蜂の旅人の作品情報・感想・評価

「蜂の旅人」に投稿された感想・評価

goodbye

goodbyeの感想・評価

3.9
ここではないどこかへの旅は、朝日を浴びて美しく始まるが、それを続けることはどこにも居場所がないことでもあり、徐々に主人公が自己を見失っていくようであった。
老人は朽ち、少女は飛び立ってゆく。
あ

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3.9
終わり方とか旧友に会うところは好き
後半の展開、描きたいテーマは理解できるし、人間だから、、、と思いつつも飢えたおじさんに見えてキツかった
霧、砂埃、煙草の煙、照明の靄と連鎖していく「煙の主題」が、蜂の大群として結実するラストシーン。死を前にした老人の傷は、何物によっても癒されることがない。彼にできるのは、自分が失った自由を他者に与えることだけだ。
ENDO

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4.0
初老の男が、家族や職を捨て、祖父や父がやっていた養蜂家になる。逃避がそこには含まれる。メランコリー。

そこに自由に生きようとする性的にも奔放な少女があらわれる。しかし彼女も逃避家なのだ。

2人はいつしかお互いを求め合うようになる。

手の演出。反乱軍時代のコミュニケーションとしてモールス信号のようにテーブルを叩く。マストロヤンニの手を血が出るほどに噛む女。そこに長回しで徐々に寄っていくカメラ。間際の手の痙攣とも思える動き。

主人公はイタリアを代表する俳優マルチェロ・マストロヤンニ。
アントニオーニの『夜』はテオに影響を与えた一本で、彼はそれに主演していたからだ。企画のきっかけはスウェーデンの小説家ラルス・グスタソンの『養蜂家の死』。

ギリシャの政治は常に、イギリスやアメリカの影響を受け、混乱を招き、国民を抑圧してきたが、独裁制があったときは、世界を変えられる希望があったらしいが、政府の崩壊とともに、希望も霧散してしまったという矛盾が映画に満ち溢れている。
菩薩

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4.2
きっと後三十年、いや二十年後に観ていたら号泣していたような気がする。老境に差し掛かり、親としての責任も全て果たし、ふと人生の無意味さを知り、職を辞し家庭を捨て蜂と共に旅に出る口ひげを蓄えたマストロヤンニ(以後、口ひげヤン兄と呼称)。過去を生きる口ひげヤン兄と、そんな彼につきまとうこれからの未来を生きる少女、本来交わるはずのない二人が出会う事で描かれる、繰り返される諸行無常、蘇る性的衝動。要するに働き蜂である口ひげヤン兄と、女王蜂である少女の物語で、働けど働けど、集めた蜜は搾取され続ける人生、その羽ばたきを何かに捧げ続けた人生、それも全てが終わった時に、幸せってなんだっけを過去に見つけに行く話、男と女、独裁制と共和制の話、だとするととてもシンプルで鑑賞しやすい作品だと思う。愛と老い、響は近いが非なるもの、禁欲的な前半から衝動的な後半への飛躍、そして突き抜けすぎた終末が心を揺さぶる。蜜を吸うかの如く口ひげヤン兄の掌からその血を吸う女王蜂、寂れた映画館のスクリーンの前で繰り広げられる情熱的な交わり、未来を羽ばたかせる為に消費される過去。まさに本人の言葉を借りればメランコリックを濃縮したローヤルゼリーみたいな作品、途中真冬の海に全裸で飛び込む旧友(当然ジジィ)が最高すぎるし、なんせこの少女が猛烈に可愛い、後最初に出てくる花嫁役の人も。寡黙と孤独、ヤン兄の佇まいはそれだけで芸術的、渋い。
ロラン

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3.5
アンゲロプロス的なロードムービーだけど、彼の中では微妙な一作。映画館の場面で、スクリーンの前に少女が横たわるショットは記憶にある。
屋台トラックを画面いっぱいに撮し、真ん中で退屈そうに音楽を聴く女の子へ徐々にズームしていき、最終的には手のクロースアップへ。
という一連のシーン、画面の変化が一番良い場面だった。

マストロヤンニが世話する蜂の巣箱が所狭しと並べられているのは墓石のようにも見えるし、立ち並ぶ家々のようにも見える。

ラストシーンは期待通りというか、ある意味お約束なのでワロタ。
製作された1986年のギリシャは、150年続いた王政に幕を閉じ、軍国独裁政権の時代も乗り越えて、今の共和制で落ち着いた頃。
それまでのモヤモヤを晴らす勢いで高度経済成長期を迎えた。そこから来る豊かさなのか、別人の映画のように明るい。国の情勢に敏感に反応してきたアンゲロプロスらしい、と言えばらしい。

何よりマルチェロ・マストロヤンニというスターを起用している時点で感激する。
これまでの2作品で“有名俳優ナシ・予備知識必須・そもそも難解・そして長い”という苦行(あ、言っちゃった)を強いられたわけだが、こういうアイコン的存在が一つあるだけで、一気に映画は見やすくなる。

...愛娘に結婚された初老の男性が一人旅に出て、家出少女を拾ったり、旧友に会いに行ったりするお話です。

マストロヤンニと言えば「甘い生活」や「8 1/2」「女の都」から来るセックスシンボル的存在のイメージが強いが、晩年は「ジンジャーとフレッド」のような男の“情けない”面も演じて魅せた。

ただカッコイイだけではない、かつての色男・マストロヤンニにぴったりの役柄だった。
しかし監督は長回しの鬼。俳優のスター性に流されることなどない。

終盤のラブシーンで、とうとう画が吠えた。
sunflower

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3.8
テオ・アンゲロプロス監督作品に戻ってまいりました。

「こうのとり、立ちすさんで」に続いて、マルチェロ・マストロヤンニが出演。

前半、彼の尋常でない渋さが光ります。かっこいい。

後半、彼の潜んでいた欲望(隠していたというわけではなく、無意識下に潜っていた欲望)がふいに顔を出します。

個人的には前半の方が好きですが、前半の彼は言わば虚構で、後半の彼の方が、人間らしいということなのでしょうか。

エンディングは、例によってシュールです。
spica

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3.0
マストロヤンニそっくりのギリシャの俳優さんだなあとしばらく見ていて、あ、これは本人だわと気づき、ネットで確認。あまり有名なスターはキャスティングされないとばかり思っていた。

アンゲロプロス監督の映画はいいなあと何本か見ているのだが、これはあんまり好きではなかった。初老の男性の願望、欲望丸出しな感じで。少女との関係において。

マストロヤンニはそうしようと思えば、立ったり、歩いたりするだけでもカッコよすぎる。
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