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顔を捨てた男

顔を捨てた男の作品紹介

顔を捨てた男のあらすじ

顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。隣人で劇作家を目指すイングリッドに惹かれながらも、自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」に似たカリスマ性のある男オズワルドだった。その出会いによって、エドワードの運命は想像もつかない方向へと猛烈に逆転していく───。

顔を捨てた男の監督

アーロン・シンバーグ

原題
A Different Man
公式サイト
https://happinet-phantom.com/different-man/
製作年
2023年
製作国
アメリカ
上映時間
112分
ジャンル
スリラー
配給会社
ハピネットファントム・スタジオ

『顔を捨てた男』に投稿された感想・評価

4.0
顔の変形を持った男が、所謂イケメンに生まれ変わった事で巻き起こる顛末を描くスリラードラマ。全体のストーリーとしては少し説得力に欠けるというか、正直顔面がセバスタだったらどうにでも生きられるだろというツッコミはさておき(こんな思想自体もうこの映画の敵だが笑)、やはり本作最大のテーマに対して外見も内面もほぼアテ書きなアダム・ピアソンの存在は大きい。

類似のテーマを持った作品としては「ワンダー」を思い出すが、本作は特殊メイクのみで再現していたそれとは異なる当事者キャスティングの最たる例。本作はさらにその先を行くように当事者キャスティングそのものへの在り方まで掘り下げているのが凄まじい。主演のセバスタはガッツリ特殊メイクを施した上でアダムとの対比を生み出すというとんでもない描き方をしている。

去年の賞レースでいう「アメリカン・フィクション」にも似たメタフィクションだが、「アノーラ」や「エミリア・ペレス」のようなマイノリティを単なる消費ツールとして描いているようにも取れる作品が乱立する中で、本作も様々な賞レースにノミネートされている事は何ともな皮肉。マイノリティ属性を持つ自分としては、観た後に議論をしたいポイントが多すぎて止まらない程、この作品に魅せられている。
★★★liked it
『顔を捨てた男』 アーロン・シンバーグ監督
A Different Man

ブラックコメディ
セバスチャン・スタン as 俳優志望エドワード
&アダム・ピアソン as オズワルド

自分の価値を決めるのは内面
&それによって起こす行動

Trailer
https://youtu.be/_9CmC5Rmsdw
["人生におけるすべての不幸は、現実を受け入れないことから生じる"] 80点

傑作。アーロン・シンバーグ(Aaron Schimberg)長編三作目。前作『Chained for Life』はルッキズムやエイブリズム全開の映画内映画とそれらが全く意識されない"現実世界"を対比させながら、初めての大役に不安を感じる主演俳優の等身大の姿を切り取った作品であり、不思議な居心地の良さと悪さを共存させる手法に舌を巻いた覚えがある。本作品でも映画内映画というか映画内演劇を使用することで、その差異を際立たせようとする。異なるのは、そこに『セコンド / アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身』的なステータスの入れ替えをある種のボディホラーとして視覚化すること、そしてこれがA24製作となったことだ。他の記事でも何度も書いているが、今年は私の推し監督たちが次々に新作を撮って出世しているので嬉しい限り…ではあるのだが、"クセのある監督のクセを大衆向けにマイルドにする"というA24の悪い特徴が適応されてしまっているような気もする。物語は神経線維腫症を患う売れない俳優エドワードを主人公としている。彼の生活は常に不運に付きまとわれているように描かれ、彼自身にも自信がなく内気で、その遠因たる顔を変えたいと考えるようになる。ある日、隣家に引っ越してきた駆け出しの劇作家イングリッドと親しくなるが、優しく接してくれる彼女にも超えられない壁があるようだと知る。そして、エドワードは投薬実験に志願し、イケメン男ガイへと生まれ変わる。暫くして、不動産業者として成功したガイは、イングリッドがエドワードについての舞台劇を準備していると知って接近する云々。前作にも本作品にも出演するアダム・ピアソンは"ステレオタイプに挑戦するためには、まずステレオタイプが存在することを証明する必要がある"と語っており、エドワードの存在は非当事者から見た"ステレオタイプ"に該当するのだろう。言葉を選ばずに書くと、皆から好奇の目で見られるような顔(実際に電車の乗客にジロジロ見られるシーンがある)のせいで内気で自信のない性格になった可哀想な人、という人物像である。しかし、イケメン男ガイに"転身"しても、女性は寄ってくるし仕事も成功するけれど、それ以上は満たされない。彼が元々俳優だったことも鑑みると、エドワードはガイとなってエドワードの仮面を脱ぎ捨てたと思ったら、実はガイの方が仮面だったということか。
仮面に関連すると、インタビューで監督/アダム・ピアソン/セバスチャン・スタンはフィルターをかけた画像を投稿する人々に言及している。彼らの価値観が社会や他人からの評価、育てられ方など様々な要素によって形成されており、エドワードもその一人であるとし、そんな自分を受け入れられない或いは受け入れようともがく人々に"自分を愛せよ"と他人が言うのはあまりにも簡単だ、としている。

イングリッドの存在も強烈だ。まず、イングリッドは不意にエドワードに手を握られて、それを離すというシーンがある。彼女にそもそも好意がないのにエドワードが勘違いしたのか、イングリッドの心の奥底に嫌悪感があるのか、曖昧に描かれているが、後にこのシーンを劇中劇で反復する際に"彼を被害者にしていた"と語ることから、後者であることが判明する。その後も所謂"健常者の気付き"としてのマイクロアグレッションを繰り返し、違和感の伏線を回収していく。そして登場するのがアダム・ピアソン演じるオズワルドである。彼は稽古中に偶然通りかかったことでガイや劇団と知り合うことになるのだが、エドワードと同じ病を抱えながら謙虚でポジティブな性格で、すぐに中心へと入り込んでいく(ちなみに、イングリッドと最初に馬が合ったのはトニ・モリスン『青い眼が欲しい』を好きという話題だったが、これは白人の容姿に憧れる黒人少女の物語である)。エドワード=ガイとオズワルドのエピソードとして象徴的なのは口笛を吹けないというもので、エドワードはこれを恥じて"口笛もできない"とするのに対して、オズワルドは"(色々できることも多いが)口笛はできない"としていることだ。やはり、エドワードとオズワルド、それぞれのエピソードがアダム・ピアソンの実体験をある程度参考にしているということで、それぞれの描き分けも上手い。ピアソン自身はここまで陽気ではないと語っている通り、オズワルドはステレオタイプの裏返しということだろう。ただ、ここまで両極端だと少々記号的すぎるような気もしてしまう(特に終盤の失速を見るに)。ここまで記号化してしまうと、結局顔より中身だよね、みたいな話になってこないか?そんな単純な話でもないと思うが…となるなどした。

それにしても、マイノリティの経験/物語を大衆向けに一般化しながらも極めて個人的な物語として成立しているという点で、こちらも前作で有名になって新作がA24製作となったジェーン・シェーンブルン『I Saw the TV Glow』に似ているのが興味深い。だからこそ、両立させる塩梅を間違えなかったシェーンブルンの手腕が光り、一般化に傾きすぎてしまったシンバーグは少々劣るように見えてしまう。今年は推しが活躍しすぎるという異常事態YEARなので、通常なら目に付かなかっただろうことまで見えてしまうのが辛いところ。

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