「卵」に投稿された感想・評価

Ricola

Ricolaの感想・評価

3.7
母の死をきっかけにイスタンブールから故郷へ戻ってきた詩人の男。
彼は母の遺言をもとに旅に出る…。


三部作で、主人公の男の人生を遡っていく物語だという。
こちらはその一作目で、謎の多いさくひだった。
しかしその謎というのは、三部作を通して観ると伏線であるのだろう。

誕生の起源とも言える卵が割れたり、羊を生贄にするなど、生と死が繰り返される。

他にも、日常のあまり注目しない瞬間を切り取ったショットの美しさに息を呑む。
ただ人が2人隣り合わせで座っているだけでも、背景の色合いと相まって美しい。
それも飾り立てることなく、そのまま表現される。

主人公の何気ない優しさに心を掴まれた。
道中でジャムなどの食料を無料でもらったおばあさんたちに、そっと現金を置いているところなど。

鮮やかな色使いと絵の具を薄めたような淡い色使いのメリハリも効いている。


彼らの旅が終わったと同時に、観客の旅は始まるというのが面白い。
natsuco

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2.6
母が亡くなってからなのか、もともとなのか覇気のない生活。度々出てくるミルクベースじゃないチャイが気になる。
サーデッド・アクソイが美しい。
トルコのセミフ・カプランオール監督による【ユスフ三部作】1作目です。

映画としては『卵』→『ミルク』→『蜂蜜』の順番です。
覚え方としては、採取が楽な順です。

卵はそこにあるのを拾えばいい。
ミルクは絞らなきゃいけない。
蜂蜜はだいぶ危険を犯さなければならない。

時系列的には『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順になります。
それぞれ少年ユスフ→青年ユスフ→おじさんユスフです。

映画の順番だとどんどん若返っていくわけです。


*****

この映画の主役ユスフはおじさん。独身。
イスタンブールで古書店をやってますが、そんなにやる気はない。

何に対してもやる気がない。
電話がかかってきても留守電になるまで取らないのが普通だし、
留守電聞いてから必要があれば掛け直す男。

人との距離がだいぶ遠い。
でも、人当たりは良い。失礼な態度を取ることはないし、十分優しい心を持っている。

でも、やはり人に心を見せないし、人の心に入っていこうなどということはしない。


*****


なぜおじさんユスフはこういう男になったのか、
を時系列的にさかのぼりながら見ていくのがこのユスフ3部作ですね。


ですけど、
『卵』を一本目として見るのって本当に難しいことだと思うんです。。

ユスフはほとんど喋んないし、
母が死んだとこからスタートするし、
ユスフのことも全然わかんないのに
謎の親戚美女が出てくるし
突然、てんかんでぶっ倒れたりするし、
意味不明だと思うんです。。


*****


僕は『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順で見たので
あの可愛い可愛いユスフが『蜂蜜』で起きた事件を背負って
『ミルク』の思春期を過ごして
『卵』でのこんなおじさんユスフになっちゃった。。という流れで見れたので見やすかったです。

監督の意向とは違うのは重々承知なのですが。。


*****


フィルマガ連載記事です。よろしければお読みください!

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今年は「日本におけるトルコ年」!日本と深いつながりのあるトルコの文化と映画を紹介 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2703
ヘルパー

男は心に何らかの傷を受けておりますが、それはまた別のお話。
netfilms

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3.9
 カプランオールの自伝的物語を描写した三部作は青年期から思春期へ、思春期から幼年期へと徐々に時間が退行していく不思議な物語である。イスタンブールで暮らす詩人のユスフは、母親の死の知らせを受け、何年も帰っていなかった故郷に帰る。古びた家に帰るとアイラという美しい少女が彼を待っていた。ユスフは、5年間、母の面倒を見てくれていたというアイラの存在を知らず、アイラは母の遺言をユスフに告げる。遺言を聞いたユスフは遺言を実行する為に旅に出る。失われていた記憶が甦ってくる。それは、ユスフ自身のルーツを辿る旅となった……。ユスフと母親とのギクシャクした関係の理由が今作ではまったく描かれない。牛乳屋として仕事に励みながら、詩人を目指していた思春期のユスフ少年は、愛する母親に男がいると知り、母親を否定し半ば無理矢理に大人への道筋をたどっていく。あの『ミルク』の物語の延長にこの物語があるならば、母親と距離を置くために、故郷から遠く離れたイスタンブールでの生活をユスフ少年が選択したことは容易に想像がつく。

 最初は頑なに母親の葬儀を拒み続けたユスフの心に様々な心象がフラッシュバックし、張り詰めていた心にある霊的な瞬間が訪れ、あちらの世界でユスフと母親は交信する。けれどそれはトンデモ映画の方法論ではなく、真に霊的な美しい瞬間として主人公を包み込む。あの場面の美しさは実際に映画に触れなければわからない。本来ならば『蜂蜜』を観た後でこのシーンを観れば、父親の死と母親の死が密接な関係を持っていることに気づく。2作目3作目でも主人公の癲癇の発作の場面は繰り返し出て来るが、その癲癇の発作こそが主人公に異界との交信をさせる契機となる。今作において最も重要なのはサーデット・アクソイの表情に他ならない。彼氏との会話の中で、イスタンブールで勉強したいと告げる彼女の存在は2作目『ミルク』の中の思春期のユスフ少年と少しダブって見える。今作はトルコ社会における死の悲しみと生の喜びを同時に享受し、世代から世代へとゆっくりと確実に流れていく季節を的確に描写している。ショットの構図も印象的なロング・ショットからクローズ・アップへヨーロッパ映画らしからぬ粒子の粗い映像で淡々と綴られる物語は、奇跡のような連環を成す。
オススメだというので手に取ったはいいが、ここのレビューを見るに三部作のうちの一作目だったそう。
印象的なロングショットや顔のアップが多く、過去にみたトルコ映画もこんな空気感だったなと思った。
ユスフがバッタバッタと気絶しているのは大丈夫なのか?(大丈夫ではないわな)

親のありがたみは死んで初めてわかる、というのはやっぱり万国共通なのか。
自分のルーツを辿る旅という謳い文句言葉にはめっぽう弱い。

58776
Okuraman

Okuramanの感想・評価

3.5
ユスフ三部作の最後or最初、監督の感傷的な帰郷に付き合わされてる気分。他二作の瑞々しさは失われていた。めちゃくちゃチャイ飲むシーン、あと細々した料金払うシーン多い...。
ユスフ三部作のうちの1つ。
なんか映像と音声のどちらもが澄んでいて、詩的な感じだった。
物語はよく分からないけど、自分で行間を考えながら観るんだろうなぁって。
deadcalm

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4.0
「ユスフ三部作」というシリーズの一つで、最初に観るものとしてはどうやら選択を誤ったらしいけど、気にしない。

芸術的な構図と色調で、トルコの異国情緒溢れる情景を詩的に映し出す。隣国アルメニアのセルゲイ・パラジャーノフとかもうちょっと遠くのアッバス・キアロスタミとかが好きな人にはドンピシャ刺さると思う。どっちも学生時代に感銘を受けた監督なので、当然自分にも刺さるものがあった。

映画としては説明が少なく、母の死をきっかけに故郷に帰った主人公ユスフの足取りを淡々と追っていく内容。あまり映画として説明的ではない、日常的で断片的なとりとめない会話と、突然挟まれる意味のよくわからないシュールなカットからバックグラウンドや心情を類推していく行為は、なんだか電車で耳に入ってきた他人の会話の断片からその人たちの関係や人柄を推測するのに似ていて、面白くもちょっと後ろめたい感覚が沸いてくる。「話に出てくる何とかって人、何したんだろ?」とか「この子、話してる相手のことちょっと好きなのかな?相手気づいてんのかな?」とか、そういう一般的には完全に余計なお世話になる勘繰りをしていく感じ。遠い異国に住む自分にはあんまり似てない男の中に、共感できる何かを想像で見出だしていく作業。

そんな作業の合間にやはり説明なく挟まるシュールなシーン。卵を落として割ったと思った次の瞬間気絶から目覚めたり、機織りをする男を見ていたら突然気絶したり、いきなり犬に襲われて気絶して、目覚めたと思ったらさめざめと泣き出したり、なんか結構気絶してるけど全体的に意味はよくわからない。鑑賞者としてリテラシーが足りない説はあるが、基本的にはわからなさを前提として感性で味わうべきものだと思う。たぶん。
クロ

クロの感想・評価

3.8
雪の轍でインパクトを残した彼が主役。
静かな映画だけれど、今作も印象的なシーンがたくさん。
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