『死霊探偵 俺たちゴーストハンターズ』
原題 Deadtectives
製作年 2018年。上映時間 92分。
心霊現象に困っている視聴者を訪ね、幽霊退治を行うリアリティ・ショー『死霊探偵』。
ホストを務めるサムが、妻のケイトと弟のロイドを従えて行う悪魔祓いは全てがヤラセ。
まったく幽霊が登場しない番組に視聴者からは苦情の嵐！
番組の打ち切りを告げられたサムはプロデューサー命令で、ハリウッドの特殊効果のスタッフを連れて、メキシコに乗り込んだ。
人里離れた恐ろしげな屋敷で、最終回を起死回生の神回にすべく、様々な仕掛けを準備する。
撮影を始めるとなぜか予定外の霊現象が次々と巻き起こる！サムたちは生きて屋敷を出られるのか？
ヤラセと笑いと幽霊と、愛の物語ー。
今作品は、脚本も共同執筆したトニー・ウェスト監督の長編映画デビュー作で、カメラ、照明、音響、装置、特殊効果、撮影セットは、低予算の水準からすると結構ハイレベルやと思います。
現在のスタジオ製作の作品と比較しても、そのクオリティは間違いなく遜色ないかな。
どちらかといえば無名の俳優たちも、よく練られた役柄に説得力を与えており、たとえ登場人物の性格がポジティブなものばかりでなくても、俳優も役柄も好感が持てるしそれってのは良いことかなぁと。
今作品はタイトルからして『ゴーストバスターズ』と比較されるが、その比較は適切やとは思いますが、このジャンルでよくある問題は、映画がほとんど笑えないか、くだらなすぎてほとんど怖くないこと。
その典型例として、2016年の『ゴーストバスターズ』の映画化なんかがそうかな個人的には。
せやし、ピーター・ジャクソン監督の『さまよう魂たち』(マイケル・J・フォックス出てた)の方が比較対象として適しているかなぁと思います。
今作品はユーモアがなくても十分に成立するだけでなく、その比率が釣り合っている。
『告発の彼方』、『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』、『キャビン』のような稀有な例と同じように。
単にジョークを連発するのではなく、ここでのユーモアは不気味なシーンの起点や終点として機能するか、不気味なもの（幽霊など）を単に再利用している。
ほとんどの場合、ユーモアは脚本チームによって巧みにプロットに組み込まれているため、それ自体が目的ではなく、プロットを前進させるために行われている。
ユーモアはタイミングがよく、馬鹿馬鹿しいと思われることは多少で、何よりも登場人物を露呈させない。
今作品には怖いシーンもあり、うまく配置されたジャンプスケアやゴア描写もあり、ラスト3分の2でテンポの良いサスペンスの弧を築く方法を巧みに心得ている。
しかし、脚本は最初の3分の1に弱点があり、全体的にやや予測しやすい。
しかし、トニー・ウェスト監督はこの予測可能性もうまく利用している。
今作品は、観客が次に何が起こるかを知っていることに依存している。
観客はわかっていても、登場人物はわかっていない。
また、今作品はダークな色彩に包まれ、適度にしか光が当たらない舞台設定からも恩恵を受けている。
風景は基本的な陰鬱な雰囲気に大きく貢献している。
さらに、お化け屋敷という閉ざされた世界でのルールなど、斬新なアイデアもある。
風景は十分に生かされていた。
今作品は、サスペンスフルでテンポが速く、ユーモラスなお化け屋敷映画でした。
優れた効果に加え、好感の持てる俳優とキャラが揃っていたし、ある種の予測可能性を容易に補うものでもある。
笑えて少しヒヤッとできる面白い作品でした。
