8637さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ヒゲとレインコート(2018年製作の映画)

3.5

最近の映画は全てが「"普通"なんて決めつけるな」みたいな事を前提のテーマとして、そこに上乗せしている感じがある。それがこの映画の場合、届けるべきメッセージより映像的快楽が先行してしまった。
芋生悠の素
>>続きを読む

熱海殺人事件(1986年製作の映画)

3.0

普通の映画じゃない。空間設計が演劇的。これは"映画なり"のフィクションじゃなかった。
あの世界観に入り込んだら殺人も疑似恋愛もお構いなしのコンプラ全崩壊状態でありながら、その頃を知らないからか、それが
>>続きを読む

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

3.5

2回目。

130分間、壮大な「何の話だよ!」。だが適当に作られているのではなく、それに引き込まれて脳内でバックグラウンドが創られていく。知能の低い輩がこういうのを喋ってるとかよくあるわ...と考えて
>>続きを読む

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.6

誰もが悩みを抱えて生きている。その悩みが一部の人にしか共有できていないだけなのかもしれない。
悔しい時は、とにかく編む。何もかも越えて。その描写が時に泣ける。
公開から4年経てばトランスジェンダーの浸
>>続きを読む

さらば映画の友よ インディアンサマー(1979年製作の映画)

3.1

現実か幻影か。映画の哀愁に消えて、終映を迎える男。これがあの原田眞人監督の原点だったとは。

映画を追う者の喜びは何にも換えられない。それは我々が一番分かってることである。どんな悲劇も、映画に当てはめ
>>続きを読む

吉祥寺ゴーゴー(2020年製作の映画)

3.3

異色なシチュエーションではあるものの、フィルム的質感で吉祥寺を撮った面白さとシュールで何とか耐えきった。それどころかハマった。

未来のあたし(2018年製作の映画)

2.9

正直寒すぎる。恋愛観は良いんだけどもストーリーがありきたりだし、何より"未来のあたし"の演技が好きになれない。

キャラクター(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

これぞダークなエンタメ!感想を書く余地のない程に、その出来上がった物語に入り込めた。ビジュアルと劇伴の格好良さだけでも再見の価値があるし、何を差し置いてもオープニングが素晴らしい。反対に「キャラクター>>続きを読む

名も無き世界のエンドロール(2021年製作の映画)

3.3

何年もかかってしまったけど、世界は確かに変わった。昔懐かしのあの世界は、誰も忘れてないよね...
過去とイマが入り交じりすぎてよく分からない気もする。しかし、とにかく山田杏奈が上手い。岩田・新田とのト
>>続きを読む

いのちの停車場(2021年製作の映画)

3.8

正直、何度も号泣した。
誰もが皆一様に、当たり前のように死んでいく物語。そしていつかは自分も...。
笑える雰囲気の先だからこそ、観客も咲和子と共に真剣に考えられる"安楽死"のこと。
人は「生きる」を
>>続きを読む

HOKUSAI(2020年製作の映画)

3.5

昔々、世界が日本の想像力で創られていた頃。まだ寫眞も鉛筆も無い時代に、筆だけで人の心を動かした絵師達。
表現の自由を咎められた彼らに唯一共感する、「出る杭は打たれる」という言葉の無情さ。
なぜ皆、文化
>>続きを読む

SHIBUYA TOKYO 16:30(2020年製作の映画)

3.4

15分間の"社会勉強"。とりあえずの所感は「そっち系か...」である。
そこで起こっていたのは才能の全否定ではなく、その先の人種否定な気がする。「女性だから」の下心が無ければ、もっと尋常な話ができてい
>>続きを読む

トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング(2019年製作の映画)

3.4

この物語に真実は含まれていない。史実を語った伝記でありながらこの語り出し。真実は国家によって捻じ曲げられて、消えてしまったのだろうか。乱暴な映像美を映し出す画面は次第に窮屈になっていく。そのさまは衝撃>>続きを読む

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団(2017年製作の映画)

3.4

ストーリーの普遍性を必殺奥義『予算の公表』で特別なものにしていくスタイル。
公開時期からしても「ジャスティス・リーグ」のバーター的存在なのは明らかだが、こういうふざけた映画がいちばん"映画"を分かって
>>続きを読む

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.9

2回目+3回目。

世間ではBLや百合でヒューヒュー言っている人達がいる中で、周りにそんな人がいたら差別するという風潮は、矛盾だと思わないのだろうか。
現在Twitterでまた違う議論が繰り広げられて
>>続きを読む

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

3.8

それは愛の言葉。どう考えても可笑しい構図に苦笑して画面すらまともに観られない恥ずかしさ。気付いた時、妄想で既に括られていたのは"現実"。映像・照明・音楽・漫画・演出全てが一級品だからこその心理戦に、結>>続きを読む

ベルリン・アレクサンダープラッツ(2020年製作の映画)

3.0

やはり予期した通りだった。183分は語り過ぎてる。丁度昨日、映画の上映時間に対する正当な異論を聞いたばかりなので尚更。観る気を起こしてこそが映画なんじゃないだろうか。
そして、行為も暴力も映すのは映像
>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.8

僕は今、調子に乗って監督×プロデューサーのアフタートークを見逃した状態でこれを書いている。というか投稿する頃には翌日になってるんじゃないだろうか。
エンドロールまでそこに引き込まれて、その後も何も手に
>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

4.3

もう...泣かせるんじゃないよ、笑わせてくれ!
提示した過去から逃げてはならない、それが現実。だけどこの映画にはそういうリアリズムを捨てる瞬間があり、僕らはスクリーンに不可思議に映るそんな非現実を観て
>>続きを読む

田園に死す(1974年製作の映画)

3.4

なるほど、これを自伝映画と言うのか。それに分類させる割にはその先の"一線"にすら踏み込んでいる気がする。
莫大な衝撃を喰らったのだが、じゃあそこで何が起こっていたのか、ってのは分からない。「おもちゃ」
>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

3.5

僕の大好きな長久允監督が"映画を諦めなかった"きっかけとしてこの映画を挙げていた時からずっと観たかった。溜めて溜めて、遂にアマプラの配信期限切れが訪れたので鑑賞。

父はそんなに醜かったのか?母は本当
>>続きを読む

AMY SAID エイミーセッド(2016年製作の映画)

3.4

2回目。
再会映画としては100%。ドラマとは違って90分の尺だから、彼ら全員のディテールには流石に踏み込まない。

あの日、最後に彼女に会ったのは誰なのか。そんな事どうでも良かった。
あの頃の青春は
>>続きを読む

藍に響け(2021年製作の映画)

3.2

女学生の自由さとミッション系学校の冷徹さの融合は新しい。それに加えて"音"への映像では語られないシンパシーと、グルーヴ感にすら暗喩されるスクールカーストという生きづらさ。もう口では伝える事のない響き。>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.4

まず、何から話せばいいだろうか...
全編「花束みたいな恋をした」より余程サブカルチック。だけど「あ、今泉力哉は恋愛映画の作家だった」と気付かされるクライマックス。キスも抱擁もないけれど、多方面から
>>続きを読む

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

3.2

前半は思ったよりも断片的な会話劇メインで進むため、そこに隠された物語性を捉えなければならない。
何の脈絡でサンボマスターを?とかは考えてられなかった。

"椎名くん"みたいな、弱い者を虐めるふりして褒
>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.7

もし三船や雷蔵が、いつか時代劇も青春映画の甘酸っぱさに取り込まれるんだと知ったら、何を思うだろう...
誰も意識してなかったとしてもこれは映画への"告白"であり、キラキラ青春映画の大肯定である。
ラス
>>続きを読む

馬の骨(2018年製作の映画)

3.1

「ディアーディアー」「イソップの思うツボ」でしか観たことのなかった桐生コウジだが、映画監督もできて更にイカ天出演のバンドも組んでいたとは。
そしてその彼自身が自身のバンドを貶し終わらせる姿を撮る覚悟と
>>続きを読む

ぼっちゃん(2012年製作の映画)

3.1

観ていられない醜態・羞恥の連続。挙動不審や叫びの演技、不協和音に重なる太い文字等はただ"サイコパス"を分かりやすくしただけのものだと思う。なのに映像は静止画的。
特に事件の背景も知らぬままに観てしまっ
>>続きを読む

下衆の愛(2015年製作の映画)

3.2

女遊び、渋川清彦なら良くて古舘寛治ならダメ、という訳ではないが、映画って果たしてここまで人を駄目にする"女"なんだろうか?

渋川清彦演じるテツオが非常に酷い。彼の「お盆の弟」とはまた違う最低の監督像
>>続きを読む

アカルイミライ(2002年製作の映画)

3.6

恐らく僕にこれを観る資格はない。しかし今、未来が一番暗い時代なのではないか、なんて思い観てみた。

「夢」という日常ですぐに忘れるものをキーとした一期一会すらも描かれている。それに対し、犯罪の瞬間が映
>>続きを読む

四月の永い夢(2017年製作の映画)

4.3

本当は黒沢清の「アカルイミライ」を観ていたが「本当にこの選択は正しかったのだろうか」とか思っちゃって結局こっちに乗り換えてしまった。なら名前出すなよ。って感じで2回目。

まず思うのは、現代の日本映画
>>続きを読む

氷菓(2017年製作の映画)

3.2

唯一無二な点を挙げるとすれば、四人の見解が食い違う事で一つの事件を四つ(或いはそれ以上)の可能性から考察できるという点。よくできた推理なのに外れている、という結果も含めて。

時代背景に学生運動を選ん
>>続きを読む

砕け散るところを見せてあげる(2021年製作の映画)

3.6

ハッシュタグ「砕け散る賛否両論」に擬えて感想を書いてみると、役者は賛、監督は否、読めない展開は賛、会話の間延びは否、堤真一の演技は賛、堤真一の役は否、CGは賛、編集力は否...というところだろうか。>>続きを読む

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.7

ガツンと響いたが、それが何に対してなのかが分からない。

男社会は男にも女にも負の面を背負わせるし、立場を重んじる資本主義国家でいるからこそ若い人々に喝を入れられる。しかし彼ら・彼女たちの若気の至りも
>>続きを読む

喜劇 愛妻物語(2020年製作の映画)

3.6

父が観たがっていたらしく遂にレンタルしたので自分も観た。もちろん別々で...

...............噂には聞いていたが、濱田岳の独白が本当に「W座からの招待状」だ。。向こうは詩だからあのテン
>>続きを読む

バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~(2021年製作の映画)

3.9

ファンサービスの域を超えた本人役合戦、多分NGなパロディドラマ、大手配信企業に対する鋭い視点...どれもこれも、"テレ東だからできたこと"。

そもそも『バイプレイヤーズ』シリーズはあのジャスミンが主
>>続きを読む