スゴい蝿の数(笑)と、流れの映画技師と投げ槍おっさん二人のロードムービー。

ほんと。只それだけ。

特に大仰な事も無く淡々と進むストーリー。

モノクロは雑多な『色』を消してくれるから心休まるし、行き当たりばったりな自由な旅に憧れて観るにはちょうどイイ塩梅。


…だけど、野郎の真っパや脱糞シーン等は、ボカシいれても心底不愉快…💢
男の裸や局部なんぞ観たかねぇってのッ！😠💢
(女性のは大歓迎)


…まぁ、それでも ちと長かったケド嫌いじゃ無い映画(^^)

小津イズムの継承者、ヴィム・ヴェンダース産『ロードムービー3部作』で有名らしいので機会があったら他も観てみたいかな～。


…どうでもイイが、バスの屋根に輝くビバンダム……。

あれはマジで欲しい…。

　男は映写機を直しながら、映画館の支配人の言葉に耳を傾ける。サイレントの時代が廃り、トーキーの全盛期になってから何十年が経っただろうか。彼は修理の間、先達たちに古き良き映画の時代の話を聞くことを日常としている。ナチス党員だったために、停職を余儀なくされたという話を聞くと男の表情が変わる。ブルーノ（リュディガー・フォーグラー）はキャンピング・カーに乗り、町から町へと映画館のフィルム運びや映写機調整の仕事をしていた。誰からも咎められることのない孤独な男の自由な暮らしぶり。そんなある日、ブルーノの滞在する風光明媚な田舎町に、一台のフォルクスワーゲンが砂煙を上げながら、猛スピードでやって来る。サングラスをかけて運転する男の表情は真顔で、1枚の写真を見つめる。やがて車はコントロールを失い、気ままな暮らしを謳歌するブルーノのワゴンを横切ると川の真ん中に突っ込む。男は慌ててアクセルを踏み込もうとするが、沈みゆく車体は言うことを聞かない。ブルーノはケラケラ笑いながら、男にタオルを手渡す。むっとした男はロベルト（ハンス・ジッヒラー）という名前で、離婚してトランク片手に放浪の旅をしていた。ブルーノの好意により、2人のあてどない旅は始まる。

　『まわり道』で北から南へ南下した旅は、今度は東西ドイツの国境線上をあてどなく旅することになる。Rolling Stonesの『むなしき愛』でどこか意気投合した2人は、車の運転から映写機調整の仕事、映画の好みに至るまでまったく共通点がない。片方は仕事で各地を転々とするし、その間暇人なブルーノは多くの時間を持て余す。数日前に離婚し、失意のどん底にあるロベルトは、ブルーノとの旅に何かを感じ取り、ついて行く。だがブルーノはロベルトの感傷になどまったく興味を示さない。ロードムービー3部作のフィナーレとなる今作には、明確な脚本が存在しなかった。ブルーノとロベルトの道行きは文字通りの行き当たりばったりであり、起承転結など存在せず、A地点からB地点へと唐突な移動があるだけに過ぎない。だが2人の変人は徐々に互いの感情を理解し、認め合うのだ。再び冒頭に戻り、「10年後に映画館はどうなっているのか」と危惧を口にした老人のように、かつての栄華はやがて没落する運命にある。ロベルトは自身のことなど気にかける素振りもなく、新聞発行人の父親を「なぜ母親を大事に出来なかったのか？」と断罪し、女性との間で深い関係を築けないブルーノも、荒れ果てた生家を見てしばし言葉を失う。

　 2人は過去の懐かしき記憶に触れることで、否応なしに青春時代の終わりを残酷に突き付けられる。電車と並走するキャンピング・カーとのあまりにも見事なカット・バック。分岐点に差し掛かり交差する2つの車体。車内から口ずさむRolling Stonesの『むなしき愛』。確かに176分と冗長な作品ながら、帳尻を合わせるようなラスト15分のカタルシスが忘れられない。

ヴィム・ヴェンダースのロードムービー三部作ラスト
しっかりと最終章としての風格のある今作は、すごく好き。
音楽とか映像とかいちいち美しい、ほんと。
青山真治監督の「ユリイカ」や、宮崎駿監督の「カリオストロの城」なんかがこの作品に影響受けてるそうで、
といろんその二つの作品が影響されている部
分は違う部分だと思うが、何となくわかる。

いつか誰かがヴェンダーズの作品はストーリーよりも描かれる「風景」が大切だと言っていた。
そういった意味でもモノクロで綴られるこの映像詩三部作ではこちらが一番ヴェンダーズの美学を存分に体験できるものではないだろうか？

物静かすぎたりニヒルだったりした前の二作よりは、少々ユニークで少し血の通った雰囲気のあるリュディガー・フォグラー演じる映写技師のブルーノ。
そんな彼の一人旅に途中から参加するローベルトという男。
予定外ではあるもののブルーノの孤独な旅に新たなる彩りを与える彼の存在は観てるこちらもワクワクさせてくれる。

旅の途中の小学校に映写機を持って行った時の影絵のエピソードとか、少しだけ険悪で別々に寝た夜のトレーラーの天窓から見える月明かりの雲とか、何度観ても良いと思えるくらい愛おしい映像たちの数々。
嗚呼心地いい。

観終わった後から知ったのですが、本作は脚本がなく、その場の雰囲気で台詞を紡いでいったそうなのだが、
淡々とじっくりと丁寧にカメラで見つめるその映像に関しては小津美学継承していると言える。

当時のドイツの映画館をとりまく、厳しい状況を色濃く出しているけど、悲観的な視点ではなくあくまでも軽快に、どことなくアメリカ映画のオフビート感も感じるのはヴェンダーズ監督の憧れもあるからなのかもしれない。
セリフはどこまでも粋だし映像素晴らしい。
淡々としているのに互いの存在がたしかに起爆剤となってその様子が分かるのはこの長さで見せてくれたおかげなのかも。
あの2人はいつかまた、どこかで逢えるのだろうか？