一八

ロジャー・コーマン デス・レース 2050の一八のレビュー・感想・評価

4.4
僕にとっての大傑作『デスレース2000年』の二回目のリメイク作品。

一回目のリメイク、ステイサム主演の『デスレース』は白熱のカーアクションを売りにしてたのに対して、
こっちはオリジナル寄りのもの凄く下品でチープなブラックコメディ作品となっています。

ストーリーは《近未来、巨大企業な独裁連合国家となったアメリカでは人々はVRに依存しており、更に増えすぎた人口を抑えるためにタイムと人を轢殺した数で競いあう"デスレース"が行われている》といった具合で、
オリジナルと同じように相変わらず狂ったディストピアですが、現実にも引っかかるところがあるのでかなり風刺が効いています。
『26世期青年』や『ピラニア3D』『ザボーイズ』に似てるかな。

特に重要なのが、ドナルドト○ンプそっくりのイカれた会長を演じるマルコムマクダウェル。
彼を見ていると、まるで『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスがあの後欲望のままに世界を支配したのをそのまま再現したかのよう。
『デスレース2000年』が『博士の異常な愛情』に影響を受けたこともあって意図してやっていると思います。

他のキャラクターも元の作品以上にヤバイ奴らばっか。

特にタミーって奴は『キリスト教原理主義』に『白人至上主義』みたいなのを足して100倍にしたような女で、コーマン作品でもトップクラスの狂人だ。

僕がこいつ面白いなと思ったのが黒人レーサーのミネルヴァ。
最初はみんなと同じくトチ狂った奴なんだけど、相棒が殺されてから『常識』を取り戻していくようになる、ある意味で一番人間らしいキャラクターです。

主人公のフランケンシュタインは『怒りのデスロード』のマックスそっくり!
絶対にわざとだ!
ラストで彼が画面越しに問いかける『エスケープフロムLA』っぽい終わり方は、
《よく考えて、精一杯生きてみろ!》
とコーマン先生から言われているような気がしました。

ロジャーコーマンはその後、このコロナの時期に『屋内で撮影して、二分以内に納めた作品』をネット投稿してもらう、コーマン隔離映画祭を開催した。
様々な映画が延期になるこの世の中でも、彼はコロナに負ける気はさらさらないようだ。
一八

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