鬱屈した展開に射し込むひとすじの光のような救いを拝むことのできる傑作。
褒められた登場人物たちではない。誰も彼も攻撃性と依存性が高く、その矛先が他人に向くか自分に向くかの違いこそあれ、血を流しな>>続きを読む
正直全然期待せずに観に行ったんですよ。これがね、当たり。
D&Dについては「最古のRPG」という程度の知識しかなかったものの、それでまったく問題がない単純明快なストーリー。
そのシンプルさと>>続きを読む
ワンピースをネットミーム程度しか知らないので、Adoのライブとして視聴(どん!)。
ワンピ映画としての質が云々はよく分からないが、ミュージックビデオだと思えば十二分に楽しめた。公開から半年寝かせ>>続きを読む
『バビロン』のような映画愛全開の作品なのかと思いきや……
繰り出されるのは濃厚な家族事情。天才であるがゆえに家族を振り回す理屈っぽい父、芸術家肌で頑固、愛は深いが情緒に問題のある母、ユダヤ人であ>>続きを読む
ナンジャコレ作品ではある。しかし妙な力がある。
この作品は高評価と低評価でスパッと分かれている印象だが、要は加点法でつける人は高評価、減点法でつける人は低評価になっているのではないだろうか。魂の>>続きを読む
なんとなく一歩踏み出せないまま、昨日と同じ日々を生きてきた主人公が、ひょんなことから世界を巡る冒険の旅に出ることになる物語。
グリーンランドやアイスランド、ヒマラヤの風景の美しさからロードムービ>>続きを読む
短いのでサクッと見られるミステリ・コメディ。主人公の凸凹コンビのキャラクターがかなり立っており、その掛け合いで楽しめる。シアーシャ・ローナン、『レディ・バード』で知ったときと相当印象が違う。演技の幅>>続きを読む
名作を今更鑑賞。
ロバート・デ・ニーロとかいうおじいちゃん、昔はギャングとかマフィアの役で鳴らしていたらしいけど(世代じゃないので知らない)、この作品だけ観たらマジでこの世の善を煮しめたような幸>>続きを読む
ジェニファー・ロペス演じる世界的な歌姫と、オーウェン・ウィルソン演じる平凡な数学教師のラブコメ。ロミジュリから続く身分差のある恋の行方なんかを描いた、ベタベタの恋愛もの。特にひねりはない。
50>>続きを読む
クリント・イーストウッド90歳超えの御大がまさかの自ら監督・主演した作品。いつまで頑張るねん。
頑固な偏屈じじいと人間不信のストリートチルドレン(とそのペットの鶏)が、いっしょに旅するうちに心を>>続きを読む
楽しいね、という感じの映画。
舞台設定からはインディ・ジョーンズのような香りを感じるが、冒険要素はそこまで強くない。
巻き込まれ型のなよい男が見た目だけはガチガチでギャップを引き起こしている>>続きを読む
名作と話題の『セッション』を今更鑑賞。デイミアン・チャゼル監督なら、こないだの『バビロン』より好きかも。才能ある監督に作品少ないなぁ、と思ってたらまだ38歳で、この作品も30歳の頃のものなんですね。>>続きを読む
覆面でベストセラー作家をやっている不器用な小説家と恋の物語。
「サリー・カーマイケル」という覆面は、自信のなさやパニック障害を抱えたサイモンの"姥皮"、ペルソナであり、そのペルソナ無しで生きられ>>続きを読む
マルチバースの自分を"降ろして"巨悪と戦うSFアクションコメディ……からの、有り得べからざる今と対峙することで現実を肯定するハートフルストーリー。的な。
マルチバースの使い方は上手い。ちょうどマ>>続きを読む
前作に続けて鑑賞。
マレフィセントの続編ということで、今回は原作のないオリジナルの脚本。前作からあまりに強すぎたマレフィセントの正体や、ちょい役に終わっていたフィリップ王子が絡んでくる。
個>>続きを読む
名作を今更の鑑賞。でもね、思っていたよりももうかなり良かったです。
原作におおもとのストーリーを準拠しておきながら、よくもまあこんなに綺麗にヴィランを主人公にできたよね。脚本がすごすぎる。
>>続きを読む
今度のアントマンは量子の世界!
正直量子の世界なんて誰も知らんのでやりたい放題なわけで、塵とかダニとかから着想を得てそうでもありつつも異なるSF的な風景は一見の価値あり。ただ、バーのシーンあたり>>続きを読む
舞台は17世紀イタリア、トスカーナ地方の田舎町ペシア。ファンタジーの息吹を感じる近世ヨーロッパの田舎風景大好き人間としては、冒頭のシーンだけで満点。
ペストの影が忍び寄るなか、奇跡と幻視を駆使し>>続きを読む
前作に引き続き一気に鑑賞。監督がティム・バートンではなくなったので、人をひきつける妙味のようなものは前作の勝ち。今作は完全オリジナルなストーリーなので、前作のオチがわかりきった展開を厭うた人はこっち>>続きを読む
あべのハルカス美術館で開催中の「アリス展」でピックアップされていたので鑑賞。アカデミー賞美術賞、衣装デザイン賞は伊達ではなく、その2点だけでも十二分に楽しめるファンタジックな出来。赤の女王城の禍々し>>続きを読む
豪奢な乱痴気騒ぎが189分続くエンターテイメント超大作。
端的に言うと、傑作だがいささか長い、という印象。だからこそ"バビロン"なのだろうけど、ちょっと散文的というか、もう少し登場人物と挿話削っ>>続きを読む
ガンダムのにわかファンなので、『水星の魔女』から予習もせずに来たんですが、うーん、ガンダムってやっぱり基本、そういうことはしちゃいかんのですね。『水星の魔女』が特異だっただけみたいです。前提知識がな>>続きを読む
「サンタはマジ。悪い子はこう」
本物のサンタをヒーローに据えた、クリスマス・イブの洋館が舞台のバイオレンス・アクション映画。
バイオレンス部分には一切の慈悲が無く、みなさん精一杯グロテスクに>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
地味な映画だと思っていた。はじめは。
本作は、あらすじにもあるおっさんふたりの仲違いを、2時間弱かけてじっくりやる。本当にそれしかやらない。それだけをじっくりやるのに、小粋なジョークと癖のある島>>続きを読む
父を殺され、母を奪われた男の復讐劇。
全っ然思っていたような映画ではなかったけれど、これはこれでかなりあり。好き。ポスターからは筋骨隆々の男が雄叫びをあげながら300人の軍勢をひとりで切伏せて仇>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
巷で話題の異色作。
明らかに人を選ぶものの、映画の作り方はとにかく上手いなーという印象。静かに暮らしていた夫婦の生活に突如カットインする羊から生まれた少女、アダ。明らかに異質な外見だがしかしこれ>>続きを読む
名優であり、近年メガホンをとっても活躍しているケネス・ブラナーの監督する自伝的作品。
日本人も大概カトリックやプロテスタントの違いに疎いけれども、そのことでむしろ作中の主人公バディと同じ子供の目>>続きを読む
ガイ・リッチー節のキレのあるカットが光るクライム・サスペンス。
開幕からずーーっと顔の良いオヤジが入れ代わり立ち代わり出てきてセンスの良い台詞をしゃべる(いささか男の悪いホモソーシャル感はある)>>続きを読む
今年はもうアバターが最後かなと思っていたが、友人に誘われ鑑賞。クリスマスまでに観るべき映画だったのでちょうどよかった。
国民的人気を博した本作、やっぱり鈴木雅之のオープニングが立役者だと思うんで>>続きを読む
捕鯨業者死すべし。
今作の舞台は海。その圧倒的な造形、美しい自然と不可思議な生物たち。これだけでも既に満点の映画である。没入感と映像美を売り文句にした宣伝も全く間違っていない。ちょっと長いが、ぜ>>続きを読む
ドウェイン・ジョンソン、満を持してのヒーロー映画進出。
大スーパーヒーロー時代の現在(エンドゲームでひとつの山は過ぎたか)、新しいヒーローを魅力的に見せるのは難しい。特質上、悪の復活、あるいは台>>続きを読む
14世紀イングランドで書かれた作者不明の物語『ガウェイン卿と緑の騎士』を原作としたダーク・ファンタジー。
原作はあまりに古いこともあり、物語の詳細な部分は参照の都度膨らまされることになる。今回デ>>続きを読む
練達の域に達した、新海誠最高傑作。
引き込まれるような鮮やかな青空を始めとし、その後多くの"新海誠風"作品を生み出すに至った美麗で透明感のある風景描写に定評のある監督。本作でもその強みは活かした>>続きを読む
怪奇の描写で世界の最前線を突っ走る奇才、ギレルモ・デル・トロ監督による『ピノッキオ』の翻案。ディズニーのものではなくその原作の翻案なので、有名な「星に願いを」などは流れない。
まずもって、ストッ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
孤島、個人的な復讐とくれば『そして誰もいなくなった』的なものを想像していたが、レイフ・ファインズ演じるシェフの復讐はもっと大きなもの、いわば美食ブーム、大量消費そのものへと向いていた。そのあたり、飲>>続きを読む
第二次世界大戦下、ナチス・ドイツに捕らえられたユダヤ人の主人公は、偶然持っていたペルシャ語の本を理由に自身をペルシャ人であると偽り、即座の処刑を逃れる。言語を学ぶためにペルシャ人を探していた大尉に授>>続きを読む