The Crucifixion(原題)の作品情報・感想・評価

「The Crucifixion(原題)」に投稿された感想・評価

filmoGAKU

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4.0
【視点】題名は、「(キリスト等の)磔刑」の意。古代でも中世劇でもない、2004年のルーマニアから物語は始まります。実際にあった出来事に基づく(inspired, based onではなく) 映画であると冒頭で表示されます。ルーマニアを舞台にしてよくぞ作品にしてくれました。

この作品は、冒頭でいきなり「悪魔祓い」の場面から始まります。でもなんとこの儀式をした神父とその尼僧たちは殺人容疑で逮捕され、ニュースになります(実際ニュースになりました Tanacu, exorcism, murder で引くと出てきます )。

この報道をニューヨークで知った女性記者が鼻息荒くして飛びつき、殺された女性と宗教の名を借りて狂信的に人を殺害した男を取材、その真相を探ろうとルーマニアへ飛びます。

ルーマニアは、1989年に革命によって共産主義が崩壊するまで、伝説どころかヴァンパイア達が実在していた国です。
冒頭に、首都ブカレストの様子が映り、かの有名な議事堂 Casa Poporului、あのドラキュラこと、チャウシェスク大統領が建てた宮殿がさりげなく登場します。

【ちょこっと内容】記者のニコールは、殺人容疑の神父に彼の弁護士を通じて単独インタヴューのアポを取り付けています。強引に取材させてほしい、その許可を得るための上司に与える特ダネ・ネタですね。

報道にある検視結果も殺人、ニコールも鼻っから、この男が殺し、「悪魔祓い」などは信じていません。殺人の容疑者である神父との対面で、その質問も論理的、攻撃的です。期待する答えが相手から得られないので早々にそこを辞します。次に検視官にインタヴューし、殺された尼僧の死因に関するその見解を聞きます。この辺りからじわじわです・・・ 

ただ、事実を見極めようとするニコールの疑問、その質問はかなり鋭いです。このやり取り、彼女の論理と主張は非常に面白いし、それに回答する側の発言、その根拠も説得力がある。

その後、ニコールは、殺された若い尼僧の葬儀へ向かいますが、この古いギリシア正教会の村に入ると、途端にタイムトリップした錯覚が起こります。
この女性記者の自己主張の強さ、まったく。立入禁止区域にガンガン侵入、写真撮りまくり・・・ おいおい、ってなりますし、宗教、その信仰に対し否定(理由があります)しているニコールですが、周りはみんな敬虔な人々、また真剣に悪魔の存在を信じています。その違和感、そこで目にするもの、遭遇する出来事、やがて自分の確信が揺らいでいく過程はホント怖い。

古くから執り行われている村の祭、"strigoi"の夜の様子など、盛り上げてくれます(Stringoi Festival って紹介があるんですが、「すごいフェスティバルって聞こえます。」)。

調べておくと面白い単語は、Agares, Tourette Syndromeなどがありますが、登場する共産主義時代の亡霊(科学者=医師。精神障害、分裂症患者への見解を語る女性医師等)は存在感がずしりですね。

【付記】何と監督がつながった。まさかの『ディヴァイド』の監督。なんか余韻を残したあのしょうもない作品の中に惹かれるものがあって、、、でもグロくて嫌って、これ『フロンティア』の監督だった。この映画もしょうもない酷い映画でグロ過ぎ、でも見せ方、カット・デザイン(造形)センス抜群だった。しかもこれ『ヒットマン』の監督。この作品なかなか良かったけど、今回この作品、いやぁ、怖かったです。