蜂蜜の作品情報・感想・評価

「蜂蜜」に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 冒頭、森の中に据え置かれたカメラがラクダと共に森に入る一人の男性を映す。男はある木にあたりをつけ、ロープを地上からかなりの高さの枝に巻きつけ、ゆっくりと木を登るが、残酷にも木の枝はミシミシと音を立て落下する一瞬前を木の上から据える。この不穏なショットで始まる物語は、カプランオールの『ユスフ三部作』のフィナーレのファースト・シーンである。このあっけない事故による死がユスフの家族の運命を変え、人生さえも変えてしまう。大人期を綴った『卵』と思春期を綴った『ミルク』を経て、遂に映画はユスフの少年期の物語へと退行する。幼いユスフ(ボラ・アルタシュ)は、手つかずの森林に囲まれた人里離れた山岳に両親と共に住んでいる。養蜂家の父、ヤクプ(エクダル・ベシクチオール)は、森深くにある高い木のてっぺんに仕掛けた特製の巣箱で黒蜂蜜の養蜂を行って生計を立てていた。ユスフにとって、森は神秘に満ちたおとぎの国で、父と森で過ごす時間が大好きだった。木漏れ日の眩しさで、目を伏せたくなるくらい高いところで仕事をしている父を、ユスフは憧憬にも似た眼差しで見つめる。

 ユスフ少年にとって父親というのは最も偉大な人物であり、尊敬すべき人物としてそこにいる。『ミルク』でも明らかだったが、ユスフは幼い頃から母親よりも父親の方が好きだったのだ。父親の仕事についていき、その働きぶりを始終眺め、食卓でも父親とアイコンタクトで会話する。その際母親の姿はどういうわけかユスフの目には入らない。幼少期からユスフ特有の感情がしっかりと芽生えていることに驚く。学校では友達に馴染めず、極度のアガリ症で吃音という病を発症し、学校に居場所がない。彼は文章の意味も発音もしっかり頭に入っているが、どういうわけか皆の前で言葉を発することが出来ない。それが父親の前では不思議とスラスラと物事を話すことが出来る。ユスフにとって父親とはこの世の中で唯一気兼ねなく話せる人間であり、彼の成長には必要不可欠な存在として描かれている。

クライマックスの祭りと大黒柱を失ったヤクプ家の対比がまた素晴らしい。祭りの喧騒と大人数の中を母親は必死にヤクプの姿を探そうとするがどこにも彼の姿はない。伏線に張られたよくできましたバッジの存在が真に慟哭する瞬間を否応なしに提示する。ヤクプの死により、ユスフ少年は言葉を取り戻すあまりにも霊的な名場面である。無邪気に躍動する幼年期の身体は、言いようもない悲しみの瞬間を目撃する。
ユスフ三部作の第3作。
3作の中では一番見やすかったが、面白さはなかった。
ユスフ三部作を通して繋がりがあまりわからないし、楽しめなかった。
あきら

あきらの感想・評価

4.7
1人の詩人の人生を描いた三部作の幼少期編。

本当に静かな映画。
クロ

クロの感想・評価

3.5
ミルクがあまりよくわからなかったのだけど、多分これは時系列順に観た方がよかった気がするなあ。
もう一回観ようかなあ。
ユスフの住んでる家は昼間でも薄暗くておばぁちゃん家と似ていた。陰翳とともに暮らしてる、陰翳や森の中に潜む気配とともにユスフの未分化な心と沈黙はあると思う。ユスフも歳とともに言葉を覚えてあの吃りは治っていくのだろうけど耳をすませば聞こえてたものが聞こえなくなるかもしれないし、そういうものに興味がなくなっていくのかもしれない。

音楽が一切使われていないってレビューいくつか読んだんですけど、音楽がね、ほんのちょっとだけ使ってるんですよ、ほとんど環境音と聞き分けのつかない音なんですけどあのシーンだけ音楽が使ってある。
「卵」「ミルク」とともにユスフ3部作のうちの1作品。

森の中で父親からいろんな事を学ぶユスフは父親が大好き。父親も幼いユスフを温かく見守る。ユスフには気がかりな症状があり小学校での音読に苦戦するが、唯一小声で問題なく話せるのが父親だった。養蜂を生業とする父親は蜜蜂の激減により新たな巣箱の置き場所を探すため家を出るが...。「夢を人に聞かれちゃダメだ」という父親と軽々しく見た夢の話をする母親の対比が印象的でラストに繋がっているように感じた。

幕開けから“難解作品”ムードが漂い静けさで瞼が閉じてしまう危険性があったが、難解レベルは低くノスタルジックな映像での未知の生活圏に魅せられ眠くなるどころではなかった。布モノが可愛かったり女性のスカーフが色鮮やかなところは「馬を放つ」を想起させた。映像に堪能。
otom

otomの感想・評価

4.0
ユスフ3部作『蜂蜜』。3本ともオープニングが凝っている訳であるが、『蜂蜜』が内容含めて一番面白かった。美しい。
トルコ映画・ユスフ三部作の最後の作品。

いつも見終わってから作品をリサーチするもので、これが三部作ラストとは知らずに見てしまいました。
しかし物語の時系列的には、この作品が最初のようだったのである意味助かったのかな?

音楽も使われずに、物静かに淡々と進んでいく物語は、神秘的ともいえる神々しさに包み込まれそうになる。
台詞も少なく、眠くなりそうかと思えばそうでもなく、映像で語るかのような描写は是非見逃してほしくない。

この感覚を忘れないうちに、早く続きを見たいと思います。
柊

柊の感想・評価

2.1
何かポスターやチラシにひかれて観たけど、あんまり印象に残るところがなかった。
Tyga

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4.1
三部作最後の一本。

ユスフの子ども時代と思ってたけど、どうもユスフは1人ではないらしく、それぞれ非常に緩いつながりで三部作になっているみたい。

このユスフは深い森の中で両親と動物たちに囲まれて暮らす吃音の男の子。

そして、この監督は映像で語るのが超上手い。ユスフがバケツの水に映る月を掬い上げようとするシーンなんて美しさしかない。

ユスフがきっと1番後悔しているのは、お母さんが夢の話を始めたときに、誰にも聴こえないように喋って、と言えなかったことなんじゃないか。

三部作をまとめると
「蜂蜜」が父について
「ミルク」は母について
「卵」が家族やその不在について
だと感じた。
てか、これどこから観てもいい気がする。
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