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Violet(原題)
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『Violet(原題)』に投稿された感想・評価

[ベルギー、目の前で死んだ親友の不在] 80点

傑作。Bas Devos長編一作目。15歳のイェッセは親友ヨナスと帰宅中、人気のない地下街で二人組の若者に襲われる。彼らが狙ったのはヨナスだけで、何を話したのかも明かされず、監視映像越しにヨナスが刺されて倒れたことしか分からない。結果として彼は死んで、イェッセだけが唯一の目撃者として生き残った。イェッセはただ見ていることしか出来なかった。同年代の友人達は、ティーンらしく無遠慮な質問もしながらイェッセとこれまで通り遊んでくれているが、彼の心は晴れない。ほとんど台詞もなく、彼を包み込む空間を見せることで、停滞した時間に感情を持たせ、それによって感情に質感を持たせている。例えば、手前を横切る蝋燭を手にした集団(大きくピンボケ)を遠目に見ているイェッセが画面中央奥にいるというシーンは、列にも入れずコチラ側にも渡れずに独りでいる姿が強調され、その孤独を共有する。ちなみに、このシーンは後に清掃員が花束と溶けて固まって床にこびり付いた蝋を容赦なく捨てていくシーンにも繋がっている。人間が二度死んだ瞬間みたいで、このシーンはマジで怖かった。

また、編集のスピード感も良い。これってヨナス?血まみれじゃんwwと少年がスマホを見せてきた次のシーンで、何かを殴る音→唇が切れていて呆然としている少年→自転車を蹴りつけるイェッセという動線で思考を導いていくのとか。早朝の誰もいないベッド→父親が通りに出る→イェッセを背負った父親がガレージに入るという流れも素早い。それでいて彼らの感情の変化を一瞬で表現できてしまうのだから巧みだ。それに加えて、たまにカメラがヨナスの視線を共有するように浮遊したり、ヨナスが存在するかのように無人の自転車を並走させる少年が登場したり、何を映しているのかも分からない粗い映像(ヨナスの最期を看取った監視カメラが意思を持ったかのような)が登場したり、不可視の存在や時間を可視化していくような映像も多い。これは三作目『Ghost Tropic』とも共通している。また、ベルギー繋がりなのか、ルーカス・ドンは『CLOSE / クロース』の後半部分で本作品をかなり意識していると思う。特にイェッセがヨナスの家を遠くから覗き見るというシーンなんかは結構まんまなショットで登場。ならば、今度はBas Devosがカンヌに行く番だ。といいつつ、ベルリンで成長していってほしいなぁといつベルリン贔屓おじさん心もあり…
豚肉丸

豚肉丸の感想・評価

4.6
目の前で親友が刺殺された少年が喪失感を抱えたまま日常を過ごすお話

バス・ドゥヴォス監督の長編デビュー作。最近よく話題になっているが、長編デビュー作の頃から監督の作家性が全面に押し出されていて確かに面白かった。

オープニングシークエンスが素晴らしい。少年達を映し出した映像→カメラが引いてマルチモニターの監視カメラ映像であると判明→刺殺、というように物語の導入部分から映像演出により一気に惹き込まれ、同時にカメラ=観客が出来事の傍観者である、と1番最初のショットだけで演出意図がハッキリと伝わってきて本当に最高。
スタンダードサイズの画面に少年が抱えるどうしようもない喪失感と周囲のケアが映し出される。ほのかに薄暗い映像が陰鬱さにより拍車をかけている。が、陰鬱一辺倒に陥っている訳では無く、友達とのモトクロスの様子や家族との交流が描かれることでケアとしての側面もある...が、集団から距離を置いて彼個人が映し出されるショットやグーグルマップを用いた心象風景が表す通り喪失感は決して埋まらない。

このような様々な要素によって本作は見事に、絶妙に表現し難い喪失感を映像で捉えている。編集や映像の繋ぎも映画の雰囲気を壊さないようにしながらも見やすいように纏まっており、本当に良い映画だった!これが長編デビュー作という事実に驚かされる...
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

5.0
【決定的瞬間を見逃した者たち】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=iSWfeEFcLDo

『ゴースト・トロピック』『Here』公開に併せバス・ドゥヴォス監督の『Violet』を観た。これがとてつもなく凄まじい作品であった。

深淵から光が差し込む。夜道に車を走らせているのだろうか?悪ガキたちが飛び出してきたことで、我々の想像を裏切りそれはビデオ映像であることが判明する。カメラが引いていく。すると幾つものモニタが並んでいる。一箇所だけ電源がOFFとなっており、そこに管理人の顔が映し出される。悪ガキたちは、なにかの予兆を秘めながら閉店した店を物色している。強盗でも起こそうというのだろうか。しかし、意外と人通りが多いことが複数の視点から分かる。決定的瞬間を逃すまいとカメラはジッとモニタに眼差しを向けているが、突然の呼び出しで管理人が一足先に去っていってしまう。その瞬間に事件が起きた。殺人事件が発生したのである。だが管理人が戻ってくると、モニタ内の視点が切り替わり、死角となってしまう。

この忍耐強いオープニングは映画全体のテーマを象徴している。それは「決定的瞬間を見逃した者の喪失感」である。事件現場を親友は目撃する。だが、その瞬間は目撃していない。少し早く来れば止められたのかもしれないといった思いが映画内で充満する。悲しみから逃避しようと大好きなモトクロスバイクに身を投じる。ぽっかり空いた隙間やモヤモヤした感情がノイズがかった映像、引き伸ばされたGoogleMapsによって提示されていくが簡単にぽっかりと空いた心の穴が埋まることはない。

静けさ、残酷なまでに綺麗な画、そしてノイズが混ぜ合わさって視覚的に悲しみのナイフが突きつけられる。これがあまりにも切なく涙したのであった。

バス・ドゥヴォス監督の凄まじさはすでに『Violet』から存在していたのであった。