品情報・感想・評価

「ファイアー・ドラゴン」に投稿された感想・評価

ストーリーはシンプルだが、特筆に値するのはブランドン自身のキャラクターの徹底した説明の無さである。

昼は解体業、夜は水商売のウエイターをやっていて、とてもケンカをするようなキャラではない。もっと言えばカンフーなんて出来そうにも見えないのだが、腕に覚えありみたいなキャラクターを簡単に叩きのめしてしまうし、様々な銃も簡単に扱う全身コマンドー男として登場する。ここまで来れば、前に軍隊にいただとか、特殊部隊に所属してたなんてことが出て来てもいいと思うが、なぜ彼がここまで強いのか、まったく説明が無い。

ジャッキー映画でも、道場の息子で幼い頃にカンフーを習ってたり、刑事だったりして、格闘技に精通しているという説明があったりする。『レッド・ブロンクス』でも「カンフーはまだやってるのか?」なんていうセリフがあるくらいだ。ブルース・リーもしかりである。

ところが『ファイアー・ドラゴン』では「ブルース・リーの息子なんだから分かってるでしょ」と言わんばかりに、まったく説明がない状態でカンフーさせてしまう。しかもかなり強く、本人も自信満々に敵の相手をする。ブルース・リーの息子だからという、ある種のスター映画だから許される演出だが、あまりに強いので何をやってたのか逆に気になってしまった。リーファンにとっては感涙なヤン・スエとの格闘シーンもあるが、あのヤン・スエをブランドンは数発でぶっ倒してしまうほどの強さなのだ。

しかし、この作品の最大の欠点はそのいちばん観たいであろうカンフーアクションがほぼないことであった……


ちなみに監督のロニー・ユーはその後『フレディVSジェイソン』という大傑作を撮ることになるが、それはまた別の話。
あのブルース・リーの息子であるブランドン・リー主演映画第一作!
哀しいことに28歳という若さでこの世を去ったブランドン・リーの雄姿が拝める香港アクションで、監督が何と大傑作「フレディVSジェイソン」を撮ったロニー・ユーだったりします。
原題は全然違いますが、さすがブルース・リーの息子ってことでドラゴンを受け継ぐ格好いい邦題!
でも、中身はそこまでドラゴンしていない・・・というか、どちらかと言うとシュワちゃんの「コマンドー」みたいな映画。
キレの良いマーシャルアーツも披露してくれていますが、ほとんど肉弾戦が無くて、かわりに銃火器を撃ちまくっております。

バイトをかけもちして、恋人との結婚を夢見る好青年ブランドンでしたが、友達だと信じていたマフィアのボンクラ息子であるマイケル・ウォンに利用されて投獄されてしまいます。
マイケルが恋人(なんとなく石野陽子に似ていて好みでした)をも狙っていると知ったブランドンは、いてもたってもいられず脱走しようとしますが、その身を案じる教官や収監仲間のメガネくんに諭され、なんとか8年の刑期を終えて出所、先に出ていたメガネくんにガソリンスタンドの仕事をもらって真面目に働きだします。
そのスタンドへ偶然にもフェラーリをころがしたマイケルが来店、険悪なムードに。
マイケルは、ブランドンが無茶やらかさないかと部下に見張らせます。
そんな折、マイケルの手を逃れるために、親切で若い娘好きのジジィに助けてもらってブラジルへ渡っていた恋人がブランドンを訪ねてきます。
彼女が香港に戻ったことを知ったマイケルは、実はブランドンの息子である子供ともども誘拐、怒り狂ったブランドンはメガネくんの協力によって銃火器をドッサリと用意してマイケルの邸宅へ向かいます。
馬鹿正直に真正面から特攻するブランドン&メガネくん!
それを迎え撃つマイケルの部下たち!
車が派手に爆発したりする壮絶なカーチェイスが、田舎道で繰り広げられます。
映画の前半では、拳銃撃つのにも腰がはいってなかったブランドンだったのに、このクライマックスではスパスショットガンやサブマシンガンをガンガンに撃ちまくり!
これはもう、もろに「コマンドー」みたい!
たぶん、30人ぐらいは撃ち殺してますよ!

何故かメガネくんまでもが両手二丁のイングラムを横っ飛びしながら掃射、ブランドンを健気にもカヴァーします。
どうしてそこまでメガネくんがしてくれるのか、劇中ではブランドンとメガネくんのエピソードが明らかに不足気味なのでさっぱりわからんのですが、もしかしてメガネくんってばブランドンに惚れていたのかなあ!?
・・・・・ホモ?(苦笑)
とにかく、主役であるはずのブランドンよりも目立っていたメガネくんが負傷!
ここでようやくブランドンが完全なる主役となり、マーシャルアーツでマイケルの腹心を撃破、マイケルの部屋へ突入するブランドン!
はたして、彼は恋人と子供を救い、マイケルを地獄へご案内できるのか・・・?

いやはや、超地味なルックスのメガネくんがあそこまで活躍するとは思わなんだで、そこに一番ビックリ。
ブランドンはステゴロの喧嘩は強いけれど、それでも何であんなにものすごい戦闘力があるのかな?
あれならいつでもシールズとかSASとか入隊できそうだけど。
マフィアのくせにマイケルの部下たちが弱すぎるのか、それともブランドンとメガネくんのコンビが最強補正かかりまくりの無敵モードだったのか?
ひとつのマガジンの装弾数もチート気味だしね(苦笑)

しかし、なんなのでしょう、この劣化した「コマンドー」ぶりは・・・!
やっぱりブルース・リーの血を受け継ぐ男の、身ひとつでのアクションをもっと魅せてほしかったと思います。
素養はビンビンに感じられますけどね。
パンチも蹴りも速いし、何より相手を指さして制止させるキメポーズが、ブルース遺伝子を感じさせます!
やはり親父さんに、「考えるな、感じろ」と訓えられたのでしょうか!?

とことん酷い目に合う主人公が最後にはキレて大虐殺ぶちかますという、聞いただけだと何となくジョン・ウーの映画みたいですがあれほど渋みがあるわけじゃないので、「ブルース・リーの息子ってどんなよ?」ってぐらいの感じで鑑賞したほうがよろしいかと存じます。
まあ、ルックスは東洋と西洋がうまい配分で混じり合っていてイケメンですし♪
ブランドン・リーが残した作品はブルース・リー同様、けっして多いとは言えませんが、いたって平凡なアクションドラマでしかない本作もブランドン・リーが主演というだけでハクが付くぐらいなので、まだまだ生きてカンフーヒーローを演じ続けて欲しかったなあ・・・と、しみじみ思いました。


huluにて