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『農⺠』に投稿された感想・評価

Omizu
3.6
【第96回アカデミー賞 国際長編映画賞ポーランド代表作品】
『ゴッホ~最後の手紙~』ドロタ&ヒュー・ウェルチマン監督作品。トロント映画祭に出品、アカデミー国際長編映画賞ポーランド代表にも選出された。

傑作!と言いたいところだがラストが惜しい。あの先をこそ見せてほしかった。ムラ社会のイヤーなところを煮詰めたような物語と美しい映像のギャップが面白い作品ではある。

妻を亡くした金持ちの男が若い妻をもらう。しかし妻は男の息子と恋に落ちてしまい…

物語に既視感があるのは否めない。皮肉な恋の運命と噂が広まっていくムラ社会の暗部。しかし本作では丁寧なストーリーテリングでなかなかにエグい描写が続く。

一方的に噂だけが先行し爪弾きにされていく若い妻、この描写が観ていて辛いものがあった。それが油彩を用いた美しいアニメーションで表現されていく。このギャップが非常に面白い。

かなり辛い展開が続くだけにラストが惜しかった。これではあまりに物語を放りっぱなしではないか。安易な解決を求めないという姿勢は分かるがそれにしても捻りがなさすぎる。

ノーベル賞作家の原作があるというが、それを損なわない重厚な描写は評価に値する。ラストが惜しいが十分見応えのある作品と言えるだろう。ポーランド映画の底力を感じる一作だった。
[ポーランド、大地主老人と結婚させられた少女の物語] 60点

2024年アカデミー国際長編映画賞ポーランド代表。ポーランドのノーベル賞作家ヴワディスワフ・レイモントによる代表作『農民』の映画化作品。原作は20世紀初頭のポーランドの農村の春夏秋冬を描いた1000ページ近くある叙事詩であり、本作品も秋冬春夏と季節を変化させて章立てしている。また、前作『ゴッホ 最期の手紙』と同様に、本作品も油絵ロトスコープで表現されており、特に季節の転換をマジカルに終わらせる瞬間や、中盤にある醜悪なおじさんが集う結婚式は素晴らしい。一方、終盤ではわざとコマを飛ばすなどの演出が含まれるのだが、これは実写と比較したフォーカスの甘さも相まって通信環境が悪くなった動画みたいであまり上手く機能してなかった。その他、ほぼ実写じゃないか!と思わせるシーンも多々あったが、それなら実写で良くね?とも思うほどアニメならではの表現は希薄で、手段が先に来てしまった感が否めない(悲しいかな長い製作期間の間にAIによる気持ち悪い連続性を持った動画というのが短期間で氾濫してしまったために、我々はその違和感のようなものにすら慣れてしまったのだ)。物語はポーランドの農村で暮らす少女ヤグナを主人公としている。彼女は大地主マチェイの息子で既婚者のアンテクと恋している。しかし、子供たちと仲が悪く、彼らに土地や財産を渡したくないマチェイの策略によって、ヤグナは彼と結婚することになってしまう云々。基本的に男たちはカスばかりで、女たちも不倫に溺れるヤグナに対して嫌がらせと陰口ばかり。ヤグナも特にやり返すわけでもないので、延々とそれが繰り返される(やり返したところで変わらんとは思うが)。貴族との土地問題で起こった小競り合いの末にマチェイが亡くなり、アンテクが逮捕されると、アンテクの妻ハンカとマチェイの義理の息子ミハウが相続問題の主導権争いに乱入してくるが、ここでもヤグナは動かない。その結果、言いがかりによって村を追い出されるが、"こんな村に思い残しなんてない、清々した"みたいな顔して去っていくのだ。色々と生ぬるすぎるだろ。
3.0
【ミレーの引用から見る油絵ロトスコープの効果について】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=hVY-8HNwTqk

ポーランド映画祭2024の目玉作品『農民』を観てきた。本作は、『ゴッホ~最期の手紙~』で油絵アニメーションのジャンルを開拓し注目されたドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマンコンビの新作である。ノーベル文学賞受賞作家、ヴワディスワフ・レイモントの同名小説を映画化した作品であるが、前作同様油絵アニメーションとなっており、さらにロトスコープの要素を強調した一本に仕上げた。一見すると「実写でも良いのでは?」と思うのだが、『ゴッホ~最期の手紙~』以上に手法が意味を持っている作品であった。

産業革命により社会は豊かになった一方で貧富の格差が拡大した。そんな19世紀中頃に美術界では「写実主義」が物議を醸す。クールベが1850年に労働者を描いた「石割り人夫」を官展に出品したところ酷評された。当時のサロンをはじめとする美術界では、労働者を描くことはタブーであり、田舎の日常生活は小さく、美しく、都市生活者の現実逃避として描くことが美徳とされてきた。対してクールベやドーミエは、ドキュメンタリーのようにありのままの市井の人を描こうとし、画壇からは冷笑された。今では「写実主義」「バルビゾン派」として美術史の中で評価されているが当時は逆境出会ったのだ。

閑話休題、『農民』は終盤でミレーの「落穂拾い」を再現していることから、「写実主義」「バルビゾン派」をアニメで掘り下げようとしている。絵画は写真や映画と違って人力で描いているため、現実との距離感は遠い。そして一枚絵で表現するため、線で物語ることに限界がある。小説も同様であり、当時の凄惨さを表現しようとしても、書き手の取捨選択によって点と点が結ばれるため、現実における剥き出しの線を加工したものとなる。絵画、小説の限界に対して、いかにありのままの当時を捉えられるか?クールベやミレーは貧しき地方労働者を描いたが、彼ら/彼女らの生活する場所でも家父長制による凄惨なことが行われてきた。それをどう描くか考えた際に、油絵ロトスコープが効果を発揮する。

ロトスコープは実際に演技した人間をトレースし作られる。絵でありながら動きは実際のものである。「写実主義」の質感をそのままに、ミレーらが描けなかったであろう現実を捉えるハイパーリアリズムの実践といえるのだ。そこでは、家父長制によって結婚したくないのに男と結ばれ、強姦され、追放される女の肖像が凝縮されている。歌や儀式が文化を束ねる。そこから逸脱した時、市民が暴力でもって生贄を生み出して棄てる。資本主義とは異なるところにある凄惨さを生々しく捉えていくのである。

ただ、『農民』が悲劇的なのは、完成したのが遅すぎた。生成AIの時代がきてしまったのだ。それにより、本作のヌルヌル写実的に動く様が生成AIによって作られたもののように錯覚する現象が発生する。もちろん、エンドロールのメイキングで、これらの映像は生身で描かれたものだと分かるのだが、長い時間かけて理論化した技法がAI一発で陳腐なものとなってしまう様にグロテスクさを抱いた。なるほど、絵師界隈の間で生成AIに対する嫌悪が広がっている理由がなんとなく分かった。ライター界隈には中々分からないグロテスクさを『農民』から学んだのであった。

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