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ケイト・プレイズ・クリスティーンの作品紹介

ケイト・プレイズ・クリスティーンのあらすじ

1974年、生放送中に自殺したテレビキャスター、クリスティーン・チャバック。彼女を演じることになった女優ケイト・リン・シールは、 役作りのため生前のクリスティーンの足取りを追う。彼女の住んでいた街へ赴き、髪型や肌の色を似せ、精神的にも肉体的にもクリスティーンへの同化を強めていく。しかし、その同化が、ケイトにある変化をもたらせ始める…。

ケイト・プレイズ・クリスティーンの監督

ロバート・グリーン

原題
Kate Plays Christine
製作年
2016年
製作国・地域
アメリカ
上映時間
112分

『ケイト・プレイズ・クリスティーン』に投稿された感想・評価

3.6
テレビの生放送中に自殺した女性の再現ドラマを演じることになった女性のお話

自殺した女性の背景を知るうちに演じる女性に精神的な変化が起こり始める...という題材自体は面白いものの、見せ方が微妙。自殺した女性クリスティーンに関わっていた周辺人物に話を尋ねて回って、その人達がクリスティーンとその自殺にどのような思いを抱いているのかを語る...の流れを繰り返すためかなり単調気味で、演じる女性のケイトのドキュメンタリーとしても作為性しか感じられず微妙。カメラも明らかに劇映画的でこの映画がフェイクドキュメンタリーであることを明かしているようにも見えるものの、すると「ケイトがクリスティーンを演じる」物語自体が弱くなってしまう。
劇映画と現実が交差する構成も劇映画部分がかなりチープなため悪目立ちしている印象を受けてしまう。
「自殺した女性の再現ドラマを作る」ことの動機も薄く監督の存在も透明にされているためラストのインパクトも薄まり、結局はただラストをしたかっただけという感想しか浮かばない...

題材もアプローチも面白そうでメディア批判としても機能しそうなものの、そのアプローチの実践が全く上手く働いていない。微妙です......
kunico
3.9
ニュース番組中に自殺した女性キャスターを描く映画を撮影する為に、役作りにのめり込んでいく女優の姿を追ったドキュメンタリー。

正義を証明する為、ジャーナリストとしてのプライドを胸にこの世を去ったクリスティーン・チュバック(動機は全て闇の中だが私はこう思った)
彼女は朝の生放送中に銃口を自身に向けて引き金を引いた。
あまりにもショックなニュースではあるが、当時のテープは全て回収され手に入れることは出来ないし、田舎で起きた事件だった為その出来事を知っている人は限られているようだ。
この、埋もれてしまった真実にスポットライトを当てることを目的に映画の制作は決定されたのだと思う。

そのクリスティーン役にケイトという女優に白羽の矢が立ったわけだが、彼女はまずクリスティーンの容姿に自分を近づけていこうとする。
肌を焼き、カラーコンタクトやカツラも作った。
次に彼女の内面についてだが、TV局の同僚や専門家、父親の部下だったという人物へ取材を重ねていく。
そこで、生前クリスティーンが何に悩み、何を求めていたのかを知り得ていくが、先に書いた通り、事件の瞬間をケイトが見ることは無かった。

ケイトの苦しみはクリスティーンについて深く足を踏み入れてから始まっていく。
彼女を理解しようと努力してもクリスティーンに近付けないのだ。
いや、努力しているはずなのに自分にはまだクリスティーンになりきれる力が足りないと絶望するのだ。

何度も同じシーンを撮り直し、遂には撮影中に共演者相手に喚き出す。
少しずつ自分を見失い、役に喰われていく女優を、カメラは自殺の場面でカットがかかるまで映し続けた。

カットがかかりラストにケイトが呟く捨てゼリフは、劇中に語られたであろうどんな言葉よりもクリスティーンの心情を代弁しているものだった。
人間誰しも演じながら生きている、という話はよく言われるけれど、自らが演じる主体であることを意識しながらも、無意識のうちに表出・漏れ出てしまうパフォーマティブな部分にどう向き合っていくか、それは俳優のみならず、サラリーマンにだって切実なテーマだと思う。ビジネストークでから笑いを交わすうちに、いつの間にか本気で笑えるようになっていたり、本来興味がないはずのミスに業を煮やすかのごとく振舞っていたら、実は心の底から怒るようになっていたり。そういう、本当に思っていることとそうでないことの狭間を縫うような表現は、リアルに迫ってくるし、本作もその円の内にあると言える。

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