瑞々しい15歳の少女の短い期間の成長記。またもやクィアの物語でした。夏休み母と離婚後会ってなかった写真屋の父の所に滞在するが、そこでお父さんの恋人の娘？ちょっと先進的なお姉さんと知り合う。下半分金髪にしている女性。北朝鮮国境近くで彼女はもともと北鮮人なんだな。そういった日頃馴染みのない中国本土のその土地の独特の雰囲気が感じられて、良かった。『はちどり』インスパイアなのか、主人公がはちどりに若干似てる感じがしたし、持っている斜め掛けカバンが黄色いところも同じ。

内気な、と解説にはあるが、最初から少女は自分の意志があり、嫌な時はちゃんと、その場から去ったりできる強い意志を感じた。最初まだまだ子供だったが、最後の方で強くなった、というわけでもない。しかし一秒一秒が新しく特別な時間である15歳の目を通した世界が煌めいて、全体的に雰囲気のある作品でした。

東京国際映画祭2023年　13本目

【ファム・ファタールへ漸近した事で生まれる葛藤】【東京国際映画祭】
■あらすじ
北朝鮮との国境近くの中国東北部の町を舞台に、海外に単身赴任した母親と離れ、父親と暮らすことになった少女の日々をみずみずしく描いた作品。カンヌ映画祭監督週間で上映。

■みどころ
父と馴染めない少女の前に魅力的な女性が現れて交流を重ねる話。

リゥは内向的な性格をしていて、写真館でカメラマンをする父親と医者をしている母親との娘である。
リゥは母と過ごしているが、ある日アフリカへ出張するといって母は父親に預ける。
父親はリゥを受け入れるが、凄く図々しくて馴れ馴れしくてその温度感に拒絶していた。
けれども、リゥは父の写真館の中で印象的な女性の写真を見かける。
ある日、写真館のトイレでいじけてる時にミンメイという魅力的な女性と出会い、彼女と意気投合する。
ミンメイはリゥを友人らと一緒に遊ばせたり優しい一面もある一方で、既婚者の男と不倫をする一面をも見える。
やがてリゥはミンメイがかつて借金まみれで買ってもらったピアノを売ってしまったり、お店を持ちたいという話を聞いてある行動をとるが…

本作は新しい場所で馴染めない少女の目の前にファム・ファタール的な存在が表れ、その人との出会いの中で情動に駆られていく作品である。
ミンメイというファム・ファタールに靡くも交流を重ねるにつれて愛憎が増して、どう向き合えば良いか分からない葛藤を現出したのが良かったです。

まるで「はちどり」のような映画であるが、「はちどり」と違って他者と交流していくにつれて靡く相手の嫌な一面にうんざりする姿、それでも魅力的で彼女に近づきたいという愛する姿を多感で映していく少女の葛藤を描き、どれだけ頑張っても彼女のようになれない劣等感を描いているのが興味深い映画だと感じました。

特に父親の「若いうちに愛したり憎んだりしなさい。年を取れば全て色褪せるから」という台詞は額縁に飾りたいレベル。
そんな映画ながらもリゥに告った男の子を大胆に押し倒して「エロあるか？」と思わせながらも金借りるシーンは「エロないよ(泣)」で面白かったです。

しがらみに振り回されながらも、その時間まるごとが意義を見出しててメッセージ性は好きだけど、愛憎の落差が緩くてそこまで感情移入できず。

• #TIFFJP

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ゴン・ズーハン長編一作目。クィア映画と知らなかったので明記。医師の母親がアフリカに長期出張することになって、長らく会っていなかった父親に預けられたシアンのひと夏の恋。お相手の年上お姉さんの人物造形とか、本人の人物造形とかは既視感ありすぎるし、撮影もポワポワしてて"やってんなぁ"という感想しか出ないが、誕生日にいきなり高そうなネックレス渡してして距離鬼詰めしてくる同級生くんがやっぱり良い。『阪南の夏』にも出てきた。距離感バグったモヤシ男子は中国インディーズ映画のトレンドなのか？

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