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アル中女の肖像
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『アル中女の肖像』に投稿された感想・評価

5.0
開明獣、巨匠に挑戦の巻😳今回はドイツのウルリケ・オッティンガー女史❤️

闇の都市TOKIOの中でも、最も邪悪な街、死武谷のオアシス、ユーロスペースで特集上映の予告を観て気になっていたが、そこにフィルマ七賢人の1人、フォロワーのbennoさんから、「3日以内に観ないとジャーマンポテトになる」との御宣託を受け、てちてちと劇場へ🎦

オッティンガー作品を観たくなったもう一つの要因は、小説家の多和田葉子が推していたこと。村上春樹と並んでノーベル賞に最も近い日本人作家の多和田葉子は、ドイツ語でも小説を書き、賞も獲っているまさに国際派の最先端。米国で、全米批評家賞と並ぶ権威ある文学賞、全米図書賞の翻訳部門でも受賞するなど、日本人作家としては頂点にあるような存在📕初期の作風は、今の村田沙耶香のように、グロテスクな美の中に人間存在の本質を問うものが多い。余談ながら、日本は、紫式部以来の伝統なのか、金子多恵子、笙野頼子、村田喜代子、山尾悠子、小川洋子、川上弘美、上田早夕里、川上未映子、前述の村田沙耶香とこの多和田葉子と、文学系の小説家の層がとても厚い。

その多和田葉子が、オッティンガーと交流があって本作の推薦文を書いているのが、本作を観るダメを押してくれた。購入したパンフレットにも寄稿をしてくれており、大変勉強になったものである。

本作は、

「何これ?わけわからん!つまらん!」
「何これ?わけわからん!オモロー!」

の二通りに分かれると思う。それはもう、いい悪いの話ではなく、好みの問題😌

お酒大好きなお姉さまがベルリンに乗り込んで、ひたすら浴びるほど飲みまくる🍺ただそれだけのお話し。キッチュでビザーレ、スタイリッシュでアヴァンギャルド。何しろ主人公は、一度歌を唄う以外は、一切の台詞を発しないのだ。

オッティンガーは、ベルリン生まれではないが、この都市に特別な想い入れがあったようで、これを含めて3作を獲っている。「ブリキの太鼓」のように、ゲルマンの奇想は、どこか底の知れぬ不気味さと端正さがあって面白い。時にバッハが、時にクラフトワークが、時にタンジェリン・ドリームが、時にカンが聴こえてくるような作品だった。

オッティンガーは、近年はアジアを題材としたドキュメンタリーを撮っていて、日本のものもあるという。別の特集上映で、是非観てみたいものだ😊

My best gratitude to benno-san
4.5
 ウルリケ・オッティンガー映画祭初日の今作が何と初回満席で(初回限定ポスタープレゼントもあったのだろうが)、午前中のユーロであり得ないくらいの人混みを味わった。発券の列は階段下まで並んでいた。エール・フランスのベルリン行きの飛行機が着陸する瞬間を捉えた尋常ならざるロング・シークエンスにオッティンガー映画初体験の私の心は弾むのだが、問答無用に素晴らしい映画に何か久しぶりに出会った気がする。テーゲル空港でのアナウンスはアフレコ改変だが、彼女(タベア・ブルーメンシャイン)はこの地にずっと留まるつもりで、片道切符を購入する。今回の旅を明けを飲み続けるだけの旅と称した彼女の決意は揺るがない。というか何かしらの辛い体験が彼女を酒へと走らせるのだが、それが明確に何であるかの言及は避けている。空港にたどり着いた彼女と同じく、学会の為にこの地に着いた3人のインテリ女性もまた、彼女の道すがら何度も登場する。タベア・ブルーメンシャイン扮する彼女があらゆる常識や因習のタガが外れた女性だと仮定するならば、学会に出席する3人の女性はいわゆる社会の平均的な意見を声高に叫ぶ女性たちとして登場する。このタガが外れたヒロインと3人の常識的な女性との対比が何とも批評的で、4人は同じ場所を共有しながらも、1対3の図式的な構図はそう簡単に覆りそうにない。

 あのライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが「ドイツ史上最も美しい映画」だと評したのはお世辞でも何でもない。前半から人物の配置が極めてゴダール的で、それぞれのシークエンスそれ自体がCMだとされても納得が行くような極めてスタイリッシュな映像の数々は、ウルリケ・オッティンガーの類まれで圧倒的な映像センスが垣間見える。それはブルジョワジーでマダムと呼ばれる主人公の軽やかな着こなしと色彩の妙。そしてしばしば繰り返されるガラスを見ることとそこに写る人物の染みったれた表情による絶望感。そして全てを無かったことにするような液体ぶっかけと叩きつけられるグラス。声を失ったかに見える彼女は最貧困層のカートひきの女性(おそらくロシア人)と意気投合するのだが、それ自体が彼女の倫理観に依拠する明確な判断なのかは観客に委ねられる(その前の場面ではヒロインが孤独に酩酊するすぐ隣の席に学会に主席する3人の女が陣取り、大声で喚き散らすのだから)。酩酊を静かに生から眠り(ひいては死)をいざなう行程とするならば、彼女は進んで自らの身を退廃に晒そうとする。あの予告編のCMでも見られた階上のタベア・ブルーメンシャインと階下のドラマーとの謎のセッションのべらぼうなカッコよさは今年観た映画の中でも屈指の魅力を誇る。兎に角、観た事がない映像の連続は新鮮で、圧倒的に衝撃を受けた。
3.8
日本公開が待ち遠しかったウルリケ・オッティンガー「ベルリン三部作」。この代表作を劇場で鑑賞できたのが何よりも嬉しい事である。

連作ではなく、ひとつひとつが独立した映画ではあるが、何らかの繋がりがある筈であり、三本鑑賞後に作家としての意図を考察したレビューをするべきかは迷ったが、自身の体調があまり芳しくないのと、宣伝を交えた総評をまとめて書いたところで、上映期間との兼ね合いもあるので取り止めにした。

先日公開されたファスビンダーを筆頭にニュー・ジャーマン・シネマの再評価は高まっている。私見ではあるが、戦後以降の映画産業はハリウッド市場に毒されており、このような傑作が埋もれがちであるが、これを機会に是非とも観て頂きたい映画である。

ドイツの女性監督として真っ先に思い出すのはナチス時代に活躍したレニ・リーフェンシュタールである。しかし彼女の撮り方は作為的な雄雄しさが強調されおり、語弊はあるかもしれないが、意地の悪い見方からすれば、男の政治に寝かされた運の悪い“名誉男性”という印象がある。

それに引き換えオッティンガーの作品はどうだろうか、戦後の荒廃したベルリンを舞台に原色の艶やかな衣装を纏った女性性を謳歌した出演者達は、女らしさ云々もあるが、後述する文芸作品の引用から、個々に人間らしく悩み生きていくことを訴えており、ある意味で全体主義的な「意思の勝利」の裏返しともいえるのではないだろうか。

パンクの母であるニナ・ハーゲンのオペラを取り入れた歌唱力の強さには圧倒され、赤いカーテンと小人のシーンはリンチの「ツインピークス」を彷彿させたが、オリジナルの元ネタを知っただけでも収穫である。

「生きるべきか死すべきか、それが問題だ。」シェイクスピア「ハムレット」からの引用は「気狂いピエロ」のボードレールのようにヌーヴェル・ヴァーグからの影響は少なからずあるだろう。大戦中の戦死における自然死がなくなったところで、戦後のドイツ女性が社会的に解放されたのかは疑問である。この酩酊した女性は死の不安や迷いを象徴させており、不条理なストーリー展開も暗に示している。

デザインの観点として気になったのは、オープニングクレジットの書体にHELVETICA(ヘルベチカ)が使用されていた事。ドイツの書体といえばFraktur(フラクトゥール)というヒゲ文字という(セリフにクセのある形状)イメージあるが、ヘルベチカは装飾性を排除して、可読性を重視したサン・セリフ書体である。あるシーンの新聞でもこのようなゴシック体を使っていたが、時代の変化もあるだろうが、この書体のルーツはスイスであり、彼女の出身地であるコンスタンツは目と鼻の先である。地域的には首都から距離感があり、どこかしら異邦人のような視点でベルリンを異国情緒漂う雰囲気で描いた気もするが。

〈ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作〉
[ユーロスペース 14:10〜]

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